ソニー売却会社デクセリアルズ
退職強要拒否で東北→関東に配転
ソニー労組仙台支部が撤回求める
「デクセリアルズの黒字リストラをやめさせよう」と宣伝するソニー労組仙台支部の人たち=5月13日、宮城県多賀城市
ソニーの事業売却で発足した電子部品メーカー「デクセリアルズ」が退職強要を拒否した労働者に対して、移動自粛が必要なコロナ禍にもかかわらず、東北から関東への遠距離通勤を強いる選隔地配転命令を強行しています。ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)は、会社が黒字で人員削減の必要もないと強調し、配転撤回求めています。(田代正則)
デクセリアルズは昨年8月、管理職を対象に退職募集を発表。従業員2000人のうち、50歳以上とくに50代後半をターゲットに50人〜100人を目標としました。
宮城県多賀城市のソニー仙台テクノロジーセンター(TEC)敷地内には、ソニーからデクセリアルズに転籍させられた70人が働いています。
面談繰り返す
研究開発職の男性(58)は昨年9月から月2回程度の画談を繰り返され、「意にそぐわない仕事になる。外に行かないか」と退職強要を受けました。
男性は、「定年まで働き、今の研究開発にめどをつけたい」と退職を拒否しましたが12月17日の画談で会社側は「あなたに最適な仕事が見つかった」として栃木県への転勤を通知しました。
男性は、家族が10年前の震災の年に大病を患い、関連症を発症しており、老齢の妻の両親も県内にいるため、転動できません。
家庭事情を聞こうともしない会社に対し、男性は今年1月、宮城労働局に個別覆倒紛争の解決を申し立てました。これを受け会社は自宅からの新幹線通動を認めると言ってきました。しかし、宮城県から栃木県まで2時間以上もかかります。
男性は、ソニー労組へ加入し、3月から団体交渉で退職強要拒否に対するハラスメントだとして配転中止を求めましたが、6月、配転を強行しました。
会社は団体交渉などでで「リーン(筋肉質)な体制をつくる」「社員にストレスをかけ、耐えられない人は外に出てもらう」と説明しています。
本紙に会社は「報復とは考えていない。団体交渉で話し合っておリコメントは差し控える」としています。
営業利益は増大
同社は、5月10日に発表された21年3月期の営業利益が113億3900万円で、前年同期の64億1700万円から大幅増。来期予想は119億円とさらに拡大する見通しです。ソニー労組は同社の内部留保が432億円と算出しています。
男性は、「私の仕事も家族生活も奪うことを会社ぐるみでやるのはやめてほしい」と訴えます。
ソニー労組仙台支部の松田隆明委員長は「労働者が安心して働ける環境があってこそ、いいアイデアも生まれる。退職強要や家族へ配慮もない配転命令はやめるべきだ」と強調しています。
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