私の治療の半分以上は氣功が占めます。氣を送っていると、私の掌に患者さんのいろんな情報が届きます。治療でよく後頭部に氣を送っていますが、その時に今日は睡眠不足とか、今日はストレスを抱えているとか、脳のこの部分に異常があるとかいろいろ感じます。
そのような異常感をこちらが感じたときは、その異常感が無くなるまで氣を送り続けます。その過程はいろいろで、掌を当てて直ぐ異常感が現れる人と5分ないし長い人では20分経過してからよやく奥の方から異常感が出てくる人もいます。
経験上、直ぐ出て来る人程体に勢いがある人で、なかなか出て来ない人は老人ないし若くても体の免疫力が低下していて体に勢いがない人、そして体の感受性が鈍くなっている人です。当然そういう後者の人達は、治療において経過が遅くなる傾向があります。ここで、私が今まで氣功して来た治療体験談を2例ほど書いてみたいと思います。
1.胃の全摘手術直後の氣功
知り合いのお母様が胃の全摘手術をするので、病室まで来て手術直後に治療をして欲しいとの依頼を受けて私は病院に向かいました。私は、病室で患者さんが戻って来るのを待ちながら治療の組み立てを考えていました。何分にも手術直後の治療は経験がなく、ここは氣功しかないのではと決め患者さんを待っていました。
程なくして移動ベッドで点滴を付けた知り合いのお母様がウーウーと唸りながら戻って来ました。そこで麻酔が効いていて、意識は戻っていない状態のお母様への治療を始めました。
とにかく、傷口へ氣を送ることに決め掌を軽く当ててみたところ、自分でも始めての感覚で驚いたのですが、自分の手が燃えている感覚で、思わず手を離したい衝動に駆られました。そこで、この感覚が消えるまで絶対に手は離してはだめだと覚悟を決め、氣を送り続けました。
そしてその燃える感覚が消え、今度は手がビリビリと痺れ始めました。それが掌から肘の上まで徐々に上がって来るではありませんか。でもその感覚が消えれば、必ず手術後の経過回復のスピードが改善されると信じて、異常感が消えるまでそのまま氣を送り続けました。
後で、経過が良く傷口がきれいで予定より早く退院できそうだと連絡が入りました。今回、氣功をしていてあの凄まじい異常感は、回復に向けての細胞の叫びだったのではなかったのかと思えてなりませんでした。
2.脳内出血後の氣功
友人のお母様が、脳内出血で倒れ入院しているので病院に治療に伺いました。発病して大分経っており、強い片麻痺が残っていて寝たきりの状態でした。まずお母様に挨拶をしてから、麻痺の状況を観察しポイント治療をしてから患部を探るため頭部に手をかざすと、直ぐに患部が分かりました。
その患部を氣で診ると、約半分が何もなく空洞でそこにピューッと風が吹いている感じなのです。両手で診ているとその感覚はまるで別物で、完全に脳細胞が死んでいる感じでそこにあるべきはずの脳が感じられないのです。そこで、その何も感じられない患部にジーッと氣功をしていましたが、やはり反応はありません。後で、残された健康な脳に氣功をし、少しでも患部の脳細胞の働きを代行して頂こうと思い、その日の治療を終え帰りました。
後で意識が少しはっきりしてきたようで、お孫さんがお見舞いに来ると嬉しそうにしていたと連絡が入りました。体は健康な時はその存在が何も無い様に感じますし、胃が異常の時は胃を感じます。しかし氣で感じてみると健康な時はそこにはしっかりと虚ではなく実を感じるものです。