忘己利他

書道をやっています。大切な仲間に恵まれ、ふれあい、共に楽しむために・・・

漢字かな交じり書の名品

2014-04-30 11:48:13 | 書道
先日、ある方よりプレゼントしていただいた、
天来書院発行の「漢字かな交じり書の名品」という本をご紹介します。

      

今更定義するまでもありませんが、
漢字かな交じりの書とは、
現代人が使用している漢字とかなが交じった詩や文を、
素材とした書作品を言います。

本書は、明治から昭和にいたる書家と文人の名品を集め、
書家は美術評論家の田宮文平先生が、
文人は文部科学省の教科書調査官の中野遵先生が、
その作品の選定、総論・解説を担当しておられます。

漢字かな交じり書というのは、
歴史の浅い、新しい書の分野なので、
古典の手本があるわけではなく、
何をたよりに書いたらよいのか?と、
作品制作をされる方は、誰しも迷いが出るのではないかと思います。

私もその一人ですが、
こうでなければならないという束縛がなく、
自由に思いのまま書くことができるという点が、
良いところで、楽しくもあります。

この本を拝見し、
名品の数々に、心躍る思いがありました。
その解説を読ませていただき、
名品が生まれる所以を垣間見ることができました。
今後、作品制作の上で、参考にさせていただきたいと思っています。

       

口絵に掲載されている、私の好きな 須田剋太の書↑



文人編の種田山頭火の解説に、
次のような山頭火の文が紹介されていました。

小学校の児童制作展覧会を観て
「一年生の字はまことにありがたい。三年四年となると もうよろしくない。
 うまくなるだけ いけなくなるのだ。
 私はなによりも稚拙を愛する。
 上手ぶるのも嫌だが、下手めかすのは一層嫌だ」(其中日記)

上手く書こうと思って書くものではなく、
下手に書こうなんて思うのは、なおわざとらしく、
嫌味な作品になるということでしょうね。
自分の素が肝要。。。





第49回 賀墨書展のご案内

2014-04-27 22:59:14 | 書展
ゴールデンウィークに突入。
よい気候の行楽シーズンです 

どこへ行っても混んでいるので、
私は家でじ~としている予定です。

連休終了後、第49回 賀墨書展を開催します。

5月8日(木)~11日(日)10:00~17:00 (最終日は15:30まで)
横須賀市文化会館3階 ギャラリーにて

     

この書展は、私の師の社中展。
本日はその準備と打ち合わせ会で一日師のお宅で過ごしました。


出品者は、ご高齢の方が多いのですが、
互いに労わりあい、励まし合っての書展です。

お時間がありましたら、ちょっと遠いですが、
お出かけいただければ、幸いです。

     

今回の研究作品は、「美」

美しい「美」を書こうとしたのですが、
いっこうに美しいものが書けず、

開き直って美しくないほうがよいと、
「醜美」と書きました。

       

この作品はボツ作品ですが・・・↑
ボツ作品でも、ちょっと好きなんです。



美しいものには、必ず醜さがある。

表裏一体と言うところでしょうか。

般若の面を思い浮かべながら書きました。




文人書家のアート展Ⅳ

2014-04-26 22:27:38 | 書展
昨日伺った銀座鳩居堂4階で行われている
書道ジャーナル研究所主催の
文人書家アート展Ⅳのレポートです。(明日まで)

絵や色があったり、変わった素材の刻字があったり、
墨ではないもので書かれていたり・・・。、
面白い。

書の現代性を考える上で、
墨だけに拘わる必要はないのかもしれないが、
その中でも、私は、やはり真っ向勝負の
墨のモノトーンの世界が好きだなぁと
再認識。



     

現日会 副会長の岡 美知子先生の「富士山」
書への情熱は、いつも沸々とたぎっておられます。


     

神奈川書家クラブでお世話になっている石川芳雲先生の作品
自詠の詩を書かれています。
広西壮族自治区の少数民族の集落にて、自分の身長よりも長い髪を蓄え、観光客のために演舞する女性たちの心中はいかがなものであろうかという漢詩だそうです。
ご自分で漢詩を作り、こうして作品にされる。まさに日本を代表される文人です。



     
現日会で若手のホープ 栗原正峰さんの「誕生(はじまり)」「一」という文字で始まりを表現されています。
宇宙の中の小さな星の一つが地球で、その地球の起源を想像させてくれました。



     

岩手県大船渡の今野雲上先生の作品です。良寛のうたを書かれています。
3.11の被害のショックから立ち直られて、ますますご活躍です。






第51回 好文会書展

2014-04-25 22:40:54 | 書展
暖かな春の日差しが、心地よい一日でした。

昼過ぎに銀座へ出かけ、書展を4つ拝見しました 

本日は、銀座4丁目の大黒屋7階ギャラリーで行われている
第51回好文会書展をご紹介します。


好文会は、現日会草創に活躍された 故 桑原江南先生のご門弟の会です。

昨年、50回の記念展を終えられ、ご年配の会員が多いにもかかわらず、
いまなお長い歴史を築き上げておられます。

15名の会員数でありながら、
エレベーターを降りて、会場を見回すと、
所狭しとたくさんの作品が並べられていました。

一人3点出品されているとか。
しかも、その作品は、気品に溢れ、
一人ひとりが3つの作品をそれぞれ違った作風で、
長年培った幅広い書域、引き出しの多さを
見せてくれています。

私が好きな作品をご紹介します。

     

馬場六水さん「郷」



     

三枝百葉さん「禅客相逢有琢磨妙」


     

安田羊雨さん「笑いすぎかも ぜんまいのはじけしは」


     

鈴木正根さん「小さきは小さきままに・・・」円相の右上に仏様の印が押してあります。


そのほかにも、たくさんの素敵な作品がありました。
好文会書展は、27日(日)まで。
銀座にお出かけの節は是非お立ち寄りください。



その他にも、2軒隣の鳩居堂3階では、小野寺啓治先生の個展。
4階では、文人書家アート展Ⅳ(後日ご紹介します)

銀座8丁目タチカワブラインドショールームの地下ギャラリーにて
岡本光平先生が率いられるCACA現代書作家協会のインテリア書展を
拝見してきました。



明日は、学校で健康診断。
夜8時以降、飲食禁止でして。。。
朝食も食べられません。
食べちゃダメって、辛いです。






第21回 蘭秀会書展 その2

2014-04-21 11:24:11 | 書展
ここ数日の寒さに、ストーブや、電気カーペットにご活躍いただき、
またまた冬のセーターを引っ張り出しています。

先日伺った蘭秀会書展の作品紹介です。
昨日で、会期終了しました。

麗川会からも、何人か伺ったようですね。

まず、私がもっとも惹かれた、沙於里さんの抽象作品「馬耳東風」

        

そして、「天地為我爐 萬物一何小」
    
        

ここ数年うかがっているこの書展ですが、
今年は沙於里さんの作品が輝いて見えました。
表現する喜びが感じられ、躍動感があります。

特に「馬耳東風」の馬は、何者にも動じない、ブレない精神の強さを感じます。

書は「文字を書くもの」と言った概念を払い除け、
作者の心像や形のないものを、自由に表現する抽象が最近注目を集めています。

前衛とか墨象とも言われていますが、紙にただ滅茶苦茶に書けば良いのではなく、
そこには思想があり、情感があり、思惑があると。

沙於里さんの作品を拝見し、

風に乗って空高く舞い上がるような、
すべてをさらけ出し、自分を開放したような
遥か遠くを見据えているような

そして、希望の光へ進む彼女が見えました




次にお母様の作品は、例年その熟達の技術と世俗を超越するような品格に脱帽です。
「もう年だから…」とかおっしゃいますが、
これからもず~と、すてきな作品を見せていただきたいと思います。

         


         


お母様の師で、故 中平南谿先生の御作品。「天衣無縫」

         

亡くなられてもなお、人々に慕われている書家のお一人です。