正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

五欲を離れずして六根清浄を得る(観普賢菩薩行法経)

2005-11-15 | 妙法蓮華経並開結 略要旨私考

 『法華経』の結経となる「仏説観普賢菩薩行法経」(法華経609)には、
「不断煩悩。不離五欲。得浄諸根。滅除諸罪。父母所生。清浄常眼。不断五欲。而能得見。諸障外事。(煩悩を断ぜず、五欲を離れずして、諸根を浄め、諸罪を滅除することを得、父母所生の清浄の常の眼、五欲を断ぜずして、而も能く諸の障外の事を見ることを得べき。)」(法華経610)
と説かれ、煩悩即菩提と生死即涅槃が示されています。つまり六根清浄です。
 日蓮大聖人は、この経文を釈され『御義口伝』に、
  「第二 不断煩悩(ふだんぼんのう) 不離五欲(ふりごよく)得浄諸根(とくじょうしょこん)滅除諸罪(めつじょしよざい)の事、
  御義口伝に云はく、此の文は煩悩即菩提・生死即涅槃を説かれたり。法華の行者は、貪欲(とんよく)は貪欲のまゝ、瞋恚(しんに)は瞋恚のまゝ、愚癡は愚癡のまゝ、普賢菩薩の行法なりと心得べきなり云云。」(御書1798)
と御教示であります。私達の心に生まれる貪瞋癡の煩悩は、火を扱うが如く、間違った扱いをしなければ生活を快適にします。その快適さが「我此土安穏」になるのです。
 『法華経』が諸仏の宝蔵であり眼目であることが「普賢経」に、
「此大乗経典。諸仏宝蔵。十方三世。諸仏眼目。出生三世。諸如来種。持此経者。即持仏身。即行仏事。当知是人。即是諸仏所使。諸仏世尊。衣之所覆。諸仏如来。真実法子。汝行大乗。不断法種。(此の大乗経典は、諸仏の宝蔵なり。十方三世の諸仏の眼目なり。三世の諸の如来を出生する種なり。此の経を持つ者は、即ち仏身を持ち、即ち仏事を行ずるなり。当に知るべし、是の人は即ち是れ諸仏の所使なり。諸仏世尊の衣に覆われ、諸仏如来の真実の法の子なり。汝大乗を行じて、法種を断たざれ。)」(法華経623)
と説かれています。御本尊様を受持し御題目を唱えれば、諸仏の衣に覆われ自然と守られていきます。
 悪因の根源に舌根であることが「普賢経」に、
「此舌過患。無量無辺。諸悪業刺。従舌根出。断正法輪。従此舌起。如此悪舌。断功徳種。(此の舌の過患無量無辺なり。諸の悪業の刺は、舌根より出ず。正法輪を断ずること、此の舌より起る。此の如き悪舌は、功徳の種を断ず。)」(法華経639)
と説かれ、私達の舌が災いを招き寄せます。日蓮大聖人は『十字御書』に、
「わざわいは口より出でて身をやぶる。さいわいは心よりいでて我をかざる。」(御書1551)
と仰せであります。口からの災いを信心で止めることにより、身口意の三業が落ち着き、六根清浄を得る功徳へと繋がっていきます。それには、日々の勤行唱題で、我を振り返る信心をし、懺悔することが大切です。「普賢経」には、六根の懺悔滅罪の方法が説かれ、末法においては御本尊様に御題目を唱えることで、懺悔滅罪し六根清浄の功徳を得ていき、来世へとその功徳が永遠に続くのであります。
 『御義口伝』に「普賢経五箇の大事」(御書1798)が説かれ「第一 普賢経の事」「第二 不断煩悩不離五欲得浄諸根滅除諸罪の事」「第三 六念の事」「第四 一切業障海皆従妄想生若欲懺悔者端坐思実相衆罪如霜露慧日能消除の事」「第五 正法治国不邪枉人民の事」という、五つの大事があります。
 信心では勤行唱題において、我を振り返り懺悔の気持ちを忘れないことが大切です。懺悔を忘れた結果、我見が強くなり、我が身を滅ぼし不幸になるのです。