ときめ句ノスタルジッ句昭和親父の温故知新

思うままに、俳句と唄を、昭和の匂いをぷんぷんさせて。

枯すすき枯れし味の森繁節

2020-02-08 | 冬の俳句



     枯すすき陽の写したるレントゲン


     


     枯すすき思ひ出せなくて丸まる


     


     陽と風と囁きに来る枯芒


     枯芒まるめたる風の足跡


     アトリエのオブジェとなりし枯芒


     枯芒シンガーソングライターす




枯芒と来れば船頭小唄。船頭小唄と来れば、森繫久彌ですね。
意外と、森繫久彌を詠み込んだ句がありませんでした。



風花

2020-02-03 | 冬の俳句
     


     風花を咥へる鳥はゐるかしら


     手に受ける風花便り澄みし空


     風花の妖精のごと漂ひぬ


     


     風花や瞬ひてゐる蛍光灯


     風花や切り絵の楽しアンデルセン


     青空のピアノ音符なる風花


     風花の白き音符の漂へり


     


     風花や波に揺らめく船灯り


     風花や蕪村の墓のひっそりと


     風花やほんやら洞に籠りゆく


     風花を追ふぽっくりや先斗町


     風花や手をやりし舞妓の髪に


     風花やとけて涙の一滴



若い頃、北白川のアパートに住んでいました。
詩仙堂に行き、それからぶらぶらと坂道を行くと、金福寺がありました。藁葺のこじんまりとした芭蕉庵を覗いて見たりしてたら、蕪村のお墓を見つけました。まだ俳句には何も興味のない頃です。
アンデルセンと言う名の喫茶店だったように思うけど。北白川通りのコープの2階だったか、そこでアンデルセンの切り絵のポストカードを買ったことがあります。アンデルセンが切り絵作家でもあったことを知りました。
今日は脱線せずにきれいにまとめましたどすえ。




冬終る

2020-02-02 | 冬の俳句
     


     池の面に鳥の集ひて冬終る


     梢の先のふくらみや冬惜しむ


     


     冬果つや芽の持ち上ぐる朽ちゆく葉


     ゆうゆう窓口間に合はず冬尽く


     目薬を差してぱちぱち冬送る


     焦げつきし鍋を洗って冬終る


     放尿の草に溜まりて冬終る


     抱き合ふ硬き背なや冬の別れ


     皺々の湯上りの手や冬惜しむ


     湯屋帰り星を探して冬惜しむ



春隣

2020-02-01 | 冬の俳句
     


     ぬかるみし田の日を返す春隣


     


     陽を求め出でし野良ねこ春隣


     野良猫の顏を覗かす春隣


     明日のことこれからのこと春隣


     体調の少し戻りつ春隣


     冠に見ゆナースキャップや春隣


     ぽろりと折れし口紅や春隣


     駄菓子屋の飴のカラフル春隣


     手の斑に星座を探す春隣


     治まりし頻尿少し春隣



水仙

2020-01-31 | 冬の俳句
     


     初めての一人暮しや水仙花


     東京に憧れ出でて水仙花


     陽の僅か入る三畳や水仙花


もう半世紀近く経ちますね。19の時でした。つい昨日のことのように思い出します。西武新宿線の上井草だったか下井草だったか、とりあえずは親友の四畳半のアパートに転がり込みました。


     水仙を活けたる大衆食堂


     細長き一輪挿しや水仙花


     


     訃報聴き水仙見つめ居たりけり


     水仙の香や捲る心の栞


     


     水仙の匂ひのしたる和尚かな


     


     はいはいと手を上ぐ子や水仙の芽