「京都議定書」については、以前から書こうと思っていたのですが、先月中旬に、東京からFoE Japanという環境NGO団体が諸塚村に視察に来た折り話題になったので紹介します。
FoEは、環境に考慮し、社会的に公正な木材を使おうというフェアウッドキャンペーンを進めていて、今回は諸塚村がFSC森林認証を取得したことでその現状視察が目的のようでした。
国連による「京都議定書」が今年2月に発効され、日本を含めた先進国に厳しいCO2削減が義務づけられたのはご存じの方も多いかと思います。その発効によって、日本には1991年比でCO2削減目標6%が課せられることになりましたが、政府の地球温暖化対策推進要綱によると、そのうち3.9%を森林経営による吸収量に期待していることはあまり知られていません。
木材はCO2を吸収して酸素を出します。そのCO2を蓄積した木材を伐採して使用し、さらに伐採した森に植林をすれば再度CO2を固定する事が出来るため、それをCO2削減に利用しようというものです。これを木材に換算すると年間2500万m3となり、現在国産材は年間1600万m3弱しか使用されていないので、50%以上も国産材使用量を増やす必要がでてくるのです。この数字は、木材価格が現在の2.5倍だった10年前の水準で、しかも伐採した山林のすべてに、また植林することが前提条件となります。
FoEの話によると、林野庁自体がその達成をあきらめていて、2.3%という低い数字が目標となっているそうです。達成不可能な国産材対策をするより、むしろCO2排出の少ない国との排出権取引で解決する可能性が高いのではないないかということでした。
そうなると国の林業より、海外に予算が流れ、しかも木材を輸入せざるを得なくなり、ますます国産材は使われる機会を失い、国土は荒れていくことになるでしょう。現実に海外から多くの木材利用と植林のプロジェクトの営業?が来ているそうです。
京都議定書については、達成する気のないアメリカの拒否と排出権取引によだれを流すロシアの批准から考えて、日本の対処の方針はお金に頼るのではという危機感は持っていたのですが、どうやらかなりの確度で現実化しそうな気配です。
地球を守ることは大事なことですが、自分たちで環境を守る努力を放棄して、その原因である自らの生活を見直すこと無しに、国民の税金を使ってお金で解決する道を選ぼうとしているようです。
日本の世界への約束は、自らの努力により持続可能な循環型社会を構築することで果たすことは出来ないものでしょうか。残り時間は少ないのですが、みなさんといっしょに考えていければと思います。
また、林業政策の世界では、この議論はなされていないのでしょうか。情報があれば教えてください。
諸塚村 矢房 孝広