《灰色のピーターパン》
フィギュアショップでマコトが出会ったのは、7万もするフィギュアをポンと買う名門小学校の細い黒縁メガネの男子小学生。その直後受けた依頼は偶然彼からのものだった。金払いも大人びているが、トラブルも子供とは思えない。彼がしている盗撮ビジネスの分け前を寄越せと高等部の不良に強請られているという、どこかのヤクザにでもありそうな話しだ。
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《野獣とリユニオン》
もしあなたが暴行の被害者となり、その犯人が刑期を終え、同じ街に住んでいるのを見かけたらどうするか。復讐/寛容?
フランス革命において市民社会が徹底した個人主義を標榜したように、今日の社会はどんな人間も生活を脅かされない権利がある。犯罪者が隣に住んでいたら、眉を顰めたくなるが、たとえ犯罪者であっても同様である、刑期を終えたならば罪を償ったのであり、自由に生活する資格がある。
そうでなければ「犯罪者を更生させ、市民の一員として復帰させる」今日の刑法体系を否定することになる。これを否定するならば、「悪人は更生不可能だから、二度と許してはならない、追放か処刑すべきだ。」という非常に機会の失われた社会になってしまう。
マコトがお膳立てした、犯罪者と被害者の握手、その見事な手際に酔いしれて下さい。
《駅前無認可ガーデン》
今回の舞台は駅前にある深夜営業の幼稚園である。連日キャバクラ嬢などが子供を預けにくる。お役所の通りの営業時間では彼女たちは子供育てることも、仕事を続けることもできない。現状を省みない規則は彼女や子供達を不幸にするだけである。
《池袋フェニックス計画》
「子供に住みやすい健全な街を」というスローガンで行われた池袋浄化作戦。つまり飲み屋や風俗店の取り締まりである。
永遠のテーマであるが、人間は無菌状態では生きられない。
マコトに常連のエミーカが、実質より分かりやすい成果を求めているだけの行政の矛盾を鋭く指摘する。
「どうして、興行ビザでちゃんと入管に登録しているわたしたちが、お客にお酒つくるだけでつかまるのかなあ。外国人パブに踏み込んで、女の子十人も摘発するなら、極悪の窃盗団やカード偽造団捕まえるほうが、ずっとみんなのためになるよ。」