里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

クヌギ 深裂する樹皮

2018-03-27 | 日記
登米市東和町米川地区の北東部、二股川支流に沿った林道を上がって行くと、沢を
はさんだ東側に小高い山がそびえ、そこに落葉広葉樹の森が広がっています。
このあたりの森の林床には笹竹が茂っていないので、岩場でもない限り自由にコース
取りをして歩き回ることができます。

傾斜のきつい斜面をジクザグに上っていくと、あちこちに真直ぐに立ち上がった木が
生えています。樹皮はやや黒ずんでいて、縦に深く裂け目が入っています。
クヌギですね。太平洋側では岩手県が北限とされますから、宮城県内でもあまり見かけ
ないはずと思い込んでいましたが、それは奥羽山系のことであって、こちら南部北上山地
ではよく見かける樹種のようです。




                             二枚とも2018.3.24撮影

クヌギのように樹皮の厚い樹木では、コルク層が厚く積層しゴツゴツしています。
このコルク層は「スベリン」という微生物が消化・分解しにくいロウ物質から出来ていて、
病原菌や害虫から内側の形成層や木部を守るバリアになっています。
さらに、クヌギの樹皮はタンニンを多く含んでいるので、バリア機能がより高くなっています。
そのため樹液に抗菌物質を多量に含む必要がなく、樹液が甘いため、カブトムシなどが多く集まって
くるのです。ちなみにクヌギの大木でカブトムシを探すと、高いところに群がっているのを見かける
ことが多いようです。これは幹の下部ほどコルク層が厚く樹液が出にくいため、コルク層が薄く樹液
が出やすい、幹の上部に集まるからだと言われています。


                                 2018.3.24撮影

ブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、樹高20mの高木。岩手・山形県以南の本州~九州に分布する。
平地~低山地に自生し、関東以南ではコナラとともにごくふつうに見られる樹木。
生育が早く、伐採してもひこばえから生長し、10年もすれば薪炭材として利用できる。
幹は直立し、樹皮は灰褐色で厚く、縦に不揃いに深裂する。
葉は互生し、葉身は長楕円状披針形で長さ8〜15cm、先端は尖り、縁には針状の鋸歯がある。
基部はくさび形、枝のつけ根のものは丸みを帯びる。質は洋紙質で、クリの葉とよく似ている。
葉柄は長さ1〜3cm。托葉は長さ1.2cmほどの線形で、開葉後まもなく落ちる。雌雄同株。
花期は4〜5月、葉の展開と同時に開花する。雄花序は長さ10cmほど、新枝の下部から垂れ下がる。
花序には軟毛が多い。雄花の花被は直径2.5mmほど、雄しべは3〜6個。
雌花は新枝の上半分の葉腋に付く。花柱は3個。
果実は堅果で、直径2〜2.3cmの球形。翌年の秋に成熟する。殻斗には線形の鱗片が螺旋状に
びっしりと付く。鱗片は上部のものほど長く、長さ1cmほど。


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