里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヒメコウゾの赤い実

2017-03-26 | 日記
和紙原料の一つであるコウゾですが、時代によって呼び名の変遷があったようです。
かつてコウゾは衣服の原料としても用いられていました。
万葉集に収められている有名な歌に、持統天皇の一首があります。
「春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香具山」の「たへ」は、コウゾから
採った繊維で織った布、と言われています。

ヒメコウゾは元々日本に自生していたもので、これをコウゾと呼んでいたが、
中国のコウゾが持ち込まれて栽培されるようになると、江戸時代に我国自生の
コウゾをヒメコウゾと名づけて区別したとされます。
なお、中国渡来のコウゾはヒメコウゾとカジノキの雑種と言われていて、滅多に
実が生らないようです。
写真の木には赤い実がたくさん生っているので、ヒメコウゾとしました。




                             二枚とも2015.7.5撮影

栗原市南東部では、ヒメコウゾは林際や道路沿いの谷斜面に、多く自生しています。
湿り気のある半日陰を好むようで、そんな環境には藪をなしています。
樹高3m以上の大きめの木では実生りが良く、直径1.5cmほどの大きな実が
鈴生りになっていました。
赤い実のそばに、直径7~8mmの緑色の玉がたくさん生っていますが、これは
未熟な実で、順次赤く熟していきます。

これだけ生っているのに、試食しない手はありません。
大きく軟らかそうな実を選んで何個か食べてみたら、少し甘みがあって食べられました。
ただ、ネットリと粘性のある食感は馴染めませんね。


                                 2015.7.5撮影

クワ科コウゾ属の落葉広葉樹で、岩手県以南の本州~九州に分布する。
丘陵~低山の林縁や道端、荒地に自生し、樹高2~5mの低木で雌雄同種。
樹皮は暗褐色で、狭楕円形の皮目が目立つ。
葉は互生し、葉身は長さ4~10cm、幅2~5cmの卵形で、切れ込みのないものから
2~3裂するものまでまちまち。栗原市南東部においては、切れ込みの無いタイプが殆ど。
縁にはやや細かい鈍鋸歯があり、先端は尾状に尖る。
質は薄く、表面には短毛が散生、葉柄は5~10mm。
花期は4~5月で、新枝の基部の葉腋に雄花序、上部の葉腋に雌花序をつける。
雄花序は直径約1cmの球形、雌花序は直径5mmほどの球形で、赤紫色の花柱が目立つ。
果実は直径1~1.5cmの球形の集合果で、6~7月に橙赤色に熟す。
食べられるが、粘性の食感があり一般受けしない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿