今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

「台湾有事」キャンペーを糺す!

2022年01月03日 | 軍事・自衛隊


注 本論文は、21/12/8発行の拙著『ミサイル攻撃基地化する琉球列島―日米共同作戦下の南西シフト』の「序論」である。アジア太平洋地域の情勢が緊迫している中、これを公開したい。

序論 煽られる「台湾有事」論

サイル軍拡競争が始まった琉球列島
 2021年3月9日、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官(当時)は、米上院軍事委員会で「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と証言。これを契機に日本のメディアは、一斉に「台湾有事」キャンペーンを始めた。メディアだけではない。名だたる識者や軍事評論家らも、この喧伝に飛びつき、唱和している。

 だが、デービッドソンの上官、ミリー米統合参謀本部議長が、米上院歳出委員会で「中国には現時点で武力統一するという意図も動機もほとんどないし、理由もない」と証言(21年6月19日付朝日新聞)したのだが、ほとんどのメディアはこれを無視した。

 また、同年7月5日、麻生副総理(当時)が都内の会合で「台湾海峡は石油に限らず日本の多くの輸出入物資が通る」とし、「台湾有事」を念頭に「日本にとって存立危機事態に関係」(同日付沖縄タイムス)と発言すると、メディアは一斉にこれに呼応し、さらに「台湾有事」を鼓吹するという状況である。

 だが、この麻生発言は、完全なフェイクである。「台湾海峡は……日本の多くの輸出入物資が通る」と? 台湾海峡はどこだ! 中国大陸と台湾の間だ。この中国大陸に沿う海峡を通る、日本の船舶はほとんどない(「日本の海運SHIPPINGNOW2020―2021」日本船主協会作成)。

 日本の実際の「シーレーン」は、台湾とフィリピンの間のルソン海峡、バシー海峡だ。台湾海峡という「危険地帯」を通過する必要は全くない。
 こんな麻生のフェイクを真に受け「台湾有事が切迫」と、危機アジりに唱和してはならない。現在、いかなる危機が生じているのか? この実態は、正確に見据えねばならない。

進行する琉球列島のミサイル基地化
 現在、急ピッチで進んでいるのは、九州から与那国島に至る、琉球列島=第1列島線に沿う、ミサイル部隊を軸とした大がかりな自衛隊の新配備計画だ。この事実をメディアは、ほとんど報じない。

 これらの琉球列島の基地建設の中で、いち早く自衛隊が配備されたのは、日本の最西端・与那国島だ。台湾まで約110キロという距離にある同島と台湾との間の海峡は、頻繁に中国の軍民艦船が行き来する。

 この与那国島の山頂に5基、異様な形で聳え、配備されているのが、陸自(陸上自衛隊、以下陸自・海自・空自という)沿岸監視隊160人の部隊だ(2016年3月配備)。沿岸監視レーダーは、与那国西水道を通過する中国軍艦を常時監視する。また、与那国駐屯地東側の一段と高い場所には、対空レーダーも設置。同島には、今後、空自移動警戒隊、陸自電子戦部隊も配備される予定だ(与那国と台湾間の海峡の公式名称はない。便宜的に筆者は「与那国西水道」とした)。


 与那国島の東に位置する石垣島には、陸自の対艦・対空ミサイル部隊、警備部隊(普通科部隊)計約600人が配備される予定だ。この石垣島では、宮古島、奄美大島よりも遥かに遅れて、2019年3月、基地造成工事が始まった。そして現在は、コロナ禍でもほとんど休止することなく、本格的なミサイル基地造成工事が続いている。


 しかし、石垣島でも、与那国島と同様、激しい基地建設への抵抗が起きている。基地建設の発表以来、予定地である平得大俣地区の農民らを中心にして、石垣市民の間にも根強く運動は広がっていく。平得大俣地区は、島への食糧を供給するもっとも豊かな農村地帯であり、戦後沖縄本島から移住してきた農民たちが、厳しい環境下で切り開いてきた開拓農地だ。しかもこの地帯は、沖縄においても最高峰を誇る於茂登岳から湧き出してきた豊かな水源地帯である。

 この地にミサイル基地を造るという自衛隊の横暴に、農村の青年たちが起ち上がった。この運動は、基地建設の是非を問う、住民投票を求める闘いへと発展する。この住民投票署名は、わずか1カ月の期間に石垣市有権者の4割を超える、1万4844筆の署名を達成。しかし、この状況に驚いた石垣市長らは、この「市条例に基づく住民投票実施」を拒否するという暴挙に出たのだ。これに対し、住民投票の実施を求めて石垣市を訴えた裁判が、今なお続いている。
(注 市長に住民投票実施を義務付ける「義務付け訴訟」は、1審、2審、最高裁とも却下されたが、2021年10月、市民たちは「石垣市平得大俣地域への陸自配備計画の賛否を問う住民投票において投票することができる地位にあることの確認請求」という新たな訴訟を提起。)

 石垣島とともに、今なおミサイル基地を阻む激しい運動が続いているのが宮古島だ。2019年3月、ここには陸自の警備部隊が配備。また地対艦・地対空ミサイル部隊も、1年遅れの2020年3月に配備された(約800人)。こうして宮古島には、ミサイル部隊が配備されたのだが、この部隊は未だ「ミサイルなし」(弾なし)の部隊(2021年11月10日現在)。同駐屯地には、対艦・対空ミサイル部隊の車両多数が配備されたが、これらの「ミサイル搭載車両」は、キャニスター(発射筒)だけを搭載したものだ。
 
 というのは、ミサイルを保管する弾薬庫は、21年4月に同島南東の保良地区にようやく一部開設したが、肝心のミサイル弾体が未だに搬入されていない(写真上、宮古島・保良ミサイル弾薬庫)。この理由は、保良の居住地区のすぐ側(200㍍)に造られているミサイル弾薬庫に抗し、住民たちは2年以上にわたって工事現場に座り込み、弾薬庫反対の行動を続けているからである。そして、4月から現在まで、この住民の行動に、沖縄の海運業界が共鳴し、今なおミサイル弾薬の輸送を拒んでいるのだ。もちろん、この保良を始め宮古島では、千代田地区の宮古駐屯地に対しても、反対の闘いが粘り強く続けられていることは付言しておかねばならない。


南西シフトの機動展開基地となる奄美大島・馬毛島
 奄美大島のミサイル基地開設は、宮古島と同じ2019年3月だ。奄美大島では、警備部隊と地対艦・地対空ミサイル部隊が、島の3カ所、計550人規模で配備された。さらに、今後、空自の移動警戒隊(大熊駐屯地内)・通信基地(湯湾岳)、陸自電子戦部隊が配備される予定だ。

 奄美大島で驚くのは、これらの基地の規模である。奄美駐屯地(大熊地区)の敷地面積は、約51㌶、瀬戸内分屯地(瀬戸内町)は、約48㌶(石垣基地の約2倍・宮古基地の約2・5倍)。瀬戸内分屯地には、巨大弾薬庫(約31㌶)が今なお建設中だ。山中にトンネル5本を掘るミサイル弾薬庫は、それぞれが約250㍍の長さの地中式弾薬庫である。弾薬庫は、現在2本目が完成しているが、情報公開文書によると全ての完成は2024年だ。

 この奄美大島のミサイル弾薬庫には、作戦運用上の目的もある。奄美大島―馬毛島は、先島諸島有事への、兵站・機動展開・訓練拠点として位置付けられている。つまり、この瀬戸内弾薬庫は、南西諸島有事へのミサイル弾薬の兵站(補給)拠点である。問題は、これら奄美大島の基地建設について、本土のメディアが全く報道しないことだ

 種子島―馬毛島の基地化が、自衛隊の南西シフトの一環であることは、以前から防衛省サイトでは公開されている(「国を守る」)。
 このサイトでは「他の地域から南西地域への展開訓練施設、大規模災害・島嶼部攻撃等に際しては、人員・装備の集結・展開拠点として活用、島嶼部への上陸・対処訓練施設」などを明記。

 馬毛島基地(仮)について、ようやく用地買収のメドがたった2019年12月、防衛副大臣が種子島を訪れ「自衛隊馬毛島基地」(陸海空の統合基地)建設を市に要請。つまり、馬毛島は、自衛隊の南西シフトの兵站・機動展開・訓練拠点として公に位置付けられたのである。

 これは、以前から筆者請求の情報公開文書でも裏付けられている。2012年、防衛省文書「奄美大島等の薩南諸島の防衛上の意義について」は、「南西地域における事態生起時、後方支援物資の南西地域への輸送所要は莫大になることが予想→薩南諸島は自衛隊運用上の重大な後方支援拠点」、また情報公開文書「自衛隊施設所要」(2012年統幕計画班)でも「統合運用上の馬毛島の価値」として、「南西諸島防衛の後方拠点(中継基地)」であること、「島嶼部侵攻対処を想定した訓練施設」であると明記。こうして、2本以上の滑走路建設予定の馬毛島は、自衛隊史上最大の航空基地、そして軍港(後述)として、まさに「要塞島」が造られるのだ。


沖縄本島の増強とミサイル要塞と化す琉球列島
 以上の先島などと同時進行しているのが、沖縄本島での全自衛隊の大増強だ。すでに2010年、那覇の陸自第15混成団は旅団へ昇格、空自も2017年、南西航空混成団から南西航空方面隊に昇格。那覇基地のF15戦闘機は、2倍の40機へ増強された。

 そして、沖縄本島の全自衛隊は、2020年には、約9000人に増大(2010年約6300人)、陸自・沖縄部隊は、最大勢力の約5100人に増強された。
 問題は、この中で沖縄本島へ地対艦ミサイル部隊の配備が決定されたことだ。新中期防衛力整備計画(2018年~)では、宮古島・石垣島を含む3個中隊の追加配備が決定されたが、このミサイル1個中隊の陸自・勝連分屯基地への2023年度の配備が通告された(21年8月21日)。しかし、勝連への配備は、ミサイル中隊だけではなく、石垣島・宮古島、奄美大島の地対艦ミサイル部隊を隷下におく、地対艦ミサイル連隊本部の配備(約180人)と発表されている。この配備で琉球列島では、地対艦ミサイル1個連隊「4個中隊」が編成・完結される。



  2023年、地対艦ミサイル配備予定の陸自・勝連分屯基地
 海自(空自)でも、「いずも」型護衛艦の空母への改修工事が完了しつつあり、すでに海自・空母と米強襲揚陸艦との共同運用が行われ始めている。
 その他、南西シフト下で「島嶼奪回」部隊として、華々しく喧伝されているのが、佐世保市で編成された水陸機動団だ。これは現在、2個水陸機動連隊が編成され、新たに1個連隊が増強予定だ。この他、南西シフト下では、九州の空自増強と日米共同基地化が進行、新田原基地では、2021年7月、F35B配備・基地化が通告された。

 以上の宮古・奄美・沖縄本島などへの地対艦・地対空ミサイル配備を皮切りに急ピッチで進んでいるのが、さらなる琉球列島全体のミサイル要塞化計画だ。
 2018年防衛大綱では、「島嶼防衛用高速滑空弾部隊・2個高速滑空弾大隊」の新設が発表された。高速滑空弾とは、現在、日米中露が激しい開発競争をしている新型のミサイルであり、迎撃不可能であるといわれる。チョークポイント・宮古海峡封鎖のための配備が推定される。

 自衛隊は、この他、中国大陸まで射程に収める12式地対艦ミサイルの約900キロの射程延伸を計画し、自衛隊初のトマホーク型巡航ミサイルの開発などを含む、凄まじいミサイル戦争態勢づくりを推し進めている。

 そして、2019年8月2日、トランプ政権は、中距離核戦力(INF)全廃条約からの脱退を決定したが、この目的は米軍の琉球列島を中心としたミサイル軍拡を押し進めるためである。条約脱退発表の直後に米軍は、沖縄―九州などへの中距離弾道ミサイルの配備(非核戦力)を発表したのである。一部の御用評論家などは、米中の中距離ミサイルの戦力比が「米ゼロ対中国1250発」とフェイクを流し、中国の多数の中距離ミサイルに対抗するには、米軍の中距離ミサイルの日本配備が必要だと吹聴している。

 しかし、米軍は、SLCM(潜水艦発射巡行ミサイル)を始め、すでに艦艇などに多数のトマホークなどの中距離ミサイルを配備している。SLCMは、1隻に154発のトマホークを装備している(搭載潜水艦4隻保有)。明らかに、米軍が目論むのは、地上発射のトマホークや中距離弾道ミサイルの日本配備によって、ミサイル軍拡競争において中国に対し圧倒的優位に立つということだ。

 さらに、急ピッチで進みつつある米海兵隊・陸軍の「第1列島線シフト」でも、地対艦・空ミサイル部隊の配備計画が明らかになっている。つまり、日米の双方による、琉球列島への凄まじいミサイル配備計画が押し進められており、対中国の激しいミサイル軍拡競争が、すでに始まっているということだ。

対中国の日米共同作戦
 自衛隊の南西シフトの初めての策定は、2010年の新防衛大綱だ。この南西シフトは、米軍のエアーシーバトル(2010年QDR)のもとで決定された。この具体的な運用計画が示されたのが「沖縄本島における恒常的な共同使用に係わる新たな陸上部隊の配置」(2012年統合幕僚監部)という文書である。

 この文書では、驚いたことに在沖米軍基地―嘉手納・伊江島航空基地等を含む在沖全米軍基地の、自衛隊との共同使用、さらにこの後編成予定の陸自1個連隊のキャンプ・ハンセンへの配備も記されている。つまり、このハンセン配備予定の水陸機動団が、辺野古新基地をも使用し、日米共同基地にするということだ(21年1月28日付沖縄タイムスは、これを裏付ける辺野古新基地の水陸機動団との共同使用密約を報道)。

 こうしてみると、自衛隊の南西シフトは、初めからエアーシーバトル下の日米共同作戦として決定されたといえる。
 この作戦の特徴は、在沖・在日米軍は中国軍のミサイルの飽和攻撃を逃れ、あらかじめ空母機動部隊のグアム以遠への一時的撤退を予定していたことだ。そして、中国軍のミサイル飽和攻撃が終了した後、米空母機動部隊などは、第1列島線に参上し参戦する。


 すなわち米軍は、対中戦略では自衛隊の南西シフトに依拠する。つまり、第1列島線沿いに配備された、自衛隊の対艦・対空ミサイル部隊が、初期の対中戦闘の主力となる。米軍の初期構想では、これら琉球列島に配置されたミサイル部隊の任務は、中国軍を東シナ海に封じ込め、「琉球列島を万里の長城、天然の要塞」にするとしている。これはまた、中国の軍民艦船を東シナ海へ封鎖する態勢であり、中国の海外貿易を遮断する態勢づくりだ。

 だが、このエアーシーバトルという戦略は、一時的であれ、米海軍の西太平洋の制海権を放棄する態勢である。これは米海軍においては「制海権放棄」という第2次大戦後の初めての事態となる。

 こうして、これを全面的に修正する戦略が、「海洋プレッシャー戦略」として米軍に対して提言された(戦略予算評価センター[CABA]、2019年5月)。「海洋プレッシャー戦略」とは、端的にいうと、中国の初期ミサイル飽和攻撃に対処する「撤退戦略」を修正し、「対中・前方縦深防衛ライン」を構築し、戦争の初期から西太平洋の制海権を確保する戦略だ。


 作戦の中心は、第1列島線沿いに分散配置された対艦巡航ミサイル、対空ミサイルなどを装備した地上部隊が、中国の水上艦艇を戦闘初期で無力化する。つまり、琉球列島に配備された自衛隊の対艦・対空ミサイルと、米軍の新たな対艦・対空ミサイルとの共同作戦である。


 この戦略下、海兵隊も「フォース・デザイン2030」を提唱し、その構想が「紛争環境における沿海域作戦」(LOCE)、「遠征前方基地作戦」(EABO)としてすでに具体化している。第1列島線上で海兵隊が、地対艦ミサイルなどで武装することが最大の核心だ。2027年までにそれを担う「沿岸連隊」を沖縄に配備するという方針である。

 問題は、米海兵隊のミサイル部隊配備だけではない。この海兵隊に加えて、米陸軍もまた、マルチ・ドメイン・オペレーション(MDO)という運用構想の中、第1列島線に地対艦ミサイル部隊などを配備することを決定しているのだ。詳細は本文で述べるが、実際は米海兵隊よりもこの陸軍のミサイル部隊配備が先行するという状況だ。

「台湾有事」論の実態
 このような日米の南西シフト下の、対艦・対空ミサイル配備、そしてトマホークを始めとする中距離ミサイル配備計画が急ピッチに進行する中、東シナ海・南シナ海とも、軍事衝突の緊張が一段と高まっている。

 しかし、冒頭に述べてきた「台湾有事」論の本当の狙いは、米軍による第1列島線の完結・完成、つまり、台湾を対中戦略に動員し、台湾とフィリピンとの間の、ルソン――バシー海峡の封鎖態勢を完成させることである(中国海軍―海南島に配備された原潜の太平洋への出口を遮断)。そして、「台湾有事」論のもう1つの重大な狙いは、中距離ミサイルの日本配備のための、一大キャンペーンでもあるのだ。

 現在、これら日米中露のミサイル軍拡競争は、熾烈な段階に入りつつある。この事態を放置したとすれば、アジア太平洋は「キューバ危機」以上の危機に突入する。極超高速滑空弾、中距離弾道ミサイルは、中国におよそ10分前後で着弾する。

 だが、迫りつつあるこの戦争の危機を、逆にアジア太平洋の軍縮に転化すること、日米の南西シフトを中止に追い込むこと、琉球列島へのミサイル基地建設を凍結し、基地の廃止に追い込むこと――これらが今緊急に必要である。私たちは、再び沖縄を最前線とするこの戦争態勢づくりに、黙してはならない。
(注 「序章」については、雑誌『アジェダ』2021年9月号発表の論文に加筆。


『ミサイル攻撃基地化する琉球列島』目 次
序 章 煽られる「台湾有事」 9  
    ミサイル軍拡競争が始まった琉球列島 9 
    進行する琉球列島のミサイル基地化 11
    南西シフトの機動展開基地となる奄美大島・馬毛島 14
    沖縄本島の増強とミサイル要塞と化す琉球列島 16
    対中国の日米共同作戦 18
    「台湾有事」論の実態 21

第1章 アメリカの「島嶼戦争」論  25
    クレピネビッチの「群島防衛」論  25
    「台湾問題」を全面化したクレピネビッチ論文 30
    トシ・ヨシハラらの「島嶼戦争」論 35
    対ソ抑止戦略下の「三海峡防衛」と第1列島線防衛 38
    海峡防衛論=島嶼防衛論の虚構 42
    「台湾有事」論による中国南海艦隊の封じ込め 43
    海峡防衛をめぐる(対)着上陸作戦 45
    チョークポイント・宮古海峡の要塞化 47

第2章 エアーシーバトルから海洋プレッシャー戦略へ  51
    エアーシーバトルの限界 51
    中国本土攻撃を想定するエアーシーバトル 54
    オフショア・コントロールと「海洋拒否戦略」 58
    「制限海洋」作戦による「海洋限定戦争」論 63
    海洋プレッシャー戦略とは 66
    「インサイド・アウト防衛」部隊の運用構想 70
    海洋プレッシャー戦略が想定する戦場 75
    第1列島線構成国によるA2/ADの完結 77

第3章 米海兵隊・陸軍の第1列島線へのミサイル配備 81
    海兵隊作戦コンセプト(2016年) 81
    「紛争環境における沿海域作戦」(LOCE)構想の策定 85
    「フォース・デザイン2030」による米海兵隊の大再編 89
    海兵沿岸連隊へのトマホーク配備 93
    米陸軍ミサイル部隊の第1列島線配備 98
   
第4章 自衛隊の南西シフトの始動と態勢 105
    南西シフトの始動 105
    陸自『野外令』の大改訂 114
    「日米の『動的防衛協力』」による南西シフト 117
    「日米の『動的防衛協力』」による琉球列島の部隊配備 123
    宮古島などのミサイル配備はいつ決定されたのか? 125
    自衛隊の南西シフトの運用 127
    南西シフト態勢下の統合機動防衛力 131
    10万人を動員した機動展開演習「陸演」 132
    陸上総隊の創設―軍令の独立化 134
    2018年防衛大綱・中期防の策定 135
    多次元横断的(クロス・ドメイン)防衛力構想 137
    南西シフト下の空自の大増強 141
    南西シフト下の海自の大増強 143

第5章 琉球列島のミサイル戦場化 149
    地対艦・地対空ミサイルの運用 149
    対艦ミサイルを守る対空ミサイル 152
    ミサイル部隊の空自・海自との統合運用 153
    陸自教範『地対艦ミサイル連隊』では 154
    敵基地攻撃能力を有するミサイルの配備 158
    極超高速滑空弾の開発・配備 161
    中距離ミサイルの琉球列島――九州配備 165
    中距離ミサイルは核搭載か? 169
    ミサイル攻撃基地となる琉球列島 172

第6章 無用の長物と化した水陸機動団 177
    水陸機動団の編成 177
    水陸機動団の作戦運用 179
    自衛隊の水陸両用作戦とは 182
    陳腐化した水陸機動団の強襲上陸 188
    水陸機動団の装備 192
第7章 機動展開・演習拠点としての奄美大島・馬毛島の要塞化 195
    明らかになった南西シフト下の馬毛島要塞 195
    統合演習場・機動展開拠点としての馬毛島 196
    空母も寄港できる巨大港湾設備 201
    馬毛島配置人員のウソ 203
    南西シフト下の演習拠点となった種子島 204
    機動展開拠点としての馬毛島・奄美大島 206
    奄美大島・瀬戸内分屯地の巨大ミサイル弾薬庫 208
    南西シフトの軍事拠点としての馬毛島 211
    種子島―薩南諸島の演習場化 214
    臥蛇島のミサイル実弾演習場化と新島闘争 217
    「南西有事」への民間船舶の動員 223
    「統合衛生」という戦時治療態勢 226

第8章  アメリカのアジア戦略と日米安保 229
    「太平洋抑止イニシアティブ」(PDI) 229
    アメリカの西太平洋へのリバランス 232
    アメリカの「国家安全保障戦略」(NSS) 237
    「インド太平洋戦略報告」による対中国・台湾戦略の始動 240
    急激に進むアメリカの台湾への武器売却 244
    安保法制定の目的とは 246
    日本の「インド太平洋戦略」 251
    激化する対中演習と新冷戦態勢 253

結 語 アジア太平洋の軍拡競争の停止へ 257
    メディアの「台湾有事」キャンペーン 257
    日米中の経済的相互依存と戦争 259
    沖縄を再び戦争の最前線にするのか? 261
    ワシントン海軍軍縮条約による島嶼要塞化の禁止 264
    琉球列島の「非武装地域宣言」 266
    日中平和友好条約に立ち返れ 267


●本書の「結語」は「note」からhttps://note.com/makoto03/n/n34aad4e72be7

●本文は以下のアドレス https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784907127282