知っている人は知っていますが、うちの農園やこのBLOGのタイトルにもある”サユール”て何?と思っている人もいるでしょう。サユール(=SAYUR)とはインドネシア語で野菜を意味します。インドネシア語は日本語や英語と違って形容詞は言葉の後ろにつきます。よって"SAYUR ITOSHIRO”は”石徹白野菜”という意味になります。
僕は今から十年以上前になりますが、1993年から94年にかけてかの地をほっつき歩いていました。元々はDangdut(というインドネシア演歌/ダンス音楽)にひかれてですが、そのうちインドネシア語をしゃべるのが楽しくなり、おかげで帰国直前にはニセ・インドネシア人に成れるほどだったといわれていました(誰に?)。しかしこんな経験も今になってもマレイシア人との交流に役に立つとは(マレイ語とインドネシア語は言語的には同じ)・・・ホント何がその後の人生に役立つか、なんてわからないっすね。
であるからしてここでも早くインドネシア・ネタを使いたいのだが、はっきり言って新鮮なネタはない。なぜなら最近の音は何も聞いていないからだ。確かに今様R&B調のPOPもいいんだが、CD買うほどの興味はないし優先順位はかなり下。Dangdutも僕が在インドネシア当時でもすでに面白いのは少なかったので新録もいまいち興味が湧かない。そんな中唯一といってもいい、新録の登場を切望しているのがIWA-K。
Iwa-K ; Vini Vidi Vunky (APC GMC 01-4)
今のとここの2002年にでた"Vini Vidi Vunky"が最新作となるわけだけどいまだに良く聴く。この夏も仕事場でのヘビーローテーションでかかっていた。この作品は特にジャカルタの夜とイメージ的にすごくあっているように思う。というかこれを聴いているとフト、夜のジャカルタにいるような、そんな感じさえする(本当は野菜の袋つめをしているんだが)。
彼はラッパーだが僕にはむしろ”おしゃべり”の延長といった感じに聞こえる。僕はラップは聴かないけどそれでもこの人を聞けるのはラップを求めているからではないからかもしれない。もともとこの人のデビューのきっかけは久保田麻琴のインドネシア関連の作品やSANDIIの作品に参加したことがきっかけだった。その時に同じく参加していたGUEST BANDといまだに一緒に作品を出している。僕はGUESTが参加しているほかのインドネシアの歌手の作品は知らないんだが、彼らの作る音は僕大好き。新しくもない手法なんだろうけどとっても馴染む。1つ面白くなのが1CDに必ず1曲は英語詩の曲があること。でも、きっとやりたいんだなぁ、英語で、というのも感じるので許す。
思えば僕がインドネシアにいた頃はちょうどIWA-K(イワ-カー)がインドネシアでデビューした年だったのだ。その前から先の久保田麻琴関係のCDでIWAの名前は知っていたので、友達になったインドネシア人からこの曲が好きだといって出された"KU INGIN KEMBALI"カセットをみてビックリして、”俺、この人知ってるよ。日本で有名だモン”とウソをいっていた。
今のところ確認しているのは5枚のCDと1枚ベスト盤が出ている事だけ。多分これでIWAのアルバムはすべてだと思うけど。BESTはやはり"Vini Vidi Vunky"。完成度は非常に高いと思う。これは本当はもっと聴かれて良いアルバムだと思うのだが、一般の評価は例のごとく情報ないので知りません。ベスト・トラックはスンダ語(?)で歌われる"Lir illr"。好みでは"Kram Otak""Mesin Imajinasi""Ku Ingin Kembali""Topeng"が順位。
下にそれらのアルバムの写真を載せておきます。新しいものから古いもの順。
Iwa-K ; Mesin Imajinasi (Mscd 0198)
1998年の4枚目。ちょっと中だるみっぽい感じもあり。そのためかこれまでの3作はボンバ・レコードによる国内盤が発売されていたが、これはでなかった。おかげでしばらくはその存在を僕も知らなかった。
Iwa-K ; Kram Otak (BOMBA BOM 535)
1996年の3枚目。ついに一皮剥けた感が強かった3枚目。音の感触がグッとざらついたものになりIWAやGUESTのやりたいことが初めて出来たのではなかったのではないか。これもかなり聴いた1枚。
Iwa-K ; Topeng (BOMBA BOM2062)
1994年の2枚目。前作と比べグッとへヴィな感じになったが、まだいまいち借り物っぽい感じが残るか。今ひとつ印象に残らない仕上がり。
Iwa-K : Ku Ingin Kembali (BOMBA BOM2057)
1993年の1枚目。ヒットした"Ku ingin Kembali"もポップ・バラードといった趣で全体的にポップな感触が強い。でも、それはそれで楽しめる。GUESTの音つくりもまだまだ当時の音楽状況に配慮して(?)か、久保田プロダクションで発揮していたとんがり具合は影を潜めがち。それでもインドネシア初のラップ・アーティストとしてのキャリアはここから始まったわけだ。ベスト・トラックは跳ねるピアノとスライド・ギターをバックに軽くコミカルにラップする"Menu Hari Ini"かな。
もう一つ、僕がIWAが気になっている理由がある。彼と僕は同い年ということ。だから彼にはこれからももっとやって欲しいのだ。