いつの間にやら12月も末になっています。
今年は結局のところ音楽ネタの記事はあんまり書けませんでした。言ってしまえばそんな余裕が無かった、って事なんですが、改めて見てみると今年は案外新譜リイシュー盤や新録モノも入手していたんです。ネタはそれなりにあったんですが気が向かなかった。それに加え今年はネットオークションで買う安CDが多く、それらは今まで買いそびれていたり後回しのつもりでそれっきりだったものばっかり。そういうのってあえてここで書きたくなるほどのものは少なかったりするんですねぇ・・・。
そうは言いつつ厳しい財政の中で細々入手したCDのリスト、あ、ちなみに今年はちゃあ~んと予算立てと帳簿付けでしっかり管理して無駄使いはしないようにしました。でも結局予算オーバーしちゃいましたが・・・の、そのリストを見ながら選んでいくと結構ぱっぱっと出揃っちゃいました。
選ぶ基準は例年通りで
- 2009年度購入盤
- 新録/リイシューは分けない
- 発売が2009年以前でも購入が2009年度のものは含む
今年は遂にロックもブルース、ソウル、R&Bも1枚も入りませんでした(次点にJBを選びましたが・・・)。オークションなんかではチョコチョコ買ったんですが、まぁLPでもっていたやつをCDで買いなおしたとかもあったりでさすがBestに入れるほどでもない、という事です。実際はソウル系のリイシューは相変わらず活発で本当はBobby Blandの「Call Me」とかBarbara Lynnのアトランティック盤なんか当然入手してなきゃイカンのだが、叶いませんでしたよ、とほほ。
それとは対照的に今年はワールド方面、特にハイチ関係が充実していました。もちろんそれを目指して今年は集中的に買っていたので当たり前と言えば当たり前の結果なんですが。それより久しぶりにアジアもの、特にインドネシア(&ムラユー)ものでいいものを聴くことができたのが意外な収穫だったです。
といったところで以下、10枚+5枚です。
①Tumbele! Biguine, Afro & Latin Sounds From The French Caribbean, 1963-74(French Caribbean)
1位に関しては迷いましが、やはり今年の蒐集テーマでもある"ハイチ"とも近くかつ、これまでもなかなか聴く機会の無かったフレンチ・カリビアンの貴重な音源が収められたこれを選びました。
レーベルはイギリスのSOUND WAYというだけあってどれもグルーヴィーでナイスなトラックばかり。いかにもDJ好み、と言うのだろうかしかしそれ以上にどのトラックからも感じるのだけど決して軽やかではない独特のダークで重い感触が漂う。タブー・コンボなどもそうだけど60年代後半から75年くらいまでのハイチ音楽、とりわけコンパなどは僕の聴いてきた限りだけど、このような同様に重く暗い印象がある。たとえばタブー・コンボで言えば68年のデビュー作から75年の「インフラシオン」あたり。スペイン語圏のサルサのへヴィーさとも英語圏のレゲエのズブズブさとも違うこの重苦しさ。これはなぜなんでしょう?。
このダークなマイナー調の曲にコンパやカダンスなどのリズムが絡みつくファンキーさがこの当時のフレンチ・カリビアンの魅力。ハッキリ言って僕なんか殆ど聴いた事の無い人やグループばっかりですけどどれもカッコいい。
②Mini Allstars ; El Manisero(Kompas/Haiti)
③Elizete Cardoso ; A Divina(Samba Cancao/Brazil)
ハイチ蒐集のメインはやっぱりコンパ。今年の前半は主にオークションでかつて出ていたミニ・レーベルのハイチ/コンパのCDをいくつか入手しました。Daniel Lariviereの「Serenade Des Melomanes」なんていうめっけもの等いろいろあったけど、中でもミニ・オールスターズ(MAS)はこれまで未入手のものを結構手に入れる事が出来た。「Pure Gold」のみLPだけど「Raraman」までは全部そろった。これもかつてPヴァインが日本盤で出していたものなのだけど当時は結局買う事が出来なかったんですよね。どれも気に入ったもばかりの中から代表としてこのCDを。これはMASの代表作でもある「Pure Gold」に続く1982年にでた2枚「El Manicero」と「MAS Compas」の2イン1。メンバーもほぼ同じような布陣。80年代に入ってからの熟成されたコンパのグルーヴが気持ち良すぎ。
それにしても何たる偶然か・・・そのMASがなんと9月から10月に突然やってきたではないか!。メンバーの名前にはこのCDにも参加している元ヌムール・ジャン・バティステのアコーディオン奏者でもあるリシャール・ドゥロゾー Richard Duroseau の名前が!!まだ生きていたのですね。信じられない、という気持と同時に「なぜ今頃?」と思わずにはいられなかった。本当に行きたかったのだけどやはり農繁期のさなかに名古屋とはいえライブを見に行くことは無理だったのだ。僻地に住むものの悲哀を味わいました・・・。
年末になってやっと入手できたのがこのエリゼッチ・カルドーソ。サンビーニャの田中さん、久々のそして待望の独自製作盤。そして内容はさすが!特に毎回詳細にわたる解説が売り物のライス復刻版にあって、とりわけ思い入れの深いまた個人的な交友もあったエリゼッチだけにとても面白いライナー・ノーツが素晴らしい。ライスの解説書は中身の音 と同様、いや時にそれ以上ワクワクするような内容だ。モチロン音楽のほうもエリゼッチ、贅沢っす。
④Nayyara Noor ; Nayyara Sings Faiz(Gazal/Pakistan)
⑤Humaria Channa ; Tarang(Gazl/Pakistan)
⑥Amos Coulanges ; Musique Haitienne Pour Guitare(Guitar Solo/Haiti)
ここ数年じわじわ来ていたインド方面ですが、おととしのスダ・ラグナタン以来久々のヒットがNayyara NoorとHumaira Channaの2枚のアルバムでした。どちらもパキスタンのウルドゥー歌謡の”ガザル”ですがこのニャーラ・ヌール(と読むのだろうか?)は70年代半ばに出ていたもののリマスターCD、対してウメイラ・チャンネは08年の新録にもかかわらず一切の打ち込みはなく全てナマ音というもの。共に共通しているのはそのルーツ嗜好。それにしても・・・聴いているだけでなんと満たされた気持ちになることか。
エル・スール・レコードで買ったハイチCDにも今年もいいものが沢山あったのですが、その中でもこの人は発見でした。全てガット・ギターのギターソロのみだが、実にいいですね。ハイチ音楽にあるヨーロッパ・ルーツ?を感じさせる独特の哀愁を完璧なテクニックでギター1本で表現してしまっています。
⑦Robot Percussion ; Inovative Jaipong (Jaipongan/Indonesia)
⑧Sri Mahligai ; Mutiara(Melayu/Singapor)
⑨鈴木常吉 ; ぜいご(うた/Japan)
⑩Tiroro ; The Best Of Tiroro(Drum Solo/Haiti)
今年はそんな意識は無かったのだけど、結構アジアモノを買ったなぁ。ついにはタイ/ルークトゥンのスラポン・紙ジャケってのにまで手を出しちゃったし。でも、僕にはやはりインドネシアが一番肌に合う。もうこれはしょうがない。7位には昨年でた、これまたライス田中さんのプロデュースによる”新感覚ジャイポンガン”を入れましょう。散々ライス・レコード/サンビーニャのことを褒めていながら、実はここ数年ライスのCDを買うのはマンスリー・セールか半期に一度のセールに限っているのがちと情けない。このCDも夏のセールで前から欲しかったものをようやく入手した次第。ジャイポンガン版「メインストリートのならず者」かどうかはともかく?かっこいいなぁ。ところでこの音を流す環境で一番似合うのはここ石徹白でも夏の屋外(キャンプ場)でした(実証実験済み)。
8位に、これはなんとシンガポールのマレイ系グループの2枚目。前編インストだが、そこが意外に良い。伝統的スタイルのようだがメンバーは写真を見る限り20代クラスの若者ばかり。演奏もとびきりフレッシュ。コレは見っけモノでした。
今回は特に悩むことなく選べたのだけど、あと1枚がなかなか出てきませんでした。で、いろいろ考えた末これにしました。常吉さん、気づいている人は気づいている当ブログのサイドバーには彼のブログがリンクしてあります。イカ天にセメントミキサーズとしてのっそり登場してきたのを目撃して以来のファンのつもりです。ブレイブ・コンボのカール・フィンチのプロデュースしたセメントミキサーズのCDは残念ながらつまんなかった(あれはプロデューサーと直前のメンバーチェンジが悪かったと思う)が、この2006年のCDはさすがだ。これも今年前半のオークション巡りでたまたま見つけた物。3月に買っていたのだけどそしたら今年の後半になって、なにやらこのCD曲がドラマに使われたとのことで、AmazonのインディーズCDのランキングで1位、2位?にまでなるほど売れちゃったそうじゃない。
なんか自分の興味と世の中の動き、関係ないところで妙にリンクしてしまいました。
最後にこれもハイチ。チロロのこのCDもオーディブック時代から欲しいなぁ、と思いつつ今の今まで後回しになっていた口です。実はこれを入手する前にフォークウェイズのカスタムCDRの「The Haitian Drumer」を買いました。余りのカッコよさに、やはりこの日本盤も手に入れなければ!と思い直した、というわけです。それにしてもこれもライス・レコード。正に世界に誇るべきCDだと思う(今頃買っておいてこんな事言うのもナンですが・・・)。
<特別賞 (左) Ry Cooder & Nick Low Live In Nagoya > (Ry & Nick)
<次点・・・4点>
<特別賞・・・ちょっとズルイですが、やはりこれは今年の一大ニュースのでしょう。ピーター・バラカン氏もラジオで言っていたと思いますが、これほどいい評判しか聞かなかったライブと言うのも珍しいのでは、というほど楽しいライブだった。2人ともピークは過ぎたミュージシャンに違いないが、そんな事はと音楽の楽しさとは全然関係ないってことだ。>
<次点1・・・今年は次点のリトル・ジョー。それにしてもリトル・ジョーの精力的な活動には脱帽してしまう。おととしは出したフレディー・フェンダーのトリビュート・アルバムでグラミーを取った後も、昨年も(全て未聴なのですが)サニー・オズーナのトリビュートアルバムとカントリー・アルバムを出し、今年も新たに新録(ライブ盤かな?)を出しているらしい。で、これは1977年のアルバム。ゲストにスティーブ・ジョーダンが入っているが、この2人は最近でもライブで競演しているようだ。癌と戦っているという話もあるスティーブ・ジョーダンだがこうして元気な姿が拝められるとはありがたいことです。
<次点2・・・昨年9位に入れたにものの、その体裁の悪さが不満だったトルティーヤ・ファクトリー。結局、1stアルバムも買ってしまった。やはり、同様のボール紙ジャケット、カラーコピー、CDラベルも紙の手張り?、勿論CDR。そしてこれまた同様に内容が良いと来るから困った。中でも"Cookin'"の強烈レア・グルーヴには参った。<コレ>
<次点3・・・またまたライス・レコード(マレイシア・ライフ・レコード盤を配給)。へティのこのCD、しかし実はこの再発のインフォメーションが出る1ヶ月前に(これまた偶然にも)オークションで落としたかつて90年に出たボンバ盤です。オークションでたまたま見つけて、つい懐かしくなって落としてしまいました。僕が初めてインドネシアにいった92年にはまだまだこういった音は巷にあふれていたなぁ、あのころはDoel Sumbang ドゥル・スンバンなんかが人気あったんだよなぁ、こんな感じの音だったなぁ、当時は15年以上経ってこんな風に回顧することになるなんて夢にも思わなかったなぁ・・・。
<次点4・・・年末最後の最後に滑り込んできたビッグ・リイシュー!2007年のベストにも10位で選んでいるJBの「ライブ・アット・ザ・ガーデン」。あの時は紙ジャケだったが今回はもっとスゴイ!元々の「・・・ガーデン」に、同時期の未発表ライブ音源を足した2枚組なのだが、最初のインフォメーションではいまいち内容が分からなかった。聴いてみたら、「・・・ガーデン」とは音源が全く違う。確かに音のバランスが悪かったりばらつきがあったりする部分もあり、お蔵入りも無理も無いと思った。しかし!内容は極上!しかも前座のJBオーケストラ&JB on Organ!の演奏がメドレーも含め7曲!こんなにオルガンを弾きこなすJBは初めて聴いたぞ!間にはコメディアン?によるおしゃべりと(なんと!)マディーの"Got My Mojo Workin'"。2枚目の丸々1枚を使ってのJBのStar Time。どこかブートレグのような曲間なども丸ごと入った編集は現場にいるような臨場感!グレイト!!
しかしこうしてみると今年は結構新譜(09年発売のもの)は結構聴いていたのだなぁ。あるいはMASにせよへティ・クース・エンダンにせよ古いものでも微妙に今と絡んでいた気もします。というワケで今年もなかなかに充実したミュージック・ライフだでした。めでたしめでたし。
さてそろそろ来年の蒐集テーマを決めたいなぁ。ライトニン・ホプキンスもあらかた集めきったし、ハイチものもあとは巡り合わせの問題。あ、来年っていってもそもそも金ないから収穫シーズンになるまでCD買うどころでないや。
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