獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

友岡雅弥さんの「地の塩」その12)国際生活機能分類(ICF)制定

2024-05-20 01:18:57 | 友岡雅弥

友岡雅弥さんは、執筆者プロフィールにも書いてあるように、音楽は、ロック、hip-hop、民族音楽など、J-Pop以外は何でも聴かれるとのこと。
上方落語や沖縄民謡にも詳しいようです。
SALT OF THE EARTH というカテゴリーでは、それらの興味深い蘊蓄が語られています。
いくつかかいつまんで、紹介させていただきます。

 


カテゴリー: SALT OF THE EARTH

「地の塩」という意味で、マタイによる福音書の第5章13節にでてきます。
(中略)
このタイトルのもとに書くエセーは、歴史のなかで、また社会のなかで、多くの人々の記憶に刻まれずにいる、「片隅」の出来事、エピソー ド、人物を紹介しようという、小さな試みです。


Salt28 - 知恵は地方にあり、現場にあり

2018年6月25日 投稿
友岡雅弥


国際生活機能分類(ICF)は、WHOが、21世紀が始まった2001年の5月の総会で採択したものです。

WHOでは、今までの医療というものが、

国際疾病分類(ICD)や、国際障害分類 (ICIDH)という「患者をカテゴリー」にお仕込み、その疾病を手術や薬で無くして終わり。

亡くなったら、すいません。

患者の生活レベルでの背景は、お構いなし。

ということの反省から、

社会的、文化的背景も含めて、「患者の課題を克服する」のではなくて、「社会側の課題を克服する」方向にすすんできました。

そして、国際生活機能分類(ICF)制定へと至るわけです。

ICFは、ある意味で、“生きることの全体像”を示す“共通言語”とされています。

今までの医療で扱われていた「心身機能」のほかに、「活動」、そして「社会参加」まで広く視野に入れて、1人の人が生きることの全体像を見ていこうという考えで、医療の外に、経済、労働環境、教育環境、社会保障なども、包括的に見て、一人一人の生活機能の向上を図ろう、そのための社会を作って行こうという考えです。


ちなみに、ICFには、カナダやヨーロッパ諸国、そして日本の障がい当事者団体の運動や要望が大きく取り上げられています。
だから、この新しい時代を開く「健康のイメージ」づくりに、日本の障がい者のかたがたのちからが、大きく働いたことに、私たちは、誇りを持っていいと思います。

「日本すごい!」というのなら、こういうほんとに、世界的な影響を与えた障がい当事者の運動が、なぜ、「すごい!」と、広く採り上げられないのでしょうかね。


もちろん、それが「すごい、すごい」と言っただけでは、何の解決にもならないので、その目的の達成のために、「私」も何かしなければならないわけですが……。

そのように画期的なICF。

でも、それは、もう60年前に、岩手の沢内村や、長野の佐久総合病院で行われていたこと(ヨーロッパ諸国やカナダでも、いくつかの医療機関がやっていたこと)でした。

一人一人を、「疾病」だけの観点ではなく、総合的、包括的な「生活」という観点か ら、医師中心ではなく、保健師さんや、地区の保健委員(地域の「エラい」さんではなく、自分もいろんな経験をした女性が多かった)や、文化委員さん(地域で、読書会や映画会、演劇とかのグループを作る)を中心(もちろん、そのさらに中心は当事者)としたシステム作りをしていた。

ラッキーなことに、震災で、東北に通い続けるうちに、沢内病院の増田進医師や、佐久総合病院の若月俊一先生の直弟子であり震災後、石巻に来た長純一ドクターに、親しくしていただき、また、同じく、在宅ターミナルケアで全国注目の宮城県大崎市の「穂波の郷クリニック」には、ボランティアスタッフの一員として入れてもらい、末期患者さんと、いろんな生活を共にさせてもらったりしました。

2016年10月大崎で開かれた、第19回日本在宅ターミナルケア協会の全国大会の運営委員にもしてもらい、日本中のリハビリ、ターミナル、在宅医療・看護の専門家のかたたちと、交流できました。

協会の出版物の編集にも携わることもでき、まさに、一人一人の生活支援の包括的な取り組みにかかわっていらっしゃる全国何十の施設や団体のことも知ることもできました。

ほんとに、知恵は地方にあり、知恵は現場にありでした。

また、おいおい、その経験は書いていくつもりですので、乞うご期待。
とりあえず、今回はICFの存在と、その物の考え方をご理解いただき、そういう社会を作ろうかなー、と思っていただければ。

 

 

 


解説
社会的、文化的背景も含めて、「患者の課題を克服する」のではなくて、「社会側の課題を克服する」方向にすすんできました。
そして、国際生活機能分類(ICF)制定へと至るわけです。

医師でありながら、ICFのことは知りませんでした。
不勉強で申し訳ありません。


震災で、東北に通い続けるうちに、沢内病院の増田進医師や、佐久総合病院の若月俊一先生の直弟子であり震災後、石巻に来た長純一ドクターに、親しくしていただき、また、同じく、在宅ターミナルケアで全国注目の宮城県大崎市の「穂波の郷クリニック」には、ボランティアスタッフの一員として入れてもらい、末期患者さんと、いろんな生活を共にさせてもらったりしました。
(中略)
ほんとに、知恵は地方にあり、知恵は現場にありでした。

友岡さんの、現場からの報告を読みたかったです……

 

友岡雅弥さんのエッセイが読める「すたぽ」はお勧めです。

 

獅子風蓮



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