今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

*東・南シナ海をめぐる日中の「島嶼防衛戦争」ー軍拡競争、潜水艦の増強競争が拡大!

2018年10月18日 | 主張
*東・南シナ海をめぐる日中の「島嶼防衛戦争」ー軍拡競争、潜水艦の増強競争が拡大!
(「島嶼防衛戦」では、中国軍潜水艦を東シナ海=琉球列島弧に封じ込める態勢づくりが、海自潜水艦隊の役割とされる)

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*日経新聞から

日中、潜水艦競争が激化 質量両面でにらみ合い

日本と中国の「潜水艦競争」が熾烈(しれつ)になってきた。日本政府はこのほど中国が領海化を主張する南シナ海に護衛艦と潜水艦を派遣し、対潜水艦戦の訓練を続けてきたことを初公表。中国はロシア軍の指導を受けながら潜水艦戦力の強化を急ぐ。戦闘機や空母に比べ潜水艦の存在は目につきにくいが、この分野での競争には日中や米中の軍事バランスを左右する意味合いが潜む。

ロシア軍は9月半ば、ソ連崩壊後としては最大規模となる軍事演習「ボストーク2018」を実施した。主な演習地となったシベリアに中国軍が兵員約3000人、車両900両などを参加させていた時、一部の日本の安全保障関係者たちの目はもう一つの演習地、日本海に向いていた。

演習に先立つ9月初め、ロシア海軍の水上艦の大群がオホーツク海から宗谷海峡を抜けて日本海に入った。ミサイル巡洋艦、駆逐艦、戦車揚陸艦など、その数実に28隻。演習は終了したが、一部の艦艇はいまだ日本海にいる。これについて、日本のある安保関係者は「中国軍は潜水艦を日本海に入れ、既にロシア軍と演習をしたか、近くする可能性がある」とみる。

根拠の一つは、ロシア海軍が演習に投入した水上艦に、イゴリ・ベロウソフ級潜水艦救難艦1隻が入っていたことだ。

中国軍は近年、潜水艦部隊を急速に増強しているが、高度な技が要求される潜水艦救難作戦では米軍や海上自衛隊に大きく後れをとる。米軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)には18年から参加を拒否され、米軍や海自の技を見て学ぶこともできなくなった。

そこで中国軍が頼るのがロシア軍だ。既に17年9月にロシアが日本海などで実施した演習には、中国海軍は潜水艦救難艦を派遣。今後も潜水艦を派遣して日本海などでロシア軍から教えを請う可能性があるのだ。

自衛隊は、対馬海峡や津軽海峡などを外国潜水艦が潜航したまま通過しても、ほぼ確実に探知できる態勢をとっている。ただ、探知能力を相手に知られないよう、通過を探知した事実を、政治的圧力などが加わらない限り公表しない。

中国軍は、米軍に対抗しうる軍隊の「象徴」として空母部隊の建設を進めているが、空母を実際に作戦展開させるには、米軍がするように護衛役の潜水艦をつける必要がある。中国軍はまた、米本土を直撃しうる潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した戦略原子力潜水艦「晋級」を南シナ海に配備し、先々はその後継艦「唐級」を日本海に配備する公算が大きいが、ここでも護衛役の潜水艦が不可欠だ。

空母、SLBMどちらも、潜水艦部隊の能力を高めないことには前に進めない。ロシア軍に必死で学ぼうとしているのはこのためだ。

そんな中で、日本が南シナ海に訓練という名目で潜水艦を派遣してきたことは、中国には「不愉快な現実」に他ならない。中国海軍の潜水艦部隊は隻数こそ約60隻と自衛隊の22隻を大幅に上回ったものの、潜水艦にとって肝の技術である「静粛性」や運用実績では日本が大きく先行している。

日本は今回、中国軍に対し南シナ海への潜水艦派遣を公表したことで「仮に有事になれば、中国が南シナ海に配備した虎の子の潜水艦部隊も無事ではいられない」とのメッセ―ジを周辺国にもわかる形で送ったのだ。

同時に日本は、南シナ海で米軍が果たしてきた「中国潜水艦封じ」の役割を一部肩代わりできるようになっている、と米トランプ政権に強調しておく意味合いも込めたようだ。

中国軍には「質の劣勢」を「量」で挽回しようとする習性のようなものがあり、潜水艦部隊の増強は今後も続きそうだ。新型の無人潜水艇の大量配備という「非対称戦術」を繰り出そうともしている。日本としては、潜水艦作戦という自らのお家芸を質量両面で一層磨いていく必要がある。

安倍晋三首相と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は26日の北京での首脳会談で関係改善を確認する。だが、南シナ海の水面下での駆け引きは熱を帯びていく。

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