いよいよArhoolie Recordsの代表作でもあり、ライトニン・ホプキンスにとっても外せない傑作にして、Pヴァイン・レコードの誇る理想のリイシュー盤ともいえるこちらの登場となります。
Lightnin' Hopkins ; The Texsas Blues Man + Lightnin' Sam Hopkins (P-VINE PCD-24104)
<The Texsas Blues Man>
- Tom Moore Blues
- Watch My Fingers
- Little Antoinette
- Love Like a Hydrant
- Cut Me Out Baby
- Take A Walk
- Slavery
- At Home Blues
- I Would If I Could
- Bud Russell Blues
- Meet You at the Chicken Shack
- Once Was a Gambler
- Speedin' Boogie
- Ice Storm Blues
- California Showers
- Burnin' In L.A.
- Bald Headed Woman
- Goin' Out
<Lightnin' Sam Hopkins>
☆1967年12月18日、ヒューストンで録音された『テキサス・ブルースマン』(1-10)に1961年11月26日にカルフォルニアで録音された音源を中心とした『ライトニン・サム・ホプキンス』から1曲除いた8曲(11-18)を収録した2in1。CD発売年・・・2001年
★試聴 → http://www.allmusic.com/cg/amg.dll?p=amg&sql=10:knfyxqu5ldse
これまでにも何度もそのタイトルは出してきましたが、まさに真打にふさわしいアルバムタイトルです。『The Texsas Blues Man』とはまさにライトニンのためにある呼び名ですな。多分このアルバムは、特に日本では「モジョ・ハンド」と並び一番認知されているライトニンのアルバムに違いない。とにかくそのジャケ写真が強烈な印象を残す。これも「モジョ・ハンド」並み。
だからこのPヴァイン盤のようにジャケットもそのままCD化が当然のハズ。時代が時代なら紙ジャケ化間違いなしです(これは残念ながらプラケースですが)。だから、また繰り返しになるけど、どうしてアーフリー Arhoolie Records はわざわざあんなつまらない色つきにしてCD化するんだろう。そのアーフリーの現行CDのジャケットは試聴のAMGのサイトに出ています。
このCDは1967年の『The Texsas Blues Man』と1961年の『Lightnin' Sam Hopkins』の2in1になっています。細かく言うと『Lightnin' Sam Hopkins』から1曲、収録時間の都合でカットされています。この『Lightnin' Sam Hopkins』はすでに10回目に紹介しました『Po' Lightnin'』に6曲が収録さています。しかし、やはりこのCDのほうが曲数が多いし、何よりLPの形態をできるだけ再現しているほうがいいと思うわけです。『Lightnin' Sam Hopkins』のオリジナル・ジャケットがソング・リストの右横に載せてあります。これは「テキサス・ブルースマン」のブックレット(ジャケット)の裏面から取りました。こちらのジャケット写真も最高です。LPサイズであれば、もっと最高。やっぱりこれくらいの配慮が無ければいけません。
話を67年の「テキサス・ブルースマン」に戻すと、こちらは前編エレキ・ギターによる弾き語り。
実はこの頃(67~69年)にはアーフリーの録音以外にも結構あちこちのレーベルにまた録音を重ねている。ざっとあげればHomeCookin', International Artists , Poppy , Vault ,それに当時は未発表だったが、のちにJSPで出されたAubrey Mayhewによる録音(この後の第15回で取り上げます)など、結構多い。
このうちPoppyのものはこの下に取り上げているもので、レーベルは違うがアーフリーのクリス・ストラックウィッツ Chris Strachwitz によるプロデュースなので感触はアーフリーのものとほぼ同じといってよい。
これらを聞き比べると改めてアーフリー、ひいてはクリス・ストラックウィッツによる作品の素晴らしさ、質の良さを感じずにはいられない。何より丁寧な作りは音質1つ取っても違う。それに、きっとライトニンのことだ。相手になる人間によってやる気度に変化があってもおかしくないようにも思える。いつもと同じようにブルースを唸っているように聞えて、実はライトニンの演奏も結構丁寧だ。きっとライトニンとクリス・ストラックウィッツは良い友人だったのだろうなぁ、とそんなことを思わすに十分だ。そんな正直さ、人間臭さ、が大きな魅力にもなっているのだ。
弾き語りということもあり、じっくり聴かせる内容で"Tom Moore Blues" "Bud Russell Blues "のような「告発ブルース」も重み十分。このアルバムはライトニンの語りの魅力をもっとも捉えているかもしれない。ブギーもいいし、ダーティーでもあるけど、この語りの素晴らしさも大いなる魅力なワケです。
あ、すっかり『The Texsas Blues Man』の話ばかりになってしまいましたが、もう半分を占める61年の『Lightnin' Sam Hopkins』も全く甲乙付けがたい。こちらは、いわゆる再発見後では初めてエレキ・ギターを使った録音ということでも知られていますが、ドラムのスパイダー・キルパトリック Spider Kilpatrick との相性もバッチリで、非常に生っぽい音の取り方のおかげで2人の演奏がいっそうナマナマしく迫ってきます。
ライトニンの代表作の2in1。これ以上のお徳盤はない。
Lightnin' Hopkins ; Lightnin' ! (ARHOOLIE RECORDS CD 390)
- Mojo Hand
- Rock Me Baby
- Hello Central
- Ain't It Crazy
- Little and Low
- Hold up Your Head
- Good Times Here, Better Down the Road
- Annie's Boogie
- My Starter Won't Start This Morning
- One Kind Favor
- Little Girl
- Baby Please Don't Go
- What'd I Say
- I Hear You Calling Me
- Trouble in Mind
- Come on Baby
- At Home Blues
- Take a Walk
- Little Antoinette
- Cut Me Out Baby
☆1969年5月20日、カルフォルニアで録音されたセッション(1-16)を中心にした編集盤。元はポピー・レコード Poppy Records で2枚組LPとして出されていたもの。後半の4曲は1967年の『The Texsas Blues Man』からのカット。CD発売年・・・1993年
★試聴 → http://www.allmusic.com/cg/amg.dll?p=amg&sql=10:knfuxqugldhe
そしてこのCDはアーフリーのクリス・ストラックウィッツがプロデュース、ポピー Poppy Records から出されたもの。バックはマディ・ウォータース Muddy Waters のモンタレーでのバックでも知られるフランシス・クレイ Francis Clay がドラムのほかに2の”Rock Me Baby"のみ、同時期にアーフリーから出された、これまたグレイとなギターリストのアール・フッカー Earl Hooker のアルバムでもバックを勤めていたBassのジーノ・スカッグス Geno Skaggs とピアノのビッグ・ムース・ウォーカー Big Moose Walker などが加わった布陣。
このアルバムは聞く前から以外に評判がいいのは知ってはいたけど、これがなかなか良い。確かに何でも無いようないつものライトニンに聞えるし、「テキサス・ブルースマン」のような重みはないし、「ライトニン・サム・ホプキンス」のようなドロッっとしたえぐさもないのだが、本当にいつものライトニン、それも極上のブルースマンのライトニンの演奏をパックしているアルバムです。ライトインのアルバムにもハープもたまに入るのだが正直なところライトニンが組むハープ奏者はいいのがいない。従兄弟でもあるビリー・バイザーも味があってよいのだけどアンサンブルなんてことは頭に無いのでいつまでも吹きっぱなしなのがハッキリ言ってウットオシイことがある。
このCDではJeff Carpなるハーモニカ奏者が吹いているがなかなか控えめでバンドサウンドに徹しているのが良い。B,Bキングの"Rock Me Baby"なんてなかなか良い出来じゃぁない。それ以外は弾き語りかドラムのみをバックに弾いていますが、お得意の曲を中心にやっています。ここでもおなじみの"One Kind Favor"をやっています。相変わらずいい曲ですねぇ。僕は大好きです。
ただ残念なことにこのアーフリー盤のCDは現在廃盤状態のようだ。これと同内容のCDは他には出ていないようです。