第4回 心の傷を耕す
安克昌は、その後も継続的に状況を見つめ続けていく。
だが建設された仮設住宅は、かつての住処から遠く離れた場所で、住んでいる人もばらばら。
「物理的な居場所」は確保されたが「心理的な場所」は確保されていないのではないか。
安は、長期のスパンで被災者たちをどうサポートしていくかについて思索を深めていった。
そして、この本は、安の死後、多くの関係者の証言を加えた増補版としてその後も成長を続け、ドラマや映画という二次創作へとつながっていく。
宮地尚子さんは、こうした試みを、心の傷を表現に昇華し将来への豊かな土壌を準備するという意味で「耕す」という言葉で表現する。
震災体験は「耕され」、後々の人々の心を支える培地となっていくのだ。
第四回は、震災体験や心の傷を耕していくとはどういうことかを考える。
HAUSER - Ave Maria
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