里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

オニユリ 野蒜の集落跡

2017-08-04 | 日記

東松島市野蒜地区の市道や防潮堤を歩くと、丘陵地の麓とか原野に、たくさんの
オニユリが咲いているのが見られます。
原野と書きましたが、かつては集落だったのかも知れません。
六年前の大津波で、殆どの住宅や施設が流されましたから、元住民でなければどこに
何が建っていたのか見当も付きません。

あれは3月11日でしたから、オニユリの地上部は枯れてムカゴを地面に散らしていた
ことでしょう。それが流されて山裾に留められ、芽を出したのでしょうね。
ムカゴからの繁殖で毎年株を増やし、オニユリの群生地が形成されたものと推測されます。




                              二枚とも2017.8.3撮影

ヤマユリやコオニユリは、山野に自生しているのを見かけますが、オニユリの
自生株らしきものは見たことがありません。山間集落でも敷地の周辺とか、山の畑で
たくさんの花を咲かせているのは見ますが、原野とか林道沿いには咲いていません。

実は、日本に分布するオニユリは、3倍体のため結実しません。
種子を付ける2倍体のオニユリは対馬や韓国の済州島、釜山などに見られ、あちらでは
3倍体と2倍体の個体が混在していると言います。
たぶん、2倍体が多い地域が、オニユリの原産地なのでしょう。そこから丈夫で大きくなる
3倍体のものが我国へ伝来し、栽培種として普及していったものと推測されます。
かつてオニユリの鱗茎(百合根)は、食料として重宝されていたのでしょう。
そのままでは苦くて食べられませんから、アク抜きして食べていたのでしょうね。
なお、現在「百合根」として販売されているものは、殆どが苦味の無い北海道産の
コオニユリとのことです。




                              二枚とも2017.8.3撮影

ユリ科ユリ属の多年草で、原産地は朝鮮半島と推定されている。
古い時代に鱗茎(百合根)を食用にするため持ち込まれた、史前帰化植物。
現在では北海道~九州の集落や耕作地に植栽され、地域によっては野生化している。
地下に鱗茎があって直径5~8cmの扁球状、白い鱗片が重なり合っている。
茎は高さ1~2mになり、暗紫色の斑点がある。茎の上部には初め白い綿毛がある。
葉は互生し、葉身は披針形~広披針形で長さ5~18cm、幅0.5~1.5cm、先端は尖る。
葉には柄がなく、基部に黒紫色の珠芽(ムカゴ)ができ、これで栄養生殖をする。
花期は7~8月で、茎の上部に直径10~12cmの花を、横向きまたは下向きに
4~20個付ける。花被片は強く反り返り、橙赤色で濃紫褐色の斑点が無数にある。
外花片3個、内花被片3個、雄しべ6個、雌しべ1個、花粉は暗紫褐色。
3倍体のため結実せず、種子はできない。



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