時計草むかしを語る惚けし母

　　　　　



　　　　　朝型体内時計や時計草


　　　　　


　　　　　好きなとき食べて寝て起く時計草

ブルーな時はブルーサルビアに寄す

　　　　　


　　　　　


　　　　　愛まっ赤サルビアの零るるほどに


　　　　　サルビアや真紅のフラメンコドレス


　　　　　サルビアを映してブラックコーヒー

酔芙蓉おはりし恋の萎みゆく

　　　　　


　　　　　しほらしく酔ひしをみなや酔芙蓉



　　　　　


　　　　　恋多きをみなと言はれ酔芙蓉


　　　　　未練などさらさらなくて酔芙蓉


　　　　　夕風のどこか甘くて酔芙蓉



　　　　　


　　　　　紅あとの僧の白衣や酔芙蓉

秋の来て浮気心の梯子酒

　　　　　ステテコのずり落ちてまたずり落ちて

月見草きのふ逝きたる人に逢ふ

　　　　　



　　　　　朝の来て魂の抜けたる月見草



　　　　　月見草かなた夜空を行く列車