忘己利他

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現日春季書展 私の好きな作品 その2

2013-02-27 01:57:58 | 書展
私の好きな作品は、やはりこの人の作
木原光威氏


「おれはひとりの修羅なのだ」
宮澤賢治詩 春と修羅より

私は最近、淡墨作品に憧れている。
木原氏の滲みの手法は、企業秘密だそうだ。

彼の作品との出会いは、随分昔。
衝撃的だった、
銀座の田中貴金属ギャラリーに出品された、
黒い布地の軸装「ありがとう」

見た瞬間、電流が走るとは、これなのかと思った。
長い時間、その作品の前で佇んでいた。

その時の彼は、まだ若く、
「すてきな作品ですね」と声をかけても、
にこりともせず、無愛想だった。

今では、互いに冗談を言い合い、
お酒を酌み交わす仲間になれている。

今回の作品は、
彼の人生の激しい戦いへの意気込みが表れているように思う。

「読めない詩文」と彼の作品を評する人もいるが、
隣に釈文を置けば、読むことは可能。

可読性ぎりぎりで勝負し、
自然体で気負わず、ゆったりと。
それでいて、強く激しい情熱を持った
彼の人間性が作品に投影されている。

宮澤賢治だって
それを「心像スケッチ」と称し、
読解困難な文章を書いている。

木原氏の作品も、
彼の人生のデッサンなのだろう。

私は木原光威のファンクラブの会員
勝手にそう豪語している。(そんなクラブは存在しないのだが、いつかできるかも…)
これから、どんな作品を見せてくれるのか
楽しみだ。

彼のブログ「雪割草」
大変な人気。
やはり、すてきな作品がたくさん見られるからだろう。

いつか、「ありがとう」の軸が出てきてくれないかと
心待ちにしている