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里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

イヌザクラの花穂 希少種

2022-05-21 | 日記

一関市花泉町、丘陵地の林道をたどると、樹林がとぎれ水田が広がる一角にでました。
東側の田んぼは耕作されていて、今は田植えの最中です。西側は棚田だったのでしょうが、
耕作放棄されて年数が経つようで、草丈のある雑草に被われています。

耕作放棄地を少し下ると細い沢が流れていて、その流れに沿って雑木林が広がっています。
薄暗い雑木林際に、何か白い花穂を付けた木が一本だけ茂っています。
歩み寄って確認すると、白い花穂はウワミズザクラかイヌザクラのようですが、花穂の長
さが幾分短いように見えるので、イヌザクラかも知れません。

                              二枚とも2022.5.15撮影

梢の花穂を見ただけでは自信がないので、葉の特徴から識別したいと思います。
ウワミズザクラの葉は幅広で、先端部が尾状に長く伸びており、葉縁には鋭い鋸歯があり
ます。写真の葉は幅が狭く、先端部はさほど長くなく、葉縁の鋸歯も目立ちません。
これらはイヌザクラの葉の特徴と合致します。よってこの樹木をイヌザクラと同定します。

イヌザクラは丘陵~低山地に自生していて、深山では見られないようです。
私が踏査する宮城県北~岩手県南では、個体数はかなり少ない印象で、希少種と言って良
いかも知れません。この日も6~7km歩き回ったものの、二本しか確認できませんでした。

                                  2022.5.15撮影

バラ科サクラ属の落葉広葉樹で、樹高10〜15mの高木。本州〜九州に分布する。
丘陵~低山の肥沃な斜面や谷筋に自生し、日当たりを好む。
若木の樹皮は灰白色で光沢があり、淡褐色の横長の皮目がある。老木の樹皮は縦に裂け、
小さな薄片になって剥落する。
葉は互生し、葉身は長楕円形で長さ5〜10cm、先端は尾状に長く尖り、基部はくさび形。
葉縁は波打ち、やや浅い鋸歯がある。質は洋紙質で、ふつう両面とも無毛。
葉柄は長さ1〜1.5cm。蜜腺は葉身の基部にある。托葉は線形で早落性。
花期は4~5月。葉の展開後に前年枝の節から総状花序を出し、白い花を多数付ける。
花序の軸は長さ5〜10cm、短毛が密生し、葉はつかない。
花は直径5〜7mm、花弁は5個、倒卵形で先端は丸い。雄しべは12〜20個、花弁より長い。
雌しべは無毛で雄しべより短く、花柱の先は円盤状に広がり柱頭となる。
萼筒は長さ1.5mmほどの杯形。
果実は核果。直径8mmほどの卵円形。7〜9月に黄赤色のちに黒紫色に熟す。
果肉は苦い。核は扁平な卵形。

 

 



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