すでに4年目となる当ブログの年間ベスト・アルバム。
このブログに来てくれる方のうち、7割は野菜関係の興味の方で、2割は音楽関係、1割くらいは両方ともに関心のある人、と勝手に見込んでいるんですがどうでしょうか?
いまだに、これは農業のブログなのか音楽のブログなのか?、だとかこんなマニアックな音楽のことを一緒くたに載せていたんでは野菜に興味がある人にはマイナスだ、とか農家としてのプロ意識が足らない、だとかお前はよくわからんとか、あ、最後のはかなりあたっていると思うが、そんなことをおっしゃる方々もいるんだけど、まぁ所詮商売抜きのサイトなんでねぇ、これは。商売用は別個にサイト2つ(「農園サユールイトシロ WEBショップ」は販売目的、 「農園サユールイトシロの情報BOX」は情報開示目的)を運営してますので、そちらのほうをよろしく。
で、以前からたびたび書いてますけど、僕は単なる野菜バカではないので、野菜や農業のことばかり書いているブログは僕っぽくはない。それよりも農業を縦軸に、同様に関心のあることを横軸に織り交ぜながら綴っていくのが、当たり前のやり方なんですね。横軸になるのは石徹白のことであったり、政治のことであったりもするわけですが、音楽についての話が多くなるのは、自称”本職=音楽ファン、aka 音楽バカ”なので。世の中こういう百姓ブログがあってもいいんじゃない?
というワケで今回の記事も約3割の方は、きっと楽しみにしてくれていることと思います。・・・思いますが!やっぱり今年は、というか今年も非常にキビシー1年間でして、なかなか音楽関係に使えるお金がなかったですねぇ、さみしい話しながら。
しかし聴いてみたい、いや聴くべきだろう!音楽好きならば!、といったモノだけでも今年中に入手しておかねばと思い、そういったCDはここ1,2ヶ月で入手したので、今回セレクトしたものの半分くらいはそういったCDが占めちゃいました。結局のところ、今年入手したCDの大半がここに並んでいるので、なんかベストというには憚れるのだが、今年もこうして15枚選ぶことが出来たと、言うだけで十分ではないか、とも思うしだいです。
そんなワケで選んだ今年の10枚+5枚。
選ぶ基準は例年通りで
- 2010年度購入盤
- 新録/リイシューは分けない
- 発売が2010年以前でも購入が2010年度のものは含む
傾向も何もないですが、今年はエル・スール以外であまり買わなかったこともあり、いきおいワールド関係が多数占めました。あとやはり今年はジョーバターン来日とスティーブ・ジョーダンの逝去が大きなウェイトを占めましたね。
①Esteban Jordan ; Carta Espiritual(Tejano / Conjunto)
ここ数年は毎年、いや毎月のように素晴らしいミュージシャンの訃報に接していたのだけど、エステバン・スティーブ・ジョーダンの突然の死の知らせには驚いた。いや、予てより癌との話は聞いていたので突然ではなかったはずなのだけど、その知らせの後からもこうして20年ぶりのニューアルバムを発表。さらにはこれも久方ぶりの、しかも初の国内盤でアシエンダ・レーベル時代の名盤が2枚もCD化されるという、盛り上がりを(一部で?)見せていただけに、余計にショックだったのだ。
その新譜。なぜか国外流通はしない。アメリカ国内でもなかなか買いやすいネット・ショップでは見かけないという状況で、非常に入手が難しかったのですが、このままではイカン!と業を煮やしてついにダイレクト・オーダーto San Anton!で手に入れてしまいました。決済方法に問題ありなのであまりおススメではできませんが。
内容は先日こちらでも書きましたが、70になっても癌を患っていてもやはり変わらない、オーソドックスかつマンネリとは無縁のスティーブ・ジョーダン・サウンド。驚愕のアシエンダ時代の名盤2枚の国内盤「Ahorita」&「Turm Me Loose」ともども合わせての評価ということです。
それにしても・・・、今となってはこのジャケットだけは涙を誘う。
②Spencer Wiggins ; Feed The Flame : The Fame and XL Recordings (Southern Soul / Deep Soul)
③Ethiopiques 27 / Centennial of the First Ethiopian Music Recordhings ; Azmari Tessema Eshete (Ethiopia)
この2枚も年末ギリギリになってようやく手に入れた。とはいえ、スペンサー・ウィギンスのほうは発売から半年ほど立ってしまったのだけど、テセマ・エシェテのエチオピークの方は12月にはいってから突然EL SURのサイトに乗ったのを見て衝動買いしたもの。
スペンサー・ウィギンスはもう殆ど同率で1位みたいなもんだ。4年ほど前にでたGold Wax録音のCDが出たときも相当興奮したけど、でもLPは持っていたし、内容も大体知っていた。でも今回のFame&XL録音については初めて聞く曲が殆どだし、これまで権利関係の問題でCD化が難しく、幻の存在になっていたものだったのが、英ACEレーベルの地道な努力のお陰で、こうして素晴らしい形でリイシューされたのだから、実にメデタイ。
方やテセマ・エシェテのほうはなんと古いものは1908年録音というもので(これはエチオピアのみならずアフリカ音楽としては最初のレコーディングでもあったそう)、マシンコと呼ばれる1弦フィドルを弾きながらエチオピアらしいコブシ回しで歌う。本当に日本の語り物の様にも聞こえる。100年の時間と空間を越えて響くその歌声はとても魅力的だ。これがフィールド・レコーディングのような類ではなく、ドイツで行われた商業録音だったというのもスゴイ。またこういったSPを見つけ出してくるその努力と言うか、執念というのか、何よりそれがスゴイと思う。それはCDブック形式になっている豊富な写真を掲載したブックレットの充実度合いにも現れている。
この2枚のCDに共通しているのも、単なる商売を超えた、素晴らしい音楽遺産への愛情であって、それをもっとも相応しい形(パッケージと言ってもいい)で世に広めたい・残したいという情熱ですねぇ、やはり。見習いたい。
④Fayrouz ; Eh Fi Amal (Arab / Lebanon)
⑤D.O.Misiani And Shirati Jazz ; The King Of History : Classic 1970's Benga Beats From Kenya (Kenya / Benga Beats)
⑥Mashombe Blue Jeans ; Makali One (Zambia / Kalindula)
実はフェイルーズはコレが初めて買ったCDになる。もちろん昔から名前は知ってたし、何曲か聴いたことはあってもどれを買ったらいいかわかんなく、切っ掛けがなかった。しかし今年出たばっかりのこの「Eh Fi Amal」はウードなどのアラブ楽器主体に、ジャズっぽいバックも織り交ぜながらも、そこに重すぎなくもしっとりしたフェイルーズの歌がはまっている。とてもいい。最近のシャバービーなんかのイケイケなアラブ・ポップスにどうにも付いていけなくなっている僕でも、こんな落ち着いて聴けるアラブ・ポップスはありがたい。
レバノンに本当の平和が訪れるまでは、という理由でジャケットの写真はずっと無表情で冷たい感じのポートレイトだったという話を聞いたことがある。今回のジャケットはどうだろう。うっすら微笑みを湛えたようなその表情。彼女には苦難が続くレバノンの将来に光明が見えたのだろうか?
ケニアのルオ人の間で人気のあるベンガ・ビートというスタイルの音楽の第一人者であるD.O.ミシアーニ。昔アースワークスから出ていた80年代の音源の編集盤があって、今でもライスから出ているが、こちらはさらに遡って70年代の音源。ケニアって案外見落とされている気がするのだけど、僕は好きなんですよね。ベンガ・ビートもターラブも、昔の出稼ぎコンゴ音楽も。
このマションベ・ブルー・ジーンズもブンブン跳ねるベースが特徴的なバンドでなかなか気に入った。それ以上に自作/手製の楽器を作って自分らの音楽を演奏し楽しんでいるザンビア人が羨ましく思ったのもちょっとあった。どっちが良いとかじゃないけど、今の自分達には間違いなく出来ない事だから、やっぱり羨ましい。
⑦Joe Bataan ; Mr.New York And The East Side Kids (Boogaloo /Latin Soul)
⑧初音家賢次 ; 旅立て俊徳丸 (河内音頭)
⑨Cornelio Reyna ; Cornelio Reyna (Tejano / Norteno)
⑩鄧麗君(Teresa Teng) ; 勢不両立 (China / 広東語・?語)
昨年はミニ・オールスターズの奇跡の来日公演を見ることが出来ず、悔しい思いをしたけど、今年のジョー・バターンのほうの奇跡の来日公演を見れなかったことのほうが数倍悔しかった。その熱い思いのたけだけはブログで散々吐き散らかさせてもらった。ジョー・バターンのCDは来日が決まってから、このシリーズを書くために何枚か買ったが、このCDはブログで取り上げたときはまだLPしかなかったのですが、その後無事入手したもの。やっぱり"The Prayer”は名曲ですね。これでCDがそろっていないのが「Poor Boy」と「Sweet Soul」だけになった。別にどうでもCDで買いなおさなければならないわけでもないけどね。
ここ数年、年に1枚は河内音頭も良盤が出るので楽しみなんだが、今年でたこの初音家賢次という人の作品も驚いた。昭和34,5年というから今から40年ほども前の私家録音を元に新たなバックトラックとをリミックス。男くさい(荒っぽいというワケではない)唄とリズムがハードボイルドな雰囲気すら感じさせる!こんなのアリなのか!?アリなんですねぇ・・・。
さえないオヤジジャケで一躍有名になってしまった感のあるコルネリオ・レイナ氏ですが、彼の地テキサス周辺ではアコーディオン奏者のラモン・アラヤとのコンビでかなりの人気を保っていた大物シンガーだったようです。ちなみにリトル・ジョーもカバーしていた。それにしても「Get Rythem」以降のライ・クーダーを髣髴とさせる歌声が情けなさ感を増すようで、正直なところ元気の無いときはあまり聴けない音楽でもあったけど。
最後は迷った。迷った挙句に選んだのはテレサ・テン。やはり今のような日中関係の折には、みんなテレサ・テンでも聴いてみるのも良いんじゃないかと・・・。いや、良いですね単純に。凄く落ち着いて聴けるんですが、オレってそんなに疲れているのか?歳のせいか?でもこんなイイ唄が味わえるようになったのなら歳を食うのも乙ってなもんだぜ。1980年発表のアルバムの2004年発売の紙ジャケ&黒盤CD。テレサ・テンの紙ジャケCDもこれで3枚目になった。コレも地道に集めていきたいCDシリーズであります。
<特別賞 (左) 石徹白民踊 ; 石徹白民踊保存会> (民謡 / 自主制作CDR)
<次点・・・4点>
- (中上)Little Joe & La Familia ; Recuerdos(Tejano/Orqesta)
- (右上)Jackie Mittoo ; Stepping Tiger (Reggae/Dub)
- (中下)Cubano ; L' Essence (Haiti/Compas)
- (右下)The Rolling Stones ; Emotional Rescue (Rock)
<特別賞・・・今年、地元の民踊保存会が録音した“正調”石徹白民踊とでもいった、歌のみ、伴奏は無し。録音の様子は「石徹白ニュース」でも載っていました。僕自身は石徹白民踊なるもの、歌えもしなければ盆踊りも満足に踊れない身ではあるけども、地元も人たちだけで、これくらいのものを作り上げてしまう、情熱とパワーに敬服する。誰かこれで魅力的なリミックスでもやってくれんかな、俊徳丸みたく!? 以下、参考までにサンプルトラックです(mp3ファイルで1分ほどにカットしてます)。>
1;夜搗き唄 2;いりこ挽き 3;よいとそりゃ 4;しっちょいちょい
<次点1・・・唯一、毎年この場に登場する(と言う事は毎年毎年何がしか購入している)リトル・ジョーですが今年も精力的に活躍していたようです。リイシュー盤も2枚出したし、新録アルバムもこうして出している。今回は趣向を変えて、スティール・ギターやフィドルといったリトル・ジョーには珍しいアコースティック楽器とスモールコンボ、でもメンバーはファミリアのメンバーによる非常に回顧調の趣の内容。まぁ特筆してすばらしいわけでもないけど、毎年の様にこうしてニュー・アルバムを出す事だけでもリスペクト!>
<次点2・・・僕はレゲエは余り聴かない。でも、その中でジャキー・ミットーだけは例外。ジャキー・ミットーもそうだが、レゲエ・ミュージシャンと言うよりスカ時代からのスカタライツのようなジャズ系ミュージシャンは割りと好き。でも本作とそのちょっと前に出た「The Money Makers」を買ったもうひとつの理由は、絶対にすぐ廃盤になって手に入らなくなると思ったから。>
<次点3・・・これは某オークションで買った、スカシャのボーカリストのソロCD。1980年代前半、黄金時代のコンパが目いっぱい楽しめます。これ以降なかなかコンパのCDは見つかっていないです。>
<次点4・・・十代後半の貴重な時期の大半をストーンズを聴く事に費やしてしまった経歴の持ち主の僕ですがCDの買い替えはまだ殆どしていない。なぜならコレまでのリイシューCDはいまいち触手が伸びなかったからなのだが、ここに来て良好なリマスター&紙ジャケという仕様で出てきた。そろそろ買い時か!と思ったが、、残念ながら欲しいときには金はなし。だから1枚だけ。ストーンズの数あるアルバムの中でコレを1位に推す人は殆ど居ないだろう。勿論僕も1番は「メインストリートのならず者」だ。でもそれと同じくらい、このアルバムは好きだし評価もしている。つーか、「・・・ならず者」の頃のストーンズと「エモーショナル・レスキュー」の頃のストーンズは全然違うしね。>
ここ数年のデラックス・エディション・ブーム、といって良いのかビートルズやストーンズ、ちょっと前でもブルース・スプリングスティーンなどの重厚な仕様なBOXセットが沢山出ている。こうしてみてみるといよいよロックも大掛かりな総括の時代の最終局面に入ったのかと思わざるを得ないですね。それとも業界が単なる食い扶持稼ぎのための最後の重箱の隅を突付いているだけなのか。どちらにしてもそれほどロックにこだわりのない聞き方をしてきたこともあるので個人的にはあんまり興味がそそられるような現象ではないですなぁ・・・。
そんなこといいつつも、自分の年間ベストをみてみりゃ、すでに故人の作品とか超ベテランの新録or旧録ばかりが並んだラインナップ・・・。新味の無い内容だなぁ、さすがに。
来年の目標は、今年聴くことが出来なかったレユニオン音楽に手を出す事だな。後は1枚でも沢山聴けるようになること。これで十分だ。
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