ときめ句ノスタルジッ句昭和親父の温故知新

思うままに、俳句と唄を、昭和の匂いをぷんぷんさせて。

水仙

2020-01-31 | 冬の俳句
     


     初めての一人暮しや水仙花


     東京に憧れ出でて水仙花


     陽の僅か入る三畳や水仙花


もう半世紀近く経ちますね。19の時でした。つい昨日のことのように思い出します。西武新宿線の上井草だったか下井草だったか、とりあえずは親友の四畳半のアパートに転がり込みました。


     水仙を活けたる大衆食堂


     細長き一輪挿しや水仙花


     


     訃報聴き水仙見つめ居たりけり


     水仙の香や捲る心の栞


     


     水仙の匂ひのしたる和尚かな


     


     はいはいと手を上ぐ子や水仙の芽




春近し

2020-01-30 | 冬の俳句
     


     春近し小さき水色咲き初むる


     


     そちこちに見慣れぬ鳥や春近し


     


     叢の色やはらかく春近し


     


     膨らみはじむ枝先や春近し



イヌフグリは早春の季語ですが、何年か前に正月にもう咲いてるのを見たことがあります。これも温暖化で、一月から咲き初めるようになってしまったのでしょうか。イヌフグリと入れると季重なりになるので「小さき水色」としました。イヌフグリを想像してもらえるんじゃないかと思って。(*´艸`*)今日は季重なりにならないように、言葉を組み合わせました。

       早起きのコーヒーの香や春隣



冬夕焼

2020-01-29 | 冬の俳句
     


     人のごと並ぶ埴輪や冬夕焼


     


     どこへ行ったか野良猫よ冬夕焼


     



     まうすぐ抜けるトンネルや冬夕焼


     


     キリストの晩餐の絵や冬夕焼


     荘厳な雲のステージ冬夕焼


     宝石の生まるるやうな冬夕焼


     火星へと移住計画冬夕焼



冬は空気が冷たく澄んでるからか、秋とはまた違い、一段と透明感のある夕焼けを見ることが多いですね。
夕焼けの光にふと、火星移住計画が浮かびました。何年か後に飛び立つ予定でしたか。失敗は許されない片道切符。SF映画のようです。が、現実です。





侘助を活けたる部屋の凛とせし

2020-01-28 | 冬の俳句
     


     侘助やしあんくれーると云ふ喫茶


     侘助やむかし聴ひてたモダンジャズ


京都のどこにあったか思い出せないのですが。若い頃の思い出です。京都には素敵な喫茶店がたくさんありますね。


     


     侘助や日課なる老いの繰り言


     


     侘助を一輪活けて張る空気


     侘助や雨の一日部屋の中


     


     ダンディーな老マスターや白侘助


     障子閉め白侘助とコーヒーと




侘助は昔から惹かれていました。好きな花のひとつです。今日の写真は侘助かどうか自信ないですね。最期のは見るからに違います。八重の白椿です。白侘助を写したのが無かったものだから。イメージです。





新聞を切り抜く祖母や実南天

2020-01-27 | 冬の俳句
     


     黒ずんでしまふものあり実南天


     実南天つぶに日の暮れ残りけり


     揺れてゐる南天の実やかくれんぼ


     園児らの忍者ごっこや実南天


     南天の実の萎みたるポッケかな


     


     「ゆうびん」と金歯の親し実南天


     郵便屋さんのバイクや実南天


子供の頃、オートバイで村から村へ郵便配達をしてた、もう定年近いおじさんの笑顔に金歯がありました。後に中学生になって、分校から一緒になったクラスメイトのお父さんだと知りました。


     灯もつけず祖母奥の間に実南天


     実南天ひそと静もる村社


     午後の日の傾き早し実南天


     下駄の音と鍵開くる音や実南天



このところずっとしばらく出かけていません。写真は過去に写したものばかりです。風邪も流行ってるからおとなしく春まで引きこもっていようかな。