ブログ・プチパラ

未来のゴースト達のために

ブログ始めて1年未満。KY(空気読めてない)的なテーマの混淆され具合をお楽しみください。

拙ブログの過去記事でBIについて触れたものーベーシック・インカムについて④

2010年02月24日 | 労働・福祉
ベーシック・インカムについては、拙ブログでも過去、時々触れたことがあるが、内容はかなり貧弱です、御容赦を。

フーコーの「負の所得税」への危惧は、BI批判にも使えそう。

年末にフーコーと経済誌を一緒に読むⅠ 2009年12月30日

という記事では、私がミシェル・フーコーの『生政治の誕生』という本を読んでいる時、フーコーがフリードマンらの「負の所得税」について論じているところを読んで、この議論は「ベーシック・インカム」にもあてはまりそうだな、と思った。

「負の所得税」も「ベーシック・インカム」も、「結果としての貧困」にのみ、手当てを行う。その結果、「貧困の原因」に対するきめ細やかな考察がおろそかになる。

>たとえば「給付金付き税額控除」では、高所得者と低所得者がはっきりと線引きされてしまう。そこでは低所得者がどんな理由で貧困に陥ってしまうのか、その背景を政府が知る必要はない。統計的に人口の何人かが、最低ラインに落ちて死んでしまわないように調整するのが政府の仕事。個人の事情なんて知らない。フーコーの言う「新自由主義的統治術」の一環としての「負の所得税」の考え方というのが、「給付金付き税額控除」にも幾分かは適用できそう。そういえば、ベーシック・インカムの考え方も、これとどこか似たところがあるしなー。

…『生政治の誕生』(252p-253p)…

…負の所得税は、貧困のしかじかの原因を変容させることを目標とするような行動たろうとしているのでは決してないということです。負の所得税は、決して貧困の原因のレヴェルにおいてではなく、ただ単にその諸効果のレヴェルにおいてのみ作用するであろうということ。・・したがって、極端な言い方をするなら、よい貧者と悪い貧者、意図的に労働しない人々と意図的ならざる理由によって労働しない人々とのあいだに、西欧の統治性がかくも長いあいだ打ち立てようとしてきたあの区別など、重要ではないということです。…

You tubeで首相から失業者対策メッセージを-湯浅誠氏の提案 2009年12月24日

での以下の私の呟きは、ベーシック・インカムが政治的合意を得るのが難しいだろう、ということに関係している。

>たとえば、湯浅誠氏が言うように、派遣村に集まる人たちの「いい加減なところ」「性格的に、うっとうしいところ」をテレビで放映してしまったとしたら、日本全国で非難ゴウゴウの嵐が吹き荒れることはほぼ間違いがない。仮想的に、将来ベーシック・インカムを受給している奴らが、サーフィンをして「チャラチャラ」遊んでいる光景がテレビの画面に映し出されたりしたら、多くの人がどのように感じるかを想像してみればよい。

しかし、ベーシック・インカムがもたらす「ライフスタイルの多様性」というイメージには、私も魅力を感じている。

>しかし長期的には私も、日本がライフスタイルの多様性が認められる方向に行ってほしいし、フランスほどではないにしても「社会的連帯」というものがもう少し強くなってほしいと願っている。

「安息日」にも「労働」と同等の価値を認めよ。

安息日のためのベーシック・インカム 2009年12月13日

では、『思想地図』上の田村哲樹氏の論文を読んだことに触発されて、「安息日のためのベーシック・インカム」という発想はないのかなー、と空想していた。「労働」に価値があるのは良いのだが、今の日本のように、(給与を伴う)「労働にだけ」価値があり、それ以外にはない、という社会は息苦しいと思うのである。

>自分の生活のためにあくせくする、という努力以外の「ゆったりとした時間」が人間には必要なのだ、という考え方で両者は一致している。「民主主義のためのベーッシック・インカム」という考え方は、経済より大事なものがある、それが「政治」だ、という考え方。極端に分類すれば、古代ギリシャの理想。他方、「安息日のためのベーッシック・インカム」という考え方は、経済より大事なものがある、それは「宗教」だ、という考え方。言ってみれば古代ヘブライの理想。

宮本太郎『生活保障』-ちょっと難しすぎるという人のために 2009年12月08日

では、岩波新書の『生活保障』を書いた宮本太郎氏も、「アクティベーション」「ワークフェア」型の社会保障を支持しており、「ベーシック・インカム」派とは距離を置いていることを紹介している。

(宮本太郎氏の発言)>であるからこそ、雇用をよりしっかりしたものにしようと言っていくことも必要ですが、他方ではセーフティーネットのあり方そのものを変えていかなければいけない。安定した雇用を前提にした代替型から、十分でない賃金を様々なかたちで補完していく補完型への転換です。ベーシックインカムとまではいかなくても、給付付き税額控除とか負の所得税とか社会手当とか、いろいろ方法はあると思います。また社会保険の再設計も必要です。