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日経 真央ちゃんの記事(10/16)

2015-10-18 00:01:20 | フィギュアスケート

数日前に日本経済新聞に真央ちゃんの記事があったので紹介します。

かなり詳しく書かれています

浅田真央、はつらつ復帰 「まだやれる」印象づけ

日本経済新聞  2015/10/16 6:30

浅田真央(25、中京大)はまだまだやれる――。フィギュア界に高らかに宣言するような演技だった。3日に行われたジャパン・オープン(さいたまスーパーアリーナ)で、浅田は1年ぶりに競技へ復帰した。プロ・アマ混合、フリーだけで競う団体戦で、花試合のような色が濃いが、採点は公式戦通り。世界中のファンに期待を抱かせ、審判の目をひき付けるのには十分な舞台となった。復帰時に決めた第1目標「去年のレベルまで戻す」はクリアし、浅田もホッとした笑顔を見せた。

3回転半ジャンプ、流れの中ですっと

 試合の幕が上がる前から、浅田のすごさを改めて思い知らされたのはスポンサー数。大会協賛スポンサー7社のうち5社が浅田がテレビコマーシャルに出演する企業だ。マネジメント会社のIMGによると、1年前に休養宣言してからも企業が離れることはなく、むしろ新しいスポンサーが現れたという。3日も会場には試合開始2時間前から、ファンら大勢の人が詰めかけていた。

 佐藤信夫コーチは復帰スケジュールについて、可能ならいきなりテレビ中継のある大きな大会ではなく、中部選手権などの地域大会で慣らしてからと考えていたようだ。そのあと世界選手権(来年3月、米ボストン)の代表選考会である全日本選手権(12月、札幌)に臨みたかったのだが、人気者には自由がなかなか許されない。

 「恋しくなって」戻ってきた試合。独特の緊張感、そして1万人を超える観衆の視線を四方から浴びると、さすがの元世界女王も演技前の表情は硬かった。勘は戻りきってなかったようだが、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に以前のように構えるようなところはなく、男子選手のように流れの中ですっと跳んだ。続く3回転フリップ―3回転ループの連続ジャンプは、後半が2回転になったもののきれいに成功。3つ目のジャンプ、踏み切りのエッジに不確かなところがある3回転ルッツも無難に決めた(「不明確」を示す「!」はついたが減点0.1で済んだ)。

久しぶり(の試合)だけれど、気持ちをコントロールできた。1つのプログラムとして練習したので、(その中の)トリプルアクセルも特別とは思わず、それが試合で生きた」と浅田。ソチ五輪後のルール改正で、同じ種類の2回転ジャンプは2度までしか跳べなくなった。序盤の2連続ジャンプの3回転ループが2回転になったため、演技後半の3回転フリップ―2回転ループ―2回転ループにそのまま挑んだら「跳びすぎ違反」になる。それで3連続ジャンプの2番目の2回転ループを1回転にしたのだが、3番目でもう1度、2回転ループを跳んでもよかった。だが安全策か失敗か、3回転フリップ―1回転ループの2連続でとどまったのは仕方がないだろう。

コーチ「ずいぶん感情が出るように」

 ルール変更があったので単純には比較できないが、復帰前の最終戦、優勝した2014年世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)で披露したフリーと、今回のジャンプの難度はほぼ同じだった。それでいて今回の方がミスは少なかった。

例えば、世界選手権では以下のミスなどがあった。

・トリプルアクセルが回転不足

・3回転フリップ―3回転ループはフリップが回転不足

・3回転ルッツはエッジ違反を示す「e」判定

・今回成功させたダブルアクセル(2回転半ジャンプ)―3回転トーループの2連続ジャンプでトーループをつけられなかった

 今回のフリー141.70点は、14年世界選手権(138.03点)より高く、ソチ五輪(142.71点)に近い。日本で行われた復帰戦へのご祝儀の意味も込められていたろうが、滑り込んでいけば「やれる」という印象をジャッジに植え付けられた。

 これまでシーズン初戦のジャパン・オープンは、ジャンプで崩れてグダグダな演技になることが多かった。浅田も自虐的にこの話題に触れたうえで、「今までで一番いい演技だったんじゃないかな」と笑顔。こうした余裕を見せることは、以前はほとんどなかった。「みんなが見ているし、頑張らなきゃ」という、不必要なほどのプレッシャーを感じず、いい精神状態でいる証拠だろう。

佐藤コーチは「ずいぶん感情が出てくるようになった。これが一番の変化」と指摘する。細かい点を見ていけば、トリプルアクセルを含め、ジャッジによっては回転不足と判断されかねないものもあった。同コーチは「前よりは回転不足がなくなってきたけれど、もう一段頑張らないといけないかな」と言いつつも、「以前より正確に跳んでいた」と評価する。

 「どの選手にもいえるけれど、しばらく休養してからジャンプを跳ぶと、意外にいいことが多い」とも。ただ練習を重ねるうちに、昔の変な癖が戻ってきてしまう可能性もある。浅田のジャンプは修正され、コーチが持つイメージと一致するようになってきたけれど、油断はできない。

練習は自由に、休みの時間も大切に

 競技に向けて練習を再開した今年5月以降、佐藤コーチは浅田に自由にやらせてきた。「気になるところだけ指摘する。いつまでも子供扱いすると、反発も出てくる。もう25歳だそうですから」と冗談っぽく話す。5年前、初めて来たときにはスケートを根本から見直すため基本的な練習を延々と繰り返させた。「彼女ほどの選手がよく不平を言わずやるな」と感心するほど、単調な練習だった。それでも“師弟”の間でスケートへの感覚が違っていたから、理解し合えない部分があり、難しさもあったという。

 「(浅田は)今はやりたいようにやっているから、楽しんでいるのでは」と佐藤コーチ。あうんの呼吸でわかり合えるようになりつつあるからこそ、自由にさせられるのだろう。ソチ五輪前までは「もう絶対にやめなさい」と厳命しないと終えなかった練習も、いい頃合いで浅田の方からリンクを上がる。

 休みの時間を大切にするようにもなっている。浅田は現在、横浜と名古屋で一人暮らし。「家にいるときは自炊。シンプルですけど。野菜を煮たり、焼いたり、ゆでたりして肉や魚をプラスするだけ」というが、料理のほか家事もしないといけないから、おのずとオンとオフの切り替えのリズムができているようだ。

銀メダルに泣いた10年バンクーバー五輪の前、浅田にはスロースターターというイメージがついてしまっていた。シーズン序盤にさえない演技が続くと、その後のグランプリ(GP)シリーズでいい演技をしても思ったほど得点が伸びない。それがシーズン最後にある最も大きな大会(世界選手権、五輪)で響いた。「最近はコンスタントにいい演技をする選手に高得点を出す傾向が強まっている」(米NBCテレビ解説者のジョニー・ウィア氏)。フィギュア界が注目した今季初戦で、復帰前とほぼ同じレベルの演技を見せられたのは大きい。

誰も歩んだことがない道、一歩ずつ

 ただ、ほぼノーミスだったとはいえ、最初から最後まで慎重というか、演技全体にスピード感がなかった。緊張か?と聞くと、浅田はきっぱり否定した。「メンタル的にはすごく良かった。硬かったとは思わない。次に向けてすごくいい試合だったと思う」。佐藤コーチは「これが試合感覚というもの。勘を取り戻していく中で、またいろいろ出てくるでしょう」。

 同コーチが心配するのは、試合勘より体力面。フィギュアスケートは華やかな見た目とは裏腹に、体力勝負の競技である。ジャンプだけでなく、ジャンプとジャンプの間、ジャンプとスピンの間に、細かいステップなどを詰め込めば詰め込むほど点が出るようになっているから、フリーの4分間にやる要素はどんどん増えている。呼吸を整える時間もないほどだ。「昔は演技に酔いしれて、ほーっと一呼吸おいてから大歓声が起きることがあったけれど、今はベテランがどんなに味のある演技を見せても、演技構成点だけでカバーしきれない。10代の若者が体力でポンポン行くのに勝てない面があるんですよ」と佐藤コーチ。

 同コーチはかつて「25歳を超えていく選手を教えたことがない」。トレーニング方法も進化しているし、ベテランの浅田が若手に勝つのは不可能とも思っていないけれど、1試合でどれだけ体力を消耗するのか、読み切れない部分も多い。五輪フィギュアでは1945年以降、男女シングルスとも28歳超のメダリストは皆無で、世界を見渡しても手本になるようなケースがない。

 1年間休養して、15歳の頃のような「挑戦が楽しみでたまらない」といったはつらつさが、浅田によみがえってきた。怖いもの知らずだった15歳の時とは違い、酸いも甘いもかみ分けたうえでのはつらつさだ。演技にうまみが増し、休んでプラスになった部分は確かに多い。

 佐藤コーチは指導者として、18年平昌冬季五輪も想定はしている。しかし、これから浅田が進む道は、かつて誰も歩んだことがない。「まずは1年。一歩ずつ階段を上る感じで」と口をそろえる浅田と佐藤コーチ。次の階段はGPシリーズ中国杯(11月、北京)になる。

(原真子)