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「ベイブ」 心と器 6

2008年07月05日 | 前ブログ 心と器シリーズ

お待たせしました(誰も待ってないって! 笑)

連載6回目です。

「アンテナ」 心と器 5

 

予告通り、今回は子豚が主役の映画「ベイブ 1」 Yahoo映画に関するお話しです。

まず、これ観てますか?

観てないと話しが全く伝わりません。

観てない方は、せめてWiki「ベイブあらすじ」だけでも読んでみて下さい。

 

まずね、

この映画を観た感想は、Yahoo映画のページに寄せられているコメントの様に、

「素直に生きてたら必ず報われる時が来る」とか、

「希望は捨てるな、最後まで諦めるな」とか、

「生き延びてさえいれば必ず良い事がある」とか、

「お願いと感謝が大事」とかね、

そういう感想だと思うんですよ、普通は。

 

しかし、私は全く違った意味で捉え、とても良い作品だと感じました。

(勿論、本来の上記の様な感想も持ちましたが、それ以上に違う意味の方が、心を病む人に価値があると思います


まず、
農業や牧羊を営む主(アーサー)家に引き取られたベイブに、

その家の動物界での主、犬の(レックス)に「この世のルール」を教えられます。

それは、
「生きるものは全て役割がある、その使命に感謝し、全うする事だ」というもの。

これ、人間界にもそのままそっくり言える事ですよね。

「器」です。

人間だって、それぞれ「器」に応じた使命ってものがあります。

自分の希望や理想と自分の器とは必ずしも同じとは限らないのです。

それぞれの器に応じた出来る事を全うし、いつまでも器が足りない理想を求めるより、それだけでも出来る事がある事に感謝する事です。


運命を受け入れ、感謝し、全うする事です。
運命で100%人生が決まってしまうって事もないとは思います。
それでしたら、このベイブの生き方と結果はなかったでしょう。

しかし、殆ど運命(器以上)は変える事が出来ないのです。

それを無理に(いつまでも理想にしがみ付いていると)運命を変えようとすると、
痛いしっぺ返しに遭うのです。


それを表しているのがアヒルの(フェルディナンド)です。

アヒルは、自分の運命を知っていました。

アヒルは、人間に食べられる為に飼われている事を知っています。

しかし、それに逆らい、無理に生き残ろうと考えます。

ニワトリの真似をし、ニワトリより先に起きて屋根に上り、朝の時をガーガー声で知らせだします。

それで、身の丈に合わない「新しい使命」を無理に身につけ生きようとしました。

アヒルはそれで生きる価値を得たつもりでしたが、家人にとっては、朝からガーガー声のアヒルの叫びはうるさく、迷惑でしかないのです。

ある日、その家に「目覚まし時計」を奥さんが買ってきます。

それを知ったアヒルは、自分の生きる価値が無くなってしまうと思い、目覚まし時計を盗み出す事を計画し、ベイブを誘います。

そして、盗みは失敗に終わり、ベイブは犬のレックスに叱られます。

「立場をわきまえろ! 人間の家になど、豚の分際で入ってはいけない!」
「人間の家に入れるのは、ペットとしての動物だけだ!」と。

盗みに失敗したアヒルは、もう食べられると思い、食べられる位ならと、その牧場から家出し、旅立ちます。

映画ではそのアヒルがどうなったかはなかったですが、飼われていたアヒルが、一匹自然界で生き延びれる程、自然は甘くない事は明らかです。

そのすぐ後のアーサー家のクリスマスのメインディッシュは、アヒルでした。


この事も「運命を受け入れろ」

「身の丈に合わない事には必ず無理が生じる」というメッセージですね。

 

そして物語の最後は、

牧羊犬コンテストに、犬でなく子豚のベイブが出場し、フライやレックスの力を借り、
見事優勝し、史上初世界最強の牧羊「豚」に輝き、

「素直に生きれば必ずいい事がある」とか、

「素直に生きてれば、時には身の丈も破れる」とか、

「何事も不可能な事はない、誰でも無限の可能性がある」という、

人生の応援メッセージという意味合いで幕を閉じます。



確かにそうです。

結果を恐れ、始めから「出来ない」と決めてしまっては何も始まりません。

それは、人間界でもとても大切な事。

そして、素直に生きる、嘘をつかず、飾らない素直さで正直に生きる。

とても大切な事です。


しかし、私は、そういう見方以上に、

「世の中のルールを守れ」

「運命(器)を受け入れ、それを全うする」

「身の丈に合った生き方をしろ」

「身の丈以上の事を求めても、いずれは無になる」

というこれらのメッセージの方を重要視して欲しいのです。

心を病む方々に・・・。

 

私達は、あらゆる可能性を持って生まれ、あらゆる冒険心と共に、

自分が「どの道」で、「どこまで行けるか」という事を、

「描いた理想」という形で現実化しようとします。

それは「学校」であったり、「職業」であったり、「会社」であったり、「恋愛」であったり・・・。

それらのあらゆる出来事の中においても「もっと、こうあれば・・・」という事を、貪り、求めます。


でも、人間には「運命」があり、

それぞれの運命に合った「身の丈」というものがあります。

身の丈に合った実力しか備わっていないのです。


身の丈以上の出来事がどんどん起こってくる人は、
「貴方はもっと大きな活躍をしなければならない運命の人です」と、時空が教えてくれているのです。
そして、徐々に実力がつく経験を積ませてくれます。

しかし、「なんで私にはトラブルや上手くいかない事ばかり起こるのだろう」って心を病む人は、
現状の事をこなせる程の実力が付いていないのに、身の丈以上の事をしようとしているからです、無理に。

この上記の2つ、渦中に居る時は、どちらの状態なのか判断が難しい場合があります。

次から次へと難題が起こってくるという観点では、同じに感じるから・・。

しかし、本質が違います。
実力をつける為の経験の場合は、事柄や内容がステップアップしていくのに対して、実力が付いていない場合には、悩みの原因は、殆ど「問題は同じ」です。

それをしっかり見極めないといけません。

同じ事柄でいつも越えられないクセに、
「私は経験を積ませてくれている」などと勘違いしていては、いつまでたっても「現在地」が分からないまま挙句に心のバランスを乱してしまいます。


若かったり、若くなくても人生経験の少ない、あるいは経験だけは積んでいるのに身についていない人の多くは、

そして「心の病」になる人の多くは、

『自分も「ベイブ」になれるかも』って、どこかで思っているのです。


「身の丈」は分かってるつもりだけど、自分なら「ベイブ」みたいに、

身の丈以上の事を成し遂げられるかも・・・って。



しかし、正直申し上げて、

人間、「器」以上の事は出来ません!100%!

一時的に出来たとしても、継続は絶対に出来ないのです。


器以上の事(実力以上の事)を無理に継続しようとするから、

「自分はこんなに悩み頑張っているのに」と、心のバランスが崩れ、もっと後退してしまうのです


勿論、器を大きく、徐々に実力をつける事は出来ます。

しかし、今ある器以上の事は、どうあがいても出来ないのです。


自分の「現在地」を正しく評価する事です。

正しく評価し、今の器で出来る事を素直に喜び感謝する事です。

そうする事によって、徐々に器が大きくなり、器に応じた使命が与えられるものです。


自分の現在地を過大評価してはいけません。

過大評価しているから、実力に見合ってない「自分の欲求通りの事を欲しがる」のです。

心の病になる方の多くの共通点は、正に「アヒル」状態になっています。

人間は食われる事はないので、安心して運命を受け入れ、使命を全うすればいいのです。

 

そんな風に観るとまた違った意味で、とてもいい映画だと感心します。

精神的に不安定な方、またそうでない方も、一度鑑賞をお勧めします。


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2 コメント

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待ってましたよ~ (かい)
2008-07-05 20:56:25
お帰りなさいまっつんさん♪
凄くよく分かります。
私達にはそれぞれ持って生まれた役割・使命があるんですよねっ!
先ずはそれを全うすること!が、基本なんですよね‥
今の自分の役割さえ果たせてないのに背伸びし過ぎてるんですよ~
今(現状)を有難いと思い、多くを望まず、与えられた事に精一杯努めるべきなんですよ‥
そんな心持ちになれば肩の力が抜け『楽』なんじゃないでしょうか?
ひたむきに自分の役割に徹する!評価されようが、されまいが‥。に、早く気付いたら良いと思います。

ありがとうございます。
返信する
いやいや~、 (まっつん)
2008-07-06 14:15:30
☆かいさん

お待ち頂いて恐縮です。

基本「足るを知って」「感謝」です。

感謝のない所には、それ以上のモノがリンクしません。
最後のまとめに入るまで、まだかかりそうですので、
まだまだお付き合い願います(笑)
返信する

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