日本代表も敗れ去り、少々お祭りムードも落ち着いた感のあるサッカー・ワールドカップだが決勝トーナメントに残れたのは順当な結果というか、やはり強いところは強いのだ。いくらトリニダードやアンゴラみたいなところにも残って欲しいと思っても、やはりサッカー先進国の壁は高い。実際みててもすごいしね。
しかし、こうやってワールドカップにまで上り詰めたくチームはそれだけで十分素晴らしくこの世界にはきっと永遠にワールドカップには縁のないような国もごまんとあるわけだから。
Tabou Combo ; A La Canne A Sucre (SUCD100)
Tabou Combo ; Respect... (P-VINE PCD-2528)
68年のデビュー以来いまだに現役で活躍している、カリブ海にある小国ハイチ(フランス語読みではアイティ。ハイチの公用語はフランス語)出身のこのグループのこの2枚は僕の永遠の名盤にすでに決定しています。特に73年発表の”Respect..."の方は彼らの演奏するコンパ(Compas)のリズムがグルーヴィーでリズム・ギター(ジャン・クロード・ジャン)とドラム(エルマン・ヌー)が織り成す変幻自在のコンパの波の中をダドゥ・パスクェの深いリバーブの効いたリード・ギターがこれでもかとあらゆるフレーズを泳がせまくる。 Respect , Alle Lave , Bebe Paramount など等、どれもサイコー。マイナーかかったメロディーが多いがそれはやはり当時のハイチで横行していた圧政のせいだろうか。事実彼らはデビュー後しばらくしてグループごとニューヨークに移住している。で、そのニューヨークにはかなりのハイチ人移民者が多いらしい。多くは圧政から逃れてきた人々だったらしい。72年のアルバム"A La Cannne・・・"もまだ荒削りだがそこがまた魅力的だ。
いまだにハイチはこの間も選挙の際の混乱が報道されていたり、ほとんど無政府状態であるかのような印象さえ抱かせてしまう。こんな国は悲しいかな永遠にワールドカップとは縁がないのだろうな。
われわれが学校で習うことの中に”ハイチは世界で一番最初の黒人による最初の独立国家”と非常に名誉な(かどうかはわからないが)出来事があるが、現状はというか独立以来ハイチは結局ずっと最貧国の道を歩んできている。しかし、こと音楽に関して言えば非常に高いポテンシャルを持った国だ。
さてタブーコンボに戻るとこのグループ1990か91年に来日していまして、私しっかり見ました。この頃の音楽性はもっとポップな明るいメロディーの曲がが多くこれらのアルバムの雰囲気とは全然違うが、それはそれで好きで何より20年以上のベテランにもかかわらずメチャメチャ元気で、一番印象的だったのがステージの上でマッチョ感を出すためかいきなり腕立てをはじめるボーカルのロジャー・ユジューンに現役ダンスバンドのど根性をみた!それに初めて生のコンパ・ドラムの演奏する様を見て”オォ!あのリズムはこういう風に叩いていたのか!”と感激したのも思い出す。シンバルの特徴的なジャッ・ジャッ・ジャッという3連リズムは右手で叩きながら左手でシンバルを直接つかんでミュートしていたんですねぇ。そういえばあのライブはサルサのオスカル・デレオーンとのジョイント・ライブだったが考えてみればメチャクチャ豪華な組み合わせだ。
このCDはすでに16年前のものなのでほとんど入手は不可能と思うがもし機会があればオススメします。どっか再CD化せんかなぁ、リマスターで。