流雲片々   ~ 香川県・高松市 曹洞宗 祥福寺 ~

おりおりの風光とよしなし事を思いつくままに。栗林公園の南西、小高い山の中腹に閑居する禅寺和尚の雑記です。

送行(そうあん)

2011年11月28日 | 日記
禅門で
道場での修行をひとまず終えて
旅立つことを送行(そうあん)といいます

学校であれば
学業を修めて学庭を出るときは卒業ですが

禅門では
修行に終りはありません
一箇所の道場での修行にきりをつけても、それは次の修行の始まり

そのため
道場の門を出ることを
次の修行へおもむくという意味で、送行(そうあん)もしくは、乞暇(こうか)と云います


今日
一人の青年が
М車工務店での大工修行を終えて郷里に帰ると 挨拶にきてくれました
初めて彼に出会ったのは5年前、修行に入ってすぐに下働きで来てくれたときです

彼の成長ぶりは
平成20年9月「寺たより」で紹介した通りです
もしよかったら、ホームページを閲覧してみてください

その彼が
御礼奉公を終えて 明後日帰ると
郷里の日本酒をもって 挨拶にきてくれたのです



早速
本尊様にお供えしたのですが

ふと
唐の時代、于武陵(うぶりょう)の
『 勧君金屈巵 満酌不須辞 花発多風雨 人生足別離 』という漢詩を思い出しました

日本では
井伏鱒二の名訳で有名な
『 コノサカヅキヲ 受ケテクレ  ドウゾ ナミナミ ツガシテオクレ  ハナニ アラシノ タトエモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ 』という漢詩です

遠くから修行に来ている若者たちは
棟梁を任せられるようになるまで修業を積んで
成長したら、故郷で活躍するべく 親方のもとを離れていきます
故郷で息子の成長を待ちわびていた親御さんは さぞ喜んでおられることでしょう

明後日
成長した若者を送り出す
М車工務店の親方や先輩達も
頑張れと笑顔で送り出すんでしょうね、一抹の寂しさを胸にしまって・・・

頑張れ、T君
身体に気を付けて!
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