ついに10回目を、あっけなく迎えてしまいましたライトニン・スペシャル。あと10回くらい続きますのでよろしくお付き合いのほど・・・。
様々なコレクター・レーベルの中でもやはり最高位の評価を得ているのは今回紹介するアーフリー ARHOOLIE RECORDS でしょう。
アーフリーにも沢山の録音を残していて、当然かつてはLPで発表されていたものがほとんどですが、当時はほぼ録音順/単位でアルバム化されていたにもかかわらずCD時代になってからは、なぜか同じセッションの録音でもバラバラとあちこちのCDに混ぜ込んで切り売りしたりしている。なぜこういった無駄に手の込んだことをするのか、サッパリ理解できないのだけど仕方がない。これが日本のレコード会社、特にPヴァインあたりなんかがCD化すると律儀なまでにオリジナルの形にこだわるのとは実に対照的だと思う。もちろん僕としてはよりオリジナルに近い形で出したほうが嬉しい。
そういったわけでどういう順番に紹介するか考えたのだが今回はアーフリーでの最初の録音を含む61,62年の録音(12曲)を中心とした(67,69年録音も7曲あり)編集CDを取り上げます。
Lightnin' Hopkins ; Po' Lightnin' (ARHOOLIE RECORDS CD 403)
- Ice Storm Blues
- Speedin' Boogie
- Wine Drinking Woman
- Do the Boogie
- My Baby's Gone
- Wake Up Old Maid
- Jesus, Will You Come by Here
- Candy Kitchen
- Gin Bottle Blues
- Hurricanes Carla and Esther
- Wipe Your Feet on the Floor
- Please Settle in Vietnam
- Up on Telegraph Avenue
- California Showers
- Burnin' in L.A
- Selling Wine in Arizona
- Brand New Lock
- I'm Leaving You Now
- Goin' Out Number
☆アーフリーでの最初の録音を含む61,62年の録音(12曲)を中心とした編集CD。LP『Lightnin' Sam Hopkins』、『Po' Lightnin'』、『The Texas Blues Man』、『Lightnin' In Berkley』の中から選ばれた曲に未発表曲を追加。CD販売年・・・1995年
★試聴 → http://www.allmusic.com/cg/amg.dll?p=amg&sql=10:fnfyxqu5ldse
このCDの中心は何といっても61年録音を中心としたアーフリーでの1枚目となる『Lightnin' Sam Hopkin』からの曲で、1.2.4.14.15.19がそれにあたります。しかしこれらの曲はもっとあとで取り上げる予定のP-ヴァインから出ている『The Texsas Blues Man + Lightnin' Sam Hopkins』に4の「Do The Boogie」が入っていない以外はすべて聴くことができる。そのPヴァイン盤を持っているような人にとってこのアルバムは、それら以外の曲のために買う意義があります。
そもそも同タイトルのLPがアーフリーから発売されいましたが、このCDに含まれるのは5と8の2曲のみ、という実に紛らわしい体裁になっています。
わかりやすくセッション別に記すと
- 1961年11月・・・2.3.4.5.6.7.8.10.14.15.19の11曲
- 上記とほぼ同時期の1962年1月・・・1
このうち6.7の2曲は未発表曲。これらのセッションから上記の『Lightnin' Sam Hopkin』が組まれたというわけです(但し10のみ未収)。
この時のセッションからこれも名盤である『The Texsas Blues Man』が生まれた。この2曲はその時のセッションの未発表曲。
- 1969年12月8日・・・11.12.13.16.17
これらは『Lightning Hopkins in Berkeley』という僕は見たことないLPに収録されていたようだ。
最初に書いたように今アーフリーから出ているライトニンのCDは(ゴールドスター録音を除くと)このように複数のセッションを年代も混ぜ込んで組まれている。もっとも、それによって違和感があるかといえばそれほど違いも感じられず、改めてライトニンの「変わらず度」がわかるのだけど、やっぱりオリジナル・アルバムという体裁はその当時の時代や文化も含んでいいるワケですから、もう少し尊重した再発の仕方もあるでしょうがねぇ・・・。内容が最高だけにもったいない。
特に1961年のセッションはライトニン“再発見”後の最初のエレキ・ギターを使ってのレコーディングという歴史的にも重要なセッション。録音も生なましく、14のCalifornia Showersはずしりと迫ってきます。以前、確か雑誌「ブラック・ミュージック・レヴュー」だったと思うが、アーフリーの社主であるクリス・ストラックウィッツのインタビュー記事があって、その中に録音方法についての話があったが、彼は特にそういった録音技術などを勉強したり習得する機会も無かったようで、まったくの独学。曰く「クリス・ストラックウィッツ・ウェイ」ということなのだ。しかし、アーフリーの数多くある自前録音は、音質面で言えば非常に臨場感あふれるナマナマしい音に仕上がっているものが多くて、これは評価できる点でしょう。
しかし、この録音方法が60年代あたりまでは良かったのだが、例えば80年代あたりのアーフリーのアルバムの中には、相変わらずの「クリス・ストラックウィッツ・ウェイ」式の録音方法が非常にしょぼく聞こえるものもあったのも事実。例えばフィールド・レコーディングのような場合には良いのだが、ザイディコやケイジャンなどのようにポップ・ミュージックの要素が多くなってくるにつれて、「クリス・ストラックウィッツ・ウェイ」はあまりに素っ気無いということなのだ。
ライトニンのブルースの中で”戦争”というテーマはたびたび取り上げられており、ここでも69年録音で"Please Settle in Vietnam "というものがある。このあとで取り上げるジュエル録音でも68年録音で"Vietnam War Part1&2"を録音しており、時期的に近く、少々興味深い。