李培林「社会管理は早急に強化と刷新を要している」『中国人大』2011年15期
http://www.sociology2010.cass.cn/upload/2011/09/d20110930132059234.pdf
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李培林が「社会管理」の問題について論じた総論的文章。詳細は不明だが、おそらく発表媒体からみて全人代の報告を基にしたものである。
この文章で李培林は、中国における社会管理の弛緩の背景として、農村から都市への人口の流動化と、それに伴う農地の投機化よる紛争の発生、都市に定住した農民工の権利意識の向上、農業税撤廃以降の末端行政の財政難と官民関係の緊張化、「単位」などの中間的組織の弱体化による政府の統治コスト増などを指摘している。
李培林はこの文章の中で、社会管理の方法として、中国の「国情」から出発すれば、中央集権的な路線も民間組織に依存した方法も不可能であり、基層党組織の主導でいわゆる「社会的企業」のような社会サービスを担う末端組織の設立を促し、「社区」を通じて社会管理を担うようになるべきだと主張している。
http://www.sociology2010.cass.cn/upload/2011/09/d20110930132059234.pdf
国内の情勢からみると、我が国の過去30年余りの改革開放や経済社会発展は、一つの新しい段階に入っている。この新しい段階の経済社会発展の情勢の一つの突出した特徴は、経済が急速な発展をし続けていること、政治が相対的安定を維持していること、社会問題の多発と顕在化である。現在の社会問題の多発と顕在化には、多くの要因の影響があり、管理体制からみると、その中で一つの重要な原因は、現行の社会管理体制が何らかの点で急速な工業化、都市化、市場化と国際化のプロセスに完全に適応できていないことであり、社会管理の強化と刷新が切に求められている。わが国の社会管理が直面している状況や新しい問題は、主に以下のいくつかの点に表現しておきたい。
1.社会的な流動性が急速になり、膨大な流動人口を管理する業務の負担が大きくなっている
改革開放後のわが国の急速な工業化のプロセスは、膨大な規模の流動人口を形成している。しかしわが国では、ブラジルやインドなどの国家の工業化・都市化の深刻なスラム化現象は出現しておらず、これはわが国の社会管理の点における一つの成果である。しかし、数多くの都市の農村から都市へ移動する流動人口は、真に都市生活のシステムに融け込むことが難しく、戸籍、就業、住居、子どもの教育、社会保障などの点で非常に多くの困難に直面している。都市流入人口の多数は、都市と農村の結合部と地下建築(?)に集住し、多くの都市が行ってきた都市人口の応じて割り当てる社会管理と公共サービスのシステムも、新しい人口の構造を根拠にした調整を行ってはおらず、大体において流動人口が集住する都市と農村の結合部の管理の力は非常に弱くなっており、このために窃盗、強盗、裏社会、麻薬、売春などの社会問題を引き起こしており、いくつかの流動人口の大規模集住地区では比較的突出している。膨大な規模の流動人口を管理し、全ての方面に社会管理体制を行き渡らせることは、非常に重い負担の任務となっている。
2.都市化が経済発展の新しい動力となり、土地収用、住居の撤去が引き起こす矛盾と衝突が持続的に増加している
今世紀に入ってから、中国の都市化のプロセスは加速しているが、これは経済社会発展の必然的な趨勢である。工業化の後、都市化が現在のところ既にわが国の経済社会発展の新しい強力な動力となっている。都市と農村の二元構造を打ち破り、都市と農村の一体的な発展を実現することが各地の重要な発展目標となっている。しかし、都市化のプロセスにおいて、都市化は工業化に後れを取っており、人口の都市化はさらに土地の都市化に後れを取っている問題が、比較的目立つようになっている。2010年のGDPの増加に占める農業の比重は10%に過ぎないが、農業に従事する人員の全国の従業人員おける比率は依然として38%であり、農村に居住する農民も52%で、これは既に都市に半年以上居住している農村戸籍人口の統計を都市の定住人口としたものである。土地の価格上昇が地方経済の重要な推進力となり、そして政府が財政収入の重要な来源を支配できるというインセンティヴの下で、新しい(新一輪)「土地置換」(?)がブームとなり、大規模な範囲で農地を占拠して強硬に立ち退かせる問題が引き起こしている社会問題が増加しており、これがもたらす悪性の事件や集団的な事件は頻繁に発生し、社会の調和と生産の安定にとって負の影響を与えている。統計によると、2006年から2008年にかけて、国家が農業用地のバランスの維持(耕地占補平衡)を要求する状況のもとでも、全国の耕地が実際に12480万畝も減少し、年平均では4200万畝近く減少し、「十五」(第10次5か年計画の2001-2005年――訳者註)期間の年平均2260万畝の水準よりもずっと高い。いかにして人口の都市化と土地の非農業化のプロセスでよりよく発展と安定の関係に対処し、民衆の利益に深刻な損害を与える事件の発生を防止・途絶させることが、高度に重視されることが求められている。
3.労働力の需要と供給の関係に変化が発生し、民間(非公有制)での労働集約型企業の労働関係の緊張問題が目立っている
わが国の初級の労働力市場関係に深刻な変化が生まれており、新しい労働力の数量は次第に低下し、「十三五」(第13次5か年計画の2015-2020年――訳者註)の期間はマイナス成長に転換するものと予測されている。これと同時に、理論的には農村は依然として2憶あまりの労働力需要を輩出しているものの、農業労働の高齢化現象化が深刻化しているため、農村高齢労働力は最初に非農業労働市場の青年の需要と対等に競いあうことは難しく、2004年依頼に断続的に現れている労働者不足(招工難)問題の常態化と悪化を引き起こしている。この背景の下で、農民工の賃金水準は急速に上昇階段をのぼり、新生代の農民工の労働保護意識と権利維持意識も明らかに強化され、二度と農村生活に戻りたくはないが都市に留まるものも難しいということが、新生代の農民工が直面する困難となっている。そして労働力コストの増加、原材料価格の上昇と人民元の価格上昇は、すべて労働集約型の輸出企業の利益空間を圧縮して、企業主の利益に影響を与えている。この背景の下で、現在、非公有制の労働集約型の企業労働関係の緊張問題が目立つようになり、労働関係の衝突が顕在化しているのである。2010年の、南海ホンダ工場を代表とする、賃上げを目標とした集団ストライキ事件は、「バタフライ効果」を生み出して、沿海部のその他の地区に波及し、全国で前後して数十の規模の大きな集団ストライキ事件が発生した。そしてフォックスコン企業の新生代農民工の連続飛び降り自殺事件は、全社会を震撼させるものであった。こうした事件は、新生代農民工の権利意識の強化と、体面的な労働関係を調和させることに対する渇望が屈折したものである。このように、いかに新しい形勢においてよりよく労働関係を協調させ、労働関係の衝突を法制上のルートに乗せて規範化し、調停かつ処理しくのかは、現在早急に解決を要する問題である。
4.農村の末端財政の力量が脆弱であり、地方の末端の官民関係は調和が必要である
わが国は1994年に分税制を実行して以来、財政は総体として状況が好転しているが、全国多数の地方県以下の末端財政は依然として相対的に薄弱であり、かなりの部分の郷鎮の財政は高額の負債で運営されている。農業税を撤廃して移行は、農業生産地区の末端財政は、他地域からの財政移転による支出に依存しなければならなくなり、財政状況はさらに厳しさを増している。ある地方においては、末端における事務権限と財政権限が一致しない(不匹配)状況がより目立っており、地方財政の一括した経費を必要とする様々な社会的な事務が比較的多く、中央は三令五申で「乱収費」を厳禁しているが、地方政府のなかには財源不足の状況で「群衆収費」という名目にすり替えている問題があって、何度禁止してもなくならない。これに加えて、改革開放以来、地方の歴代政府は非常に多くの社会問題を累積しており、末端政府は往々にして安易に目の前の政治的成果(政績)を重視し、そして「今朝不理前朝政(?)」の規則を守り、現在の末端の官民関係にかかわる問題をさらに増やし、特に民衆の怒りを買うようになっている。近年の民衆の政府対する満足度の調査結果では、民衆の政府に対する満足度が、中央から末端にいくに従って下がるという減少を明らかにしている。農村地域のなかには、農村の空洞化と凋落減少が出現し、郷村の産業はなくなり、若者は去り、富者は都市に家を買って住み、幹部も郷・鎮に住むことがなくなってしまっている。いかに新しい情勢の中で末端の官民関係をよりよく調整し、よりよい社会主義新農村を建設していくのかは、国家の長期安定に関わる社会管理の大問題である。
5.末端の管理体制に変化が発生し、社会問題を解決するメカニズムが弱まった
わが国の社会管理の基礎は、過去は仕事の「単位」により依存しており、「単位組織」も過去には問題を解決する末端のメカニズムであった。現在、絶対多数の城鎮の従業員は、「単位人」から「社会人」に変わっている。こうした状況では、政府は往々にして直接に分散化した個人に直接向き合い、統治の摩擦のコストが大量に増加し、上から下への社会的な事務の徹底と実行も、下から上への社会問題の調停と解決も、いずれも妨げられている。たとえば税収、治安、民生、社会保障、就業、衛生・防疫はおよび徴兵、献血のような社会的な事務は、現在は「単位」に頼るだけでは完全に実行することは非常に難しくなっている。ほかに末端で発生しているいつかの社会的な紛争と矛盾は、現在は「末端で解決する」ことはできず、民衆からすれば「役人を訴える(打官司)」はコストがあまりに高く、相当の部分の民衆は「陳情して法を信じず」、末端政府に要求を伝えるが、現在は政治と企業が分離し、政治と社会も分離しているので、飛び越えて北京に直接陳情するという現象が次第に目立つようになり、民衆の陳情とそれを阻止する地方政府との激しい衝突を招いている。いくつかの地方では、社会問題は長年蓄積してきた広範な民衆の怒りによるものがあるので、きわめて簡単に予想外の事情で集団的な事件を生み出してしまう。ゆえに、いかに社会管理のコストを低下させ、有効に問題を解消する末端の社会メカニズムを形成していくかは、社会管理体制が探究する必要のある新しい問題である。
6.所得格差の拡大と分配の不公平の問題が、社会問題を引き起こす真相の原因となっている
・・・・・・・・・
7.集団的な事件の問題が目立つようになり、様々な新しいタイプの社会的なリスクが高度に重視される必要がある
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8.社会の転換が加速し、社会の治安が直面する問題は日に日に複雑になっている
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1.社会的な流動性が急速になり、膨大な流動人口を管理する業務の負担が大きくなっている
改革開放後のわが国の急速な工業化のプロセスは、膨大な規模の流動人口を形成している。しかしわが国では、ブラジルやインドなどの国家の工業化・都市化の深刻なスラム化現象は出現しておらず、これはわが国の社会管理の点における一つの成果である。しかし、数多くの都市の農村から都市へ移動する流動人口は、真に都市生活のシステムに融け込むことが難しく、戸籍、就業、住居、子どもの教育、社会保障などの点で非常に多くの困難に直面している。都市流入人口の多数は、都市と農村の結合部と地下建築(?)に集住し、多くの都市が行ってきた都市人口の応じて割り当てる社会管理と公共サービスのシステムも、新しい人口の構造を根拠にした調整を行ってはおらず、大体において流動人口が集住する都市と農村の結合部の管理の力は非常に弱くなっており、このために窃盗、強盗、裏社会、麻薬、売春などの社会問題を引き起こしており、いくつかの流動人口の大規模集住地区では比較的突出している。膨大な規模の流動人口を管理し、全ての方面に社会管理体制を行き渡らせることは、非常に重い負担の任務となっている。
2.都市化が経済発展の新しい動力となり、土地収用、住居の撤去が引き起こす矛盾と衝突が持続的に増加している
今世紀に入ってから、中国の都市化のプロセスは加速しているが、これは経済社会発展の必然的な趨勢である。工業化の後、都市化が現在のところ既にわが国の経済社会発展の新しい強力な動力となっている。都市と農村の二元構造を打ち破り、都市と農村の一体的な発展を実現することが各地の重要な発展目標となっている。しかし、都市化のプロセスにおいて、都市化は工業化に後れを取っており、人口の都市化はさらに土地の都市化に後れを取っている問題が、比較的目立つようになっている。2010年のGDPの増加に占める農業の比重は10%に過ぎないが、農業に従事する人員の全国の従業人員おける比率は依然として38%であり、農村に居住する農民も52%で、これは既に都市に半年以上居住している農村戸籍人口の統計を都市の定住人口としたものである。土地の価格上昇が地方経済の重要な推進力となり、そして政府が財政収入の重要な来源を支配できるというインセンティヴの下で、新しい(新一輪)「土地置換」(?)がブームとなり、大規模な範囲で農地を占拠して強硬に立ち退かせる問題が引き起こしている社会問題が増加しており、これがもたらす悪性の事件や集団的な事件は頻繁に発生し、社会の調和と生産の安定にとって負の影響を与えている。統計によると、2006年から2008年にかけて、国家が農業用地のバランスの維持(耕地占補平衡)を要求する状況のもとでも、全国の耕地が実際に12480万畝も減少し、年平均では4200万畝近く減少し、「十五」(第10次5か年計画の2001-2005年――訳者註)期間の年平均2260万畝の水準よりもずっと高い。いかにして人口の都市化と土地の非農業化のプロセスでよりよく発展と安定の関係に対処し、民衆の利益に深刻な損害を与える事件の発生を防止・途絶させることが、高度に重視されることが求められている。
3.労働力の需要と供給の関係に変化が発生し、民間(非公有制)での労働集約型企業の労働関係の緊張問題が目立っている
わが国の初級の労働力市場関係に深刻な変化が生まれており、新しい労働力の数量は次第に低下し、「十三五」(第13次5か年計画の2015-2020年――訳者註)の期間はマイナス成長に転換するものと予測されている。これと同時に、理論的には農村は依然として2憶あまりの労働力需要を輩出しているものの、農業労働の高齢化現象化が深刻化しているため、農村高齢労働力は最初に非農業労働市場の青年の需要と対等に競いあうことは難しく、2004年依頼に断続的に現れている労働者不足(招工難)問題の常態化と悪化を引き起こしている。この背景の下で、農民工の賃金水準は急速に上昇階段をのぼり、新生代の農民工の労働保護意識と権利維持意識も明らかに強化され、二度と農村生活に戻りたくはないが都市に留まるものも難しいということが、新生代の農民工が直面する困難となっている。そして労働力コストの増加、原材料価格の上昇と人民元の価格上昇は、すべて労働集約型の輸出企業の利益空間を圧縮して、企業主の利益に影響を与えている。この背景の下で、現在、非公有制の労働集約型の企業労働関係の緊張問題が目立つようになり、労働関係の衝突が顕在化しているのである。2010年の、南海ホンダ工場を代表とする、賃上げを目標とした集団ストライキ事件は、「バタフライ効果」を生み出して、沿海部のその他の地区に波及し、全国で前後して数十の規模の大きな集団ストライキ事件が発生した。そしてフォックスコン企業の新生代農民工の連続飛び降り自殺事件は、全社会を震撼させるものであった。こうした事件は、新生代農民工の権利意識の強化と、体面的な労働関係を調和させることに対する渇望が屈折したものである。このように、いかに新しい形勢においてよりよく労働関係を協調させ、労働関係の衝突を法制上のルートに乗せて規範化し、調停かつ処理しくのかは、現在早急に解決を要する問題である。
4.農村の末端財政の力量が脆弱であり、地方の末端の官民関係は調和が必要である
わが国は1994年に分税制を実行して以来、財政は総体として状況が好転しているが、全国多数の地方県以下の末端財政は依然として相対的に薄弱であり、かなりの部分の郷鎮の財政は高額の負債で運営されている。農業税を撤廃して移行は、農業生産地区の末端財政は、他地域からの財政移転による支出に依存しなければならなくなり、財政状況はさらに厳しさを増している。ある地方においては、末端における事務権限と財政権限が一致しない(不匹配)状況がより目立っており、地方財政の一括した経費を必要とする様々な社会的な事務が比較的多く、中央は三令五申で「乱収費」を厳禁しているが、地方政府のなかには財源不足の状況で「群衆収費」という名目にすり替えている問題があって、何度禁止してもなくならない。これに加えて、改革開放以来、地方の歴代政府は非常に多くの社会問題を累積しており、末端政府は往々にして安易に目の前の政治的成果(政績)を重視し、そして「今朝不理前朝政(?)」の規則を守り、現在の末端の官民関係にかかわる問題をさらに増やし、特に民衆の怒りを買うようになっている。近年の民衆の政府対する満足度の調査結果では、民衆の政府に対する満足度が、中央から末端にいくに従って下がるという減少を明らかにしている。農村地域のなかには、農村の空洞化と凋落減少が出現し、郷村の産業はなくなり、若者は去り、富者は都市に家を買って住み、幹部も郷・鎮に住むことがなくなってしまっている。いかに新しい情勢の中で末端の官民関係をよりよく調整し、よりよい社会主義新農村を建設していくのかは、国家の長期安定に関わる社会管理の大問題である。
5.末端の管理体制に変化が発生し、社会問題を解決するメカニズムが弱まった
わが国の社会管理の基礎は、過去は仕事の「単位」により依存しており、「単位組織」も過去には問題を解決する末端のメカニズムであった。現在、絶対多数の城鎮の従業員は、「単位人」から「社会人」に変わっている。こうした状況では、政府は往々にして直接に分散化した個人に直接向き合い、統治の摩擦のコストが大量に増加し、上から下への社会的な事務の徹底と実行も、下から上への社会問題の調停と解決も、いずれも妨げられている。たとえば税収、治安、民生、社会保障、就業、衛生・防疫はおよび徴兵、献血のような社会的な事務は、現在は「単位」に頼るだけでは完全に実行することは非常に難しくなっている。ほかに末端で発生しているいつかの社会的な紛争と矛盾は、現在は「末端で解決する」ことはできず、民衆からすれば「役人を訴える(打官司)」はコストがあまりに高く、相当の部分の民衆は「陳情して法を信じず」、末端政府に要求を伝えるが、現在は政治と企業が分離し、政治と社会も分離しているので、飛び越えて北京に直接陳情するという現象が次第に目立つようになり、民衆の陳情とそれを阻止する地方政府との激しい衝突を招いている。いくつかの地方では、社会問題は長年蓄積してきた広範な民衆の怒りによるものがあるので、きわめて簡単に予想外の事情で集団的な事件を生み出してしまう。ゆえに、いかに社会管理のコストを低下させ、有効に問題を解消する末端の社会メカニズムを形成していくかは、社会管理体制が探究する必要のある新しい問題である。
6.所得格差の拡大と分配の不公平の問題が、社会問題を引き起こす真相の原因となっている
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7.集団的な事件の問題が目立つようになり、様々な新しいタイプの社会的なリスクが高度に重視される必要がある
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8.社会の転換が加速し、社会の治安が直面する問題は日に日に複雑になっている
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李培林が「社会管理」の問題について論じた総論的文章。詳細は不明だが、おそらく発表媒体からみて全人代の報告を基にしたものである。
この文章で李培林は、中国における社会管理の弛緩の背景として、農村から都市への人口の流動化と、それに伴う農地の投機化よる紛争の発生、都市に定住した農民工の権利意識の向上、農業税撤廃以降の末端行政の財政難と官民関係の緊張化、「単位」などの中間的組織の弱体化による政府の統治コスト増などを指摘している。
李培林はこの文章の中で、社会管理の方法として、中国の「国情」から出発すれば、中央集権的な路線も民間組織に依存した方法も不可能であり、基層党組織の主導でいわゆる「社会的企業」のような社会サービスを担う末端組織の設立を促し、「社区」を通じて社会管理を担うようになるべきだと主張している。