セルフマネジメントの技法

仕事を進める上で必要なリソースを管理する技法についてまとめていきます。いわゆるLife Hacks/GTD

議論には徹底的に「負ける」ようにする

2008年03月29日 | 会議
■議論には3種類ある

議論には、3種類ある。
1.肯定・否定「案Aは良い(ダメ)。理由は~だから」
2.比較選択「案Aと案Bでは、A(B)が良い。理由は~だから」
3.打開策「案Aと案Bがあるが、案Cにすると良い。理由は~だから」

このうち、「1.肯定・否定」がもっとも簡単だ。特に否定は。
どんな案にも、必ず傷はある。その傷を見つけ出すのは、誰にでもできる。知性や理性はいらない。感情や直感で「俺はこれが嫌い」その一点の理由で否定ができる。

「2.比較選択」になると、やや難易度が上がる。
どちらがより悪くないか、より良いかを検証する必要があるからだ。特に良い点を見つけ出すのには、知性や理性が必要になる。そして、それぞれの案について、肯定・否定の理由が複数ある場合、どの理由がより重要なのか、その優先順位や重みづけをハッキリさせることができるか……判断基準の明確化を迫ること、そこが、ファシリテーターの腕の見せ所となる。

「3.打開策」が打ち出せることが、会議の場としてもっとも重要である。より多くの人が納得できるような案に修正していくこと、それがスムーズにできれば、会議は実効性のあるものになる。

■無学者、論に負けず

自分の意見を通すことは簡単である。他人の意見に聞く耳を持たず、ひたすら相手の案を否定しつづければ良いからだ。

案の実現可能性を否定する、案が実施された場合の有効性を否定する、案の短所を強調し長所を否定する、そもそも、問題の所在や解決の必要性を否定する……など、さまざまな否定の方法がある。

「わからずや」「臆病者」「先例主義者」のせいで、議論が一歩も先に進まない……という経験は、よくあることだろう。

■原案に固執しない

こうした否定に直面した時、肯定側の論理を展開し、正面からぶつかり合うのは、教科書的な対応である。現状の改革の必要性を訴え、案の有益性を訴え、能率の向上を訴え、長所を訴え、財政的なメリットを訴え……否定側の根拠を逆に潰すのが、ディベートの基本と言われる。
だが、こうした対応は、えてして水掛け論に終わり、議論の長期化を招きがちだ。結果的に、組織として何もしないという不作為や、意見対立に端を発した感情的な対立、組織の派閥化などに陥ってしまう。

あらためて趣旨に立ち返れば、会議において自分の意見を通すことは重要ではない。合意を形成することこそが重要なはずである。

そうした観点に立ったとき、否定側の攻撃をかわす、もっとも有効な方法は、戦わずに「負ける」ことである。攻撃された案をただちに放棄し、別の案を提案するのである。
その別の案も攻撃されたら、またただちに放棄し、別の案を提案する。いくつかの案に対する否定が揃ったところで、逆襲に出る。「全部、気に入らないのはわかったが、どれが一番マシか……」と(もちろん、言葉は選ぶ必要があるだろう)。

知性・理性が足りず否定しかできない人に、優先順位、判断基準を考える機会を与える……それが議論の打開の本質である。


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