かごしま食文化研究会

 鹿児島県主催「平成19年度 かごしまの食文化を生かした地域づくり」受講生の情報交換ブログ

黒酒

2008-07-14 07:35:09 | Weblog
 鹿児島には「黒酒」と呼ばれる地酒がある。


 鹿児島市の一番街で「食のプロジェクト企画」という催しがあり、黒酒を製造している東酒造の原口和利氏が「さつま黒酒入門」と題した講演をされた。
かねてから黒酒に興味があり、講演の内容と書いてみます。勘違い、聞き違いがあるかもしれません。



 明治31年の薩摩見聞記には、薩摩には4種の酒があった。

  酒    色赤く味甘く味醂のごときもの
  焼酎   他国の焼酎より少々弱きもの
  泡盛   琉球より来たる火酒の強きもの
  上酒   普通の清酒、上方から来たもの

鹿児島で「酒」というと、味醂に似たものさす。この酒を地酒と地元では呼んでいる。 

 鹿児島の「地酒」は一般的に呼ばれる地方にある日本酒とは違う、火入れしない日本酒のこと。
祝いの宴席で最初に数杯飲むだけと料理に利用されていた。
県内各地の蔵元ではほとんど作っていたが、安価なみりんに押され、今では4社の蔵元が製造している。
このような酒は、県外では熊本の赤酒が知られている。
火入れしないと日持ちしないので、木灰を入れて日持ちするように工夫している。木灰を入れているため、別名「灰汁持ち酒」とも呼ばれている。県内4社の蔵元の中では、残念ながら火入れして地酒と販売している所があると聞く。

 酵母、麹の微生物が発酵して酒が出来る。この過程でアミノ酸、酵素が出来る。このアミノ酸と酵素は腐敗してしまうので、保存するため、熱殺菌している。熱殺菌すると、アミノ酸は熱に強いが、酵素は熱に弱いので死滅してしまう。
酵素は、タンパク質からアミノ酸(うま味成分)を引き出す効果がある。地酒は熱処理しないので酵素が生きている。アミノ酸も当然生きている。



地酒の成分・・・東酒造分析による

 グルコースとアミノ酸が多く、木灰の成分であるカリウム・ナトリウム・リン酸が多量に含まれる。

 アルカリ成分
   魚の生臭さ成分であるアミン類を揮発させる。
   肉や魚の身が堅く締まらない。
   アクの出る野菜を煮ても色が変わらずきれいに料理できる。

 グルコース・アミノ酸
   魚肉のうま味を増し、焼き上がりの色つやがよくなり、香ばしい香りを付けてくれる。

 カリウム・ナトリウム・リン酸
   魚肉タンパク質の保水性を高め、コシを強くする。


 このように飲んでよし、料理に使ってよし。すばらしい「薩摩の地酒」である。黒酒は灰持ち酒の中でも特に古代製法にこだわり、成分の含有量が多い。
 私は昨年から「高砂の峰」と「黒酒」を愛用している。

 地酒は1.8リットルで1200円程度で鹿児島県内の酒店で販売している。黒酒は1.8リットルで1700円程度と高いため、鹿児島県内の一部の量販店しか発売されていない。コープ鹿児島では、小瓶を315円で販売している。

最新の画像もっと見る