山奥の小部屋より

山奥の司法書士が感じたこと

未来投資戦略2018-「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革ーを読んでみる

2018-06-16 11:18:29 | 各省庁の動き
こちら(未来投資戦略2018素案公表 - 山奥の小部屋より)では、素案について取り上げましたが、このたびの閣議決定を受け、再度読んでみようと思います。

・「行政」「インフラ」が変わる(6頁)
→国民生活やビジネスを取り巻くデジタル環境が大幅に変化する中、旧態依然としたアナログ行政から決別し、行政のあらゆるサービスを最初から最後までデジタルで完結させる原則(「紙」から「データ」へ)の下、公的個人認証システムの普及と利便性向上により、様々なライフイベントや事業活動を巡る行政手続等において、国民や企業が直面する時間・手間やコストを大幅に軽減する

・「Society 5.0」の実現に向けて今後取り組む重点分野と、変革の牽引力となる「フラッグシップ・プロジェクト」(8頁)
→プロジェクトの推進に当たっては、様々なプレーヤーの参画を得つつ、産学官の壁、既存の組織や業界間、省庁間の壁を越えてルールを共有し、人材・資金面での資源を重点投入する
→現状を打破する「尖った」取組を推進する際に直面する制度的な課題については、「サンドボックス」制度の活用など新たな仕組みによって直ちに解決の道筋をつけ、「Society 5.0」にふさわしい新たなルール整備につなげる、これらの視点から、日本の成長戦略を牽引する新たな「フラッグシップ(旗艦)・プロジェクト」(FP)を推進する

・FinTech/キャッシュレス化推進(11頁)
→ブロックチェーン技術、タイムスタンプ等を用いて簡易かつ高セキュリティな本人確認手続を可能とする仕組みの構築や、市場監視業務への AI導入に向けた検討を進める

・デジタル・ガバメントの推進(11頁)
→デジタル・トランスフォーメーションが世界的に拡大する一方で、我が国の旧態依然としたアナログ型行政を転換し、民間のデジタル化の流れに遅れることなくデジタル時代に即した組織・サービスとしていくことで、世界最先端のデジタル社会の基盤を整備
→「デジタルファースト法案(仮称)」の本年中の国会提出により、バックオフィス連携による添付書類撤廃、押印や対面手続などの本人確認手法の見直し、手数料支払のオンライン化、API 整備等を実現
→「介護」に関する手続は本年度から、住所変更という同じ内容について複数の異なる窓口での手続を強いられている「引越し」や、近親者の死後間もなく遠隔地の役所での手続を強いられる「死亡・相続」に関する手続はそれぞれ来年度から、個人向け行政手続のワンストップ化・ワンスオンリー化を実現
→「法人設立手続」のオンライン・ワンストップ化により法人設立登記が24 時間以内に完了する仕組みを来年度から実現し、「企業が行う従業員の社会保険・税手続」に関するワンストップサービスを 2020 年度から順次開始
→公的個人認証を活用したオンライン手続をスマートフォンで可能とするための法制度整備(来年目途)を行う

・サンドボックス制度の活用と、縦割り規制からの転換(16頁)
→生産性向上特別措置法において創設された新技術等実証制度(いわゆる「規制のサンドボックス制度」)を政府横断的・一元的な体制の下で推進することにより、革新的な技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進

・郵便を用いた本人確認手続が、事業者・利用者双方の負担となっているとの指摘があること等に鑑み、犯罪収益移転防止法施行規則を速やかに改正し、本人の顔の画像等を活用したオンラインで完結する本人確認手法を導入する(48頁)

・ブロックチェーン技術、タイムスタンプ等を用いて金融機関が共同で本人確認手続、その他マネロン・テロ資金供与対策を行うための共同インフラの構築や、市場監視業務への AI 導入に向けた検討を進める(48頁)

・旗艦プロジェクトの推進(51頁)
→個人向けワンストップサービスの実現 個別手続のみに着目した従来の「縦割り」型のオンライン化から脱却し、徹底した利用者視点に立ち、多くの国民の生活に大きな影響のある個人向け行政手続等のワンストップ化を強力に推進する。具体的には、同じ内容について複数の異なる窓口での手続を強いられている「引越し」や「死亡・相続」については、それぞれ来年度から、「介護」については本年度から、順次サービスを開始する。
→法人向けワンストップサービスの実現 法人設立手続のオンライン・ワンストップ化を行うこととし、以下の事項に取り組むとともに、定期的に取組状況を検証し、平成 33 年度目途で見直しを行い、必要な措置を講ずる
  マイナポータルを活用した法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて、技術的検討と準備を開始し、登記後の手続のワンストップ化は来年度中、定款認証及び設立登記を含めた全手続のワンストップ化は平成 32 年度中に実現。オンラインによる法人設立登記の 24 時間以内の処理及び世界最高水準の適正迅速処理を目指した業務の徹底的な電子化の来年度中の実現に向け、法務省は本年度実施予定の登記情報システム更改で業務効率化施策を実施するとともに、登記の審査の効率化等について本年度中に対応策の結論を得る。株式会社の設立手続に関し、一定の条件の下、本年度中にテレビ電話等による定款認証を可能とし、平成 32 年度中に、定款認証及び設立登記のオンライン同時申請を対象に、24 時間以内に設立登記が完了する取組を全国実施する。法人設立登記における印鑑届出の任意化の平成 32 年度中の実現に向けて、法務省は来年中の商業登記法改正に向けて取り組むとともに、商業登記電子証明書の普及促進も含めて、システム改修等の実施に必要な準備を進める

・デジタルファースト法の整備(52頁)
→さまざまな手続で求められる添付書類についてバックオフィス連携等により撤廃することに加え、押印や対面手続等の本人確認手法の見直し、手数料支払のオンライン化、API 整備等について、本年中に国会に提出する予定のデジタルファースト法案(仮称)において必要な措置を盛り込む

・マイナンバー制度の利便性の向上(52頁)
→スマートフォンによる各種手続の実施や公的個人認証を活用した民間サービス等の利用を可能にするため、次期通常国会を目途に必要な法制上の措置を講じ、必要な体制を整えた上で出来る限り速やかに利用者証明用電子証明書のスマートフォンへの搭載を実現する。さらに、マイナンバーカードの機能のスマートフォンへの搭載について、必要な安全確保措置を踏まえて検討を行う

・マイナンバー制度の利活用推進(53頁)
→戸籍事務、旅券事務、在外邦人管理業務、証券分野などの公共性の高い業務について、マイナンバー制度の利活用の在り方等の検討結果を踏まえ、結論を得る
→行政手続における添付書類撤廃やオンライン申請推進のため、マイナンバー制度を活用した住民票の写しなどの添付書類の省略や旅券発給申請のオンライン化等の実現に取り組む

・裁判手続等の IT 化の推進(55頁)
→所要の法整備を行い、関係者の出頭を要しない口頭弁論期日等を実現することとし、平成 34 年度頃からの新たな制度の開始を目指し、法務省は、来年度中の法制審議会への諮問を視野に入れて速やかに検討・準備を行う
→法務省は、オンラインでの申立て等の実現に向けたスケジュールについて、司法府の環境整備に向けた検討・取組を踏まえた上で、来年度中に検討を行う

・不動産取引関連サービスのデジタル化(56頁)
ア)登記時の添付書類(売主の印鑑証明書)の削減
・不動産登記手続における添付書類の簡素化を行うため、異なる法務局間での法人の印鑑証明書の添付を不要とすべく、法務省は実務における課題等を洗い出した上で、来年度内の情報システムの改修及び運用開始を行う。
イ)電子契約の活用に向けた環境の整備
・不動産取引における電子契約が一般的な選択肢となるための環境整備として、以下の取組を行う。
・法務省及び総務省においては、電子証明書の利便性向上に関する議論を踏まえつつ、法人及び個人の電子証明書の抜本的な普及を図る。

・所有者不明土地等について、「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」の基本方針等に基づき、期限を区切って対策を推進する。具体的には、土地の管理や利用に関し所有者が負うべき責務やその担保方策、所有者が不明な場合を含めて地籍調査を円滑かつ迅速に進めるための措置、相続登記の義務化等を含めて相続等を登記に反映させるための仕組み、登記簿と戸籍等の連携等による所有者情報を円滑に把握する仕組み、土地を手放すための仕組み等について検討し、本年度中に制度改正の具体的方向性を提示した上で、平成 32 年までに必要な制度改正の実現を目指す。変則的な登記の解消を図るため、必要となる法案の次期通常国会への提出を目指すとともに、必要となる体制を速やかに整備する。また、遺言書保管制度の円滑な導入、登記所備付地図の整備などの取組を進めるとともに、住民票等の除票の保存期間の延長についても引き続き検討する(63頁)

・行政データ標準の確立に向け、政府の文字情報基盤を整備するため、内閣官房において漢字、代替文字、フリガナ及びローマ字等を含む文字情報の現状や導入方法に関するガイドラインについて整備するとともに、その運用について民間サービスとの連携の在り方も含めた検討を行う(96頁)

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