デフラグ的初夏の曜日たち

2009年07月12日 11時00分00秒 | 島鉄也
7月8日 スイヨウビ

先日元メンバーのハヤサンちに遊びに行って来た。
彼のパートはドラムで、2年前にバンドを脱退し現在は二児のパパになってる。
脱退した当時はまだ存在すらしていなかったこの子は長男満一歳、とカンジ。
「そろそろおいとまするか」というタカヤンの一言で
淋しくなったのか泣きじゃくる長男に後ろ髪を引っ張られながら僕らは幸せの家庭を後にした。

7月9日 モクヨウビ

久しぶりに高田馬場monoでカンジの弾き語りステージがあった。
出演者は、櫻音ひろゆき、小野一樹、小松和貴。とギター弾き語りアーティストの中、
カンジはピアノの弾き語りでニューアルバムDELTAからの曲を演奏。
個人的にはKAGARIBIがかなりいい感じだった。

7月10日 キンヨウビ
この日は渋谷TAKE OFF 7で同じ事務所の空のレコ発ワンマンライブだった。
久しぶりにやって来たTAKA OFF 7は満員寸前の状態。
ワンマンイベントというのはかなりのバンドエネルギーを必要とするし
タフなバンド程消費するカロリーは大きい。
そのエネルギーが本番ステージでは臨界点に達し爆発する。
まさにそんな理想的でロックなステージを見せてくれた。

そして空のライブが終わり、僕はGLASSTOPの小林佳さんが
高田馬場monoで不定期に催している「K&K」と題したパーティに初めて足を運んだ。
どんなパーティかというと、チャージを払えば朝の5時迄飲み放題で
参加メンバーにミュージシャンがいればステージで曲を披露してくれかもしれないよ、というパーティである。
料金の割には贅沢パーティだと思う。
僕は最近ハイボールが身体に合う様で、ビールは飲まずにハイボールをずっと飲んでいたけど
夜中の2時を回ったあたりでロフト仕様のPAスペースで朝まですっかり眠り込んだのである。
ちなみに「K&K」とは小林佳の頭文字らしい。

7月11日 ドヨウビ

5年ぶりの海。
逗子の一色海水浴場にある「PAPA BEK」という海の家で
GLASSTOPとMUSIQUAが演奏するという事を聞かされた僕は「ここしかナイ」と直感し、
まったくもってバカンスとしてついて行った。

一色ロイヤルなビーチバレー

バカンスとして来たの僕は到着して早々
GLASSTOPとMUSIQUAのリハーサルなんておかまいなしに
リハーサルしている所から500m程離れているオープンバーで
ビールとジントニックを1時間くらいかけて飲んだ。


ジントニックをゆっくり飲み終えて皆がリハーサルしている場所へ戻ると
「みんながリハーサルの準備しているっていうのになんて人だ」と言い放つ
ひーぼうことGLASSTOP 青木宏行とご機嫌さんのMUSIQUAの石橋 沙弥香。

夕焼逆光少女

髭と麦わら帽子
と、こうしてアルコールと写真が唯一の義務かの様に過ごしていると

GLASSTOPの演奏が始まった。

Crescent Moon Labelの面々。

そして太陽が西の彼方に去って行った浜辺は
海の家が唯一の明かりとなる。
ライブイベントが終了すると海に行くぞという事で
GLASSTOPのケンちゃんとMUSIQUAのサヤカの3人で暗闇の海へ走って飛び込んだ。
やはり海は真っ暗で波の音しかしない。
不気味な闇が永遠に続く海の彼方は僕を吸い込む様にも思えた。
そんな海をずんずん進んでいたが振返ると他の二人が着いて来てない。
「あれ?」と思ったけどおかまいなく僕はそのまま進む。
水温の方が温かく感じるのは夜の海の醍醐味だ。
一歩一歩進むごとに水深が深くなる。
海水パンツを持って来たにも関わらず私服のまま海に入った僕は
やっぱり着替えた方が良かったかなと少し後悔。
でもすぐに思い直しまた一歩一歩進む。
水面は胸を越えるところまで来たのでそろそろ泳ぐかと思い
海底を蹴ろうとしたら足に何かが触れた。
始めは海藻か何かだろうと思い気にせずもう一度海底を蹴ろうした。
すると今度はグッと僕の足を何かが掴んだ。
ギョッとしたけど直ぐにケンちゃんかサヤカだろうと思い振返った瞬間

背筋が凍りついた。

二人とも波打ち際に立って手をあげて僕を呼んでいるではないか。

波の音がうるさくて何をいっているか分からなかったけど

とにかく僕を呼び戻そうとしている様だった。

しかし、そんな事よりも僕の足首を掴んでいるのは一体何なのかが気になり

呼び声に集中出来ない。

さらに凍りついた背筋は僕の足をも硬直させてしまい身動きが出来ない。

足首を掴んでいる何かが少しずつ強くなる。

痛くはないが少しずつ掴んでいる力が強くなって来る。

そしてサァーっと足元の水温が一気に下がった気がした瞬間うしろから僕の肩を何かが掴んだ。

僕は掴まれると同時に振り返ると



そこには僕が僕の肩を掴んでいた。


でもそれは見た事もない僕だった。

肩を掴んでいる僕は何か言葉を繰り返しているようだったが

口元が動いているだけで何も話していなかった。

目の焦点は合っておらず僕を見ていない様に思えたが

しっかりと僕だけを見つめている。

顔は青白く血の気は全くない様にも思えたが

僕の肩を掴んでいる手は痛いくらい熱い。

30分くらいそんな眼に見つめられていたかの様に感じたが

今思えばおそらく数秒間であろう。

そしてだんだん口の動きが早くなるにつれて徐々に声が聞こえてきた。

「・あ・え・・る・」

「り・・び・・・」

「る・を・と・・・・ず・・]

そんな言葉の羅列がノイズの様にだんだん大きくなり僕の頭の中を凄まじい音量で駆け巡り続けた。

気が狂いそうになってきた僕は渾身の力と精神を振り絞って

ガッと僕の肩を掴んでいる僕の手を振りほどき海面に強く放り投げ

「一体何が望みなんだ」と音の出ない声で叫んだ。

すると高速に動いていたもうひとりの僕の口元が止まり一言こう言った。
















「とりあえずビールを」