oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

『クレヨンしんちゃん』にみる、現代日本の食志向

2005-12-22 | クレヨンしんちゃん
以前、漫画などのメディアは時代を映す鏡、だと言いました。現代人の食志向というのも、当然メディアは表しています。またまた『クレヨンしんちゃん』を使わせてもらいますが、幼稚園児のしんちゃん一家が主人公のこの家族漫画には、当然食事シーンが多く登場します。そのようなシーンはたいてい、「肉や魚料理はご馳走でおいしく、野菜はまずい」という前提で描かれています。一家が三重県に旅行して温泉ホテルに泊まったときは、「肉も魚もうまいや。三重県サイコー!」という台詞が登場しました。今の時代、肉か魚がおいしければご馳走だとよべるようです。

「野菜はまずい」という暗黙の了解の下に描かれているシーンもあります。

―――
泊りがけでスキー旅行に来て、夕食中の園児たち。ある事情により、友達の野菜天ぷらを食べる「はめ」になったしんちゃん。それを見て、担任の吉永先生が発した言葉。

「(感動して涙ぐみながら)偉いわしんちゃん、友達の犠牲になって・・・。」
―――

野菜の天ぷらを食べるのが「犠牲」?友達の分の野菜天ぷらを食べることは「犠牲」なのです!つまり、野菜はまずい、のです。

人間の舌というのは元々、砂糖や肉をおいしいと感ずるようにできている、ということをちらっと聞いたことがあります。わたし自身、子どものときより今のほうが野菜がおいしいと感じる、のも確か。ただ、問題だと思うのは、『クレヨンしんちゃん』を読む多くの子どもたちが、「野菜嫌いなのが普通なんだ」と、無意識に思うことです。子ども達が親しみを感じる漫画が、「クレヨンしんちゃんも野菜が嫌いだよ。野菜ってまずいよね」という免罪符を子ども達に与える影響、というのは大きいのではないかと思います。このような時代だからこそ、「media literacy」というか、メディアを見る目を養う必要性があるのでしょうね。食育も必要だと思うけれど、子どもは(大人も)メディアとの付き合い方も学ぶ必要がありそうです。

それに、肉食の方がベジタリアンを不思議に思うことの一つに、「なぜ、そんなまずい野菜ばかり食べてるんだろう」という疑問があるのではないかと思います。食というのは、健康を維持するという実用的な目的のほかに、「おいしいものを食べる」という官能的な悦びもあります。しかし、「肉や魚はおいしいけど、野菜はまずい(または、少なくとも肉や魚のほうがおいしい)」と思う人にとって、ベジタリアンというのは、食における快楽的な部分を否定している人、だと映るようです。「食における快楽を否定し、まずい野菜ばかり食べて、健康のために、ひたすらストイックに生きるベジタリアン」・・・。わたしを含めたベジタリアンにしてみれば、食における快楽の部分を否定しているわけではないのですが。

最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やっぱり。 (蘭丸)
2005-12-22 09:25:22
味が濃い=美味しいって感覚がある気がします。

ファミレスやコンビニのお弁当、居酒屋、

全て味が濃い気がします。

そんな中で、

野菜そのものの味って

ほとんど感じられなくなった気がします。



野菜は味がしない=不味いにつながっているのでは?
返信する
クレヨンしんちゃんの影響 (vegi3)
2005-12-22 14:29:17
本当に。

アメリカの真似をして表現の自由というのも、モラルを無視して洗脳の域に入っていますね。

「ただ、問題だと思うのは、『クレヨンしんちゃん』を読む多くの子どもたちが、「野菜嫌いなのが普通なんだ」と、無意識に思うことです。子ども達が親しみを感じる漫画が、「クレヨンしんちゃんも野菜が嫌いだよ。野菜まずいよね」という免罪符を子ども達に与える影響、というのは大きいのではないかと思います。」

これは本当におっしゃるとおりです。
返信する
Unknown (しんのすけ)
2005-12-22 23:38:44
蘭丸さん、

味が濃い、というのは言えてますね。そういう料理というのは、まずい素材をごまかすために、調味料をたくさん使用しているのではないかと思います。そういう料理は、いくら安くても食べたくないですね。



vegi3さん、

メディア側にいわせれば、「自分達は社会改善の慈善事業をしているわけではない」ということでしょうが、そんなメディアに対して、庶民は批判精神を常に持っていなければならない、と思います。
返信する
同感! (マーフィー)
2005-12-23 09:06:44
テレビとか雑誌を見たら、肉魚=ごちそう、または栄養…みたいなイメージを与えてる気がしますね~。 野菜でも化学肥料の野菜は見た目は綺麗でも、栄養価は低いし味も薄いです。有機野菜は小ぶりでも濃い味がして、これが本来の味だー! って気がします。 消費者は、生産者や販売者によって洗脳されないように、自己教育しなければな~ と思います。
返信する
教育 (しんのすけ)
2005-12-24 03:26:46
メディアのいうことを、鵜呑みにはしたくないですね。質のいい野菜はおいしい、といいうのは、ここで生活していると実感します。
返信する
ベジタリアン (ふぐ太郎)
2005-12-26 14:03:56
バンクーバーにはベジタリアンが多いのですが、周りの友達は少ないです。この間ベジタリアンレストランに友達カップルを誘ったら、え、野菜しかないんでしょ?といわれ、断れました。結構ショックでした。断られたの初めてで。他のミートEaterの人たちも、興味を持ってきてくれるのに、同じく野菜はまずい?とイメージしているカナダ人も少なくはないってことです。残念です。
返信する
野菜 (しんのすけ)
2005-12-27 00:47:42
言葉のイメージのためか、「ベジタリアン=まずい野菜ばかりパリパリ食べてる」というイメージは根強いようですね。バンクーバーにもそういう感じの方がいるとは驚きです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。