正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

方便は真実を説くための手段(方便品第二)

2005-11-15 | 妙法蓮華経並開結 略要旨私考

 釈尊が説かれた仏法は、爾前権教において方便力を巧みに活用され、真実の仏法である法華経に導きます。そして記別を授け成仏させるわけです。
 私達が朝夕の勤行唱題で読誦する「方便品第二(法華経88)」は、迹門十四品の中心であり、重要な意義があります。「諸法実相」において理の一念三千が説かれ、全ての衆生が成仏できると理論的に説かれます。
 方便には、「法用方便」「能通方便」「秘妙方便」という三方便があります。これは天台大師が『法華文句』の三の巻に説かれます。日蓮大聖人は『三種教相事』に、
「方便品を釈するに三の方便有り。文句の三・四に釈せり。法用(ほうゆう)方便随他意の方便、体外の方便、他経能通(のうつう)方便随他意の方便、体外の方便、他経。秘妙(ひみょう)方便 随自の方便、法華の方便。亦体内の方便と云ふ」(御書70)
と三方便について御教示です。「法用方便」「能通方便」が、人の機根を中心とする随他意・体外の方便であり、「秘妙方便」が、仏様の立場が中心となる随自意・体内の方便であります。
 『御義口伝』に「方便品八箇の大事」(御書1725)が説かれています。「第一 方便品の事」「第二 諸仏智慧 甚深無量 其智慧門の事」「第三 唯以一大事因縁の事」「第四 五濁の事」「第五 比丘比丘尼 有懐増上慢 優婆塞我慢 優婆夷不信の事」「第六 如我等無異(にょがとうむい) 如我昔所願(にょがしゃくしょがん)の事」「第七 於諸菩薩中 正直捨方便の事」「第八 当来世悪人 聞仏説一乗 迷惑不信受 破法堕悪道の事」という八つの大事です。
 その中で「第一 方便品の事」において、
「所詮謗法不信の人は体外(たいげ)の権(ごん)にして法用(ほうゆう)・能通(のうつう)の二種の方便なり。爰(ここ)を以て無二無別に非ざるなり。今日蓮等の類(たぐい)南無妙法蓮華経と唱へ奉るは是(これ)秘妙方便にして体内なり。故に妙法蓮華経と題し、次に方便品と云へり。( 中 略 )謗法の人今之(これ)を知らざる故に之を秘と云ふ。( 中 略 )大謗法の人たりと云へども妙法蓮華経を受持し奉る処を妙法蓮華経方便品とは云ふなり。今末法に入って正しく日蓮等の類の事なり。妙法蓮華経の体内に爾前(にぜん)の人法を入るゝを妙法蓮華経方便品とは云ふなり」(御書1725)
と仰せです。仏様が説かれる方便力で一切衆生を誘引し、妙法を人々が受持することで、成仏できることを御指南であります。
 釈尊は「方便品第二」に、
「正直捨方便。但説無上道(正直に方便を捨てて 但無上道を説く)」(法華経124)
と説かれ、法華経は真実であり仏様の立場から説かれた本当に成仏できる教えであります。法華経以外は全て方便であり、法華経に導くための手段であったわけです。
 法華経では更に本門において、三大秘法の御本尊様が秘められており、この御本尊様に導くため、一度人々の立場を主体に考えて方便を説かれたのです。それが「三方便」という「法用方便」「能通方便」「秘妙方便」となります。
 真実の仏法は、方便を捨てたところにあり、そこに歴劫修行ではない即身成仏があります。日蓮正宗では「方便品第二」を読誦するのは、「所破」「借文」という意義があり、爾前権教を破し、方便力を使って真実の法門に入らせる「開示悟入」という意味があります。故に、勤行唱題では「方便品第二」を読誦することが大切なのであります。