今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

『自衛隊の南西シフト―戦慄の対中国・日米共同作戦の実態』

2018年10月18日 | 書評
『自衛隊の南西シフト―戦慄の対中国・日米共同作戦の実態』


「立ち読み」ができます。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784907127251

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小西誠著「オキナワ島嶼戦争」を読む

2018年10月06日 | 書評
有名なブロガーである旗旗さんの「ブログ旗旗」に、『オキナワ島嶼戦争―自衛隊の海峡封鎖作戦』のながーい書評が出ていますので転載してご紹介します。

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「オキナワ島嶼戦争」を読む(1)

「オキナワ島嶼(しょ)戦争~自衛隊の海峡封鎖作戦」(小西誠・社会批評社・1800円)を読んだ。著者は元反戦自衛官で社会批評社の社長でもある。先島諸島方面へ自ら取材に行き、防衛関係の豊富な資料を駆使しながらの著述だから説得力がある。沖縄ではいま辺野古や高江で基地反対の運動が重要な局面を迎えているが、それも自衛隊の海峡封鎖作戦と連動していることがよくわかる。そしてこの作戦は日本の自衛隊が主役ではあっても、根本はアメリカの対中封じ込め作戦の一部分だという事実がある。そこには島民を太平洋戦争での「軍民玉砕」と同様の悪夢に追い込むかもしれない緊急の警告まで含まれているのだった。

 冷戦の終了によって、自衛隊の配備は北海道から南西方面へと大きく転換した。具体的に言うと、ソ連の侵攻に備えて北海道に陸上自衛隊の戦車や火砲の部隊を厚く配置していたのを、九州の先の沖縄から台湾まで続く列島弧に線として配置することにした。それと同時に島への配備は海と空からの支援が不可欠だから、陸海空3自衛隊を統合して動かす「統合指揮」のシステムという質的な変更も必要となった。そして仮想敵国は、当然にソ連・ロシアから中国に変更することとなる。この要求は、日米同盟に基づく要請なので、日本としては断ることができないのだ。そして軍人は常に仮想敵国を必要としている。敵がいなくなったら装備も訓練も意味がなくなってしまうのだから。

 南西方面の重視というと、尖閣諸島を連想する人が多いかもしれないが、防衛計画には尖閣の文字は出てこない。現に日本が実効支配しているのだから、警備は海上保安庁の仕事になる。この問題については中国側も心得ているから、出てくるとしても「海警」の船に限られる。「海軍」が出動したら正式な領土紛争になるから、当分はそれが正解なのだ。

 ところがここで地図を逆さまにして見ると、中国の立ち場がリアルにわかってくる。北京、上海、旅順といった中国の心臓部に面する黄海と、それに続く東シナ海(著者は「東中国海」と表記している。シナの呼称は使わない方がいいのだが、ここでは一般の呼称にしておく。)は、日本の南西諸島によって西太平洋と分断されているのだ。もしこれが「封鎖線」として機能したら、中国の海への出口は辺境の海南島から南シナ海経由の南太平洋へ出るしかなくなってしまう。先方から見たら、窒息させられそうな圧迫感になるのではあるまいか。

 中国の海洋進出については、日本でも警戒心をもって語られるようになった。南シナ海の南沙諸島への埋め立て工事のニュースもあった。その前には東シナ海での「防空識別圏」設定も、中国の脅威の文脈で語られたことがあった。しかし日本がアメリカ軍から引き継いだ空域と、中国側の識別圏が重なったというだけの話で、防空識別は領空といった権利とは関係のない技術的な問題に過ぎない。後発の中国が国際性を身につけて行く過程だと、著者は冷静に記述している。

「オキナワ島嶼戦争」を読む(2)

 本論である自衛隊の海峡封鎖作戦については、かなり詳細な資料が掲載されている。先島諸島に駐留させる部隊の総計は約1万名となり、沖縄本島に控える即応可能な増援兵力は約4万名と見られる。駐留先の島では住民への説明会や、自衛隊施設の建設が始まっている。弾薬庫の大きさなどから見て、本格的な島の要塞化が進められるようだ。潜水艦の通過を完全に把握するために、各種の装置も設置するだろう。

 島がこういう重要拠点になると、仮想敵国との間での争奪戦も予想しなければならない。そこで綿密な作戦計画も立てられている。それは島嶼の防衛、着上陸された場合の戦闘、島を占領された場合の奪還の3段階になる。陸海空3軍の緊密な連携が必要なのは言うまでもない。陸上自衛隊は上陸作戦を念頭に入れて水陸両用戦闘車両なども充実させなければならない。「強襲揚陸艦」も必要になる。その様態はアメリカの海兵隊を典型とする「遠征殴り込み部隊」に似たものになってくる。

 島嶼の防衛戦というと、日本軍には太平洋戦争での苦い経験がある。制空・制海権を失って孤立した島の守備隊は、圧倒的な上陸軍を相手にして絶望的な「時間稼ぎ」の抵抗をつづけ、最後は次々に「玉砕」して行くしか術がなかったのだ。そして世界の戦史でも、島の防衛戦で防御の成功例というのは、ほとんどないということだ。1982年のフォークランド紛争でも、イギリス軍はアルゼンチン軍の上陸を阻止できず、島の奪回には海戦での勝利を待たなければならなかった。

 そこで自衛隊の作戦では、あくまでも空・海自衛隊の参加による統合指揮が有効という前提で立てられている。つまり制空・海権は保持しているという建前なのだ。すると、どうして仮想敵国は日本領の島に上陸して占領することができたのかという疑問が生まれる。すぐに反撃されて奪回作戦を発動されるようなところへ、わざわざ上陸してきたりするだろうか。まして今はレーダーや監視システムが整備されている中で、奇襲の上陸作戦などがあり得るのだろうか。

 すべてはアメリカの世界戦略に従った中国封じ込めのための「海峡封鎖」が原因になっていることは疑いようがない。日中関係は尖閣問題以来冷え込んでいると言われるが、これでは日本側から新しい圧力を中国に与えるための作戦を発動したことになる。日中関係をことさらに緊張させることは、今の日本の国益にかなうことなのだろうか。現地島民を危険に巻き込むだけではないのか。

 自衛隊を急いで先島諸島に配備しなければならないほどに中国からの脅威が迫っているとは思えない。著者は結論として、日本から先んじて先島諸島の「無防備都市宣言」をすることを提案している。それで国際条約で保護されるというのだが、私はそれまでにする必要もないと思う。先島諸島は、今までの通りの平和な島に戻るだけでいい。南西方面の重視なら、空と海の機動力を充実させる方が、無駄なくそして有効なのではないかと思うのだ。

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