NPO九州森林ネットワーク

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森からはじめる家づくり 「久山の家」勉強会

2006年05月30日 15時34分19秒 | <日々徒然・イベント>
大分の三浦理事から勉強会の案内を頂きましたので、以下、案内文を転記します。
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 今年から、福岡県久山町の「森」と「人びとの暮らし」を守ることをテーマに、久山町の木材を使用した家づくり【久山の家プロジェクト】を開始しました。
このプロジェクトでは、原木から建築現場搬入の段階まで生産履歴を開示する「木材トレサービリティ」にも取り組んでいます。
 そこで今回、プロジェクトに参加する森林所有者・製材所・森林組合・建築士・久山町と消費者の皆さんが一緒になって、これからの「住まい」を考える勉強会を開催します。


日 時:平成18年6月16日(金)19:00~21:00(開場18:00)
場 所:アクロス福岡 1階円形ホール
プログラム
 原木選びからはじまる家づくり「久山の家」編
       (ミウラクワノパートナーシップ(有) 三浦逸朗氏)
 「自分にふるさとができた!」と住民が喜ぶ田園楽住とは?
       (NPO日本都市計画家協会 柳沢厚氏)
 「賃貸マンション並みのローンで家を建てる」
       (協同組合地域づくり九州 糸垂貞喜氏)
参加費:無料(ただし、事前の申し込みが必要)
主催・問い合わせ・申し込み:久山町田園都市課
TEL:092-976-1111 FAX:092-976-2463
E-mail:toshiseibi@town.hisayama.fukuoka.jp


材料から原料へ

2006年05月30日 10時41分37秒 | <山の現状・林業家>
1ヶ月前になりますが、GW前に佐賀県伊万里に研修会、工場見学に行ってきました。矢房さんの記事に関連して2点印象的だったことを書きます。

一つは、先に熊本であったフォーラムでは、曲がり材(B材)を買い支えることで、1本あるいは1山全体の価値を上げるために大規模流通は必要、という議論でしたが、今回は、A材とB材を分けて市場出荷するよりも、山土場では採材を長く8m以上にして、A材、B材を選別せずに伊万里工場に搬入して全てをB材価格で売った方がコストダウンに繋がって、山林所有者の手取りは上がるという議論がなされました。つまり、矢房さんの指摘のように、大半の素材が工場着で8~9千円での流通を前提に、その中で量をまとめれば、山元に利益還元できる率が高まるという論理でした。更に、量的拡大ができて集成材生産コストが下がれば将来的には、素材価格も高く買いたい、というラミナー工場から希望的なというか山元にそれまでは我慢してくれといった慰撫の弁もありましたが・・・何の保障もないし、過剰生産によって製品価格が下落すれば更に山元にしわ寄せされる可能性さえあります。

2つめに、政策的に無垢の乾燥材から集成材生産にシフトしたかどうかについてです。「新生産システム」政策で選定された11地域の取組の中身をみると、既存製材工場の大型化というのが多く、集成材化というのは見られません。しかし、「平成17年度 森林・林業白書」では、木材軸組工法の柱材のうち集成材が平成14年に45%を占めるに至っていること、スギ材価格下落を背景にしてスギ合板の生産が急増していることが指摘されています。特に、スギ価格が安い九州ですから、民間レベルでも政策レベルでも集成材や合板化への流れが今後大きくなることが予想されます。現に、中国木材の集成材生産原料のかなりの部分は国有林から供給されていて、支援されているわけですし・・。

集成材化や合板化とは、木材が材料から原料へと変わることを意味します。そうなると、林業家の「いい材を作って家主に喜んで欲しい」という一手間や林業労働者の採材技術(3mの柱をとるか、4mの桁を前提にするかなど)、製材工場の木を見る力も不要になります(もちろん一部では無垢材需要はなくならないにしても)。むしろ、コスト高の要因となって、全てが量で勝負の世界になってしまいます。これもグローバリゼーションへの対応なのでしょうが、これでいいのか??

現在の流通再編下で森林環境保全をどのように担保しうるのか(工場着9千円では皆伐後どう考えても再造林できません、国有林では列状間伐を前提にしているが・・・)、山村経済や林業家、更には既存の原木市場や製材工場にも大きな影響が及ぶと考えられます。九州はその最前線です。

(佐藤/福岡)




自ら助けるもの

2006年05月04日 10時55分03秒 | <日々徒然・イベント>
 新長官のインタビュー記事が地元紙に掲載されていました。地元の生まれでなにかを期待しているような記事でしたが・・・。
 答えは、「現状の価格で外材と充分に引き合うようになった」「後は川上がどう供給できるか」「施業単位を集約・大型化し高性能機械を入れコストダウンをはかる」...これが林業再生の柱になる新しい風だそうです。先日の熊本でのフォーラムでの量で勝負のロジックそのままでした。
 私は林業が専門分野ではないので詳しい経緯についての情報は持っていないので、勘違いかもしれませんが、昨年までは「外材と対抗するには無垢の乾燥材」で乾燥機を大量導入し、価格を回復させようとういう方針があったように思っていました。
 でもここに至っての方針は「集成材の原料としての原木生産」に完全に重きをおいて、工場着8千円の原木流通が既定路線であることを明確に示したようです。これまでついてきた山元をなだめるためのB材C材のトリックが、談話にはなかったのがことの深刻さを物語っていて、よほどのA材以外は山元の段階で工場直行になり、つまり大半の素材が超低価格で流通されることがすでに認知されたのでしょうか。
 これもあまり知識はありませんが、「需要過多で市場に木材があふれないようにする」という鳴り物入りの「新生産システム」とは、生産ではなく流通のための再編で”国産材時代”は”集成材の原料の時代”で考えられている気がします。今の経済で通用するか疑わしいケインズ理論のロジックです。
 正直言えば、半世紀前の政策=拡大造林を清算するための処分政策の感は否めず、問題になっている球磨のような禿げ山は、まだまだ増えるでしょう。
 唯一の突破口は、「森を守る木」であることを担保する森林認証システムの活用です。当面はをそれを理解する人に届けることが主になりますが、力を持てばそれを「流通の切符」にすることが可能です。天は自ら助くる者を助く、山は人に頼らず自らの頭で考え行動するしかありません。(諸塚村/矢房)