くまだから人外日記

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【偽書】虹メイル・アン 〔第八話〕藍深き深海より聖者は鐘を打つ 11

2018-04-01 18:42:53 | 【偽書】シリーズ
「衝撃で座席から落ちた際に床の基盤を打ちつけて割れたカバーに脚を挟んだ様です」
「探査挺に“喰われた”んですね」
クスッと笑う様にサニーはセイラに手を差し伸べる。
「あまり好きな比喩ではありませんね。ああ、ありがとうございます」
サニーの手を頼りに片腕を床に着けて挟まった左脚を床から抜くセイラ。
「抜けましたね」
「何とか。所であの“カレンのそっくりさん”は?」
「分かりません。攻撃を避けて逃げたのなら良いのですが」

ー「セイラ。サニー。二人共無事なの?」
ー「こちらアンです。船体やボディの状況を把握出来ますか?」
僕とアンの声が挺内に響く。

「翔太郎とアンですね」
「私もサニーも無事です。照明の回路がダウンしましたが。挺内の自己診断を開始しました」
ー「やれやれ。ビックリさせるなあ。ところで海底のカレンは?」
「モニターには映っていませんね」
「内部の損傷は無い様ですね。外部の診断機能は持っていませんから分かりませんが、今のところ漏水などは無い様です」
ー「良かった」
カレンの安堵の声が挺内に響く。


「例の海底のカレンの“言葉”の解析結果が出たよ」
リンダがサブのモニターを開いて映像に口元をアップで映して音声を流す。
「ワタシハケイコクスル…イマスグカイテイカラヒキアゲナサイ…アヤシゲナレンチュウガシュツボツシテイマス…ケイコクス…」
「警告だってさ…」
「早く言ってよ〜。被弾する前に」
メルティとリンダが笑い合う。
「この“カレン”さんは敵の存在をセイラ達に知らせてくれたんですね」

ー「出来れば私達に通じる言語で聞きたかったですね。被弾する前に」
ー「後、床を抜く前に…ですね」
セイラをサニーが補足する。
「セイラ、やっちゃったんだ…」
ー「ルナに言われたくなかったです」
「さて。次の妨害が始まる前に救助目的の場所へそのまま進行降下しましょう。出来ますか?」
ー「降下は継続中なので問題ないと思われます」
「それにしてもその人魚のセイラはどうしたのかな?」
「気になりますか?翔太郎」
「うん」
ー「せっかくですが翔太郎。人魚どころでは無さそうです。魚雷第二波をレーダーが補足。挺にこれ以上のダメージは、これからの救助業務に支障が生じる可能性が」
セイラの声が僕等の居る探査挺指令室に響き渡る。







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筆者敬白