しかし、すでにリトル・ジョーも10回目を迎えてしまいましたよ。そろそろ日本一のリトル・ジョー・マニアを自認しようかと思う昨今ですが、きっと誰も止めないでしょうけど・・・。
でも今回はPick Up CDならぬPick Up Vinylというワケで、アナログ盤の紹介です。なにせ今だ未CD化の音源ですので。
La Familia Inc / Finally (BUENA SUERTE RECORDS BSR-1039)
1973年に出したアルバムです。実はこの盤、どうも再発盤ということです。エッ、こんな盤が再発!とも思ったのですが、僕は知りませんでしたが、どうやらこの盤はフリー・ソウル界隈でソフト・ロック的名盤、とまでは行かなくてもナイス盤のような評価を得ていたようなので、その線で再発されていたのかもしれません。聞いてみると、確かにソフト・ロックぽく軽やかな曲調が多い。
Little Joe Y La FamiliaではなくLa Familia Incという別名義でのアルバムということになるが、メンバーに関して言えばジャケットから判断して間違いなく当時のファミリアのメンツに間違いない。この後脱退し、トルティーヤ・ファクトリー Tortilla Factory を結成するトニー・“ハム”・グェレーロ Tony 'Ham' Guerrero(ジャケ左から3人目)も見える。
でも明らかにチカーノ向けのファミリア La Familia のアルバムとは違い、と言ってその前の時代のラティネイアーズ The Latinaires のころとも違う、曲は全て英語詩のオリジナル。リズムもポルカなどは一切なし。当時のブラス・ロック的な演奏で占めるという、リトル・ジョーとしてはかなり異色なアルバムといえる。
ところで、ボーカルは主にジョニー Johnny Hernandez が務めている。やはり彼にはこういった曲が向いているのだろう。しかも曲のクレジットを見てみると全9曲中8曲が同じくジョニーの作詩作曲となっている。ひょっとしたらこのアルバムのアイディア、というかこういった非テハーノ・アルバムを作るというのはジョニーのアイディアだったのかもしれない。
このアルバムがリリースされた1973年頃のリトル・ジョーといえば、その前年1972年に今や名刺代わりでもある"La Nubes"を含むヒットアルバムの「Para La Gente」をリリースし、チカーノ/ラティーノ・マーケットでの成功を確実のものとした頃で、彼として、当然予てよりの野望でもあっただろう、Top 40、つまり全国区での成功を目指していたのかもしれません。
と、ここまで調べていて面白い動画を見つけた。
上記「Para La Gente」にも収録してあり、なお且つこの「Finally」にも収録されている曲がこの"This Time”。ちょっと音が小さいのが残念だが、このシングルではLa Familia Incの名義になっている。ところがこの裏面が問題。曲は「La Tuna」。名義は同じくLa Familia Inc。でもアルバム「Finally」には収録されておらず、Lttle Joe Y La Familia名義の「Para La Gente」に収録されているのだ。でもギターソロや中で入る掛け声などはアルバムとは異なる。特にギターソロはよりロック色が出ている。これも恐らくロック・サークルを意識してのことだろう。
ここまでリトル・ジョーが当時、メインストリームあるいはロック・マーケットを意識していたことが分かったのは発見でした。
ま、結果としてこの時もメインストリームへのチャート・アクションはなかったようで、次回作の「Total」では再び従来路線に落ち着いたが、でもこのアルバムでも英語曲としてアール・キング Earl King の"Those Lonely Lonely Night」のカバーを、やはりジョニーのボーカルで取り上げている。
そういえばこのジョニー。ソロアルバムでもZ.Z.Hillの”Down Home Blues"やBobby Blandの"Farther On Up Road"をやっているほどのブルース好きでもありますね。
それにしてもだが、幾ら軽やかなサウンドでもこの汚いオッサンジャケでは売れるには難しいような気もする。
*フォトアルバム「Little joe Y La Famili ; CDジャケ集」着々と仕上げています!
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