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セイピースプロジェクトのブログ

【書評】徐京植『在日朝鮮人ってどんなひと?』(平凡社、2012年)

2012年06月26日 | 書評
 民主党が公約した高校授業料の無償化。2010年度から実施されたこの制度から、朝鮮学校は未だに除外されている状態です。その法的根拠は全く無く、極めて政治的な論理によって朝鮮学校は無償化を適用されていません。さらには、これまで支給されてきた補助金まで打ち切りにする自治体も出てきています。  これらは端的に、マイノリティの民族教育や子どもの教育を受ける権利を侵害する極めて重大な問題ですが、このよう . . . 本文を読む

「内部被ばく」に関するブックリスト

2012年01月10日 | 書評
『内部被曝の脅威―原爆から劣化ウラン弾まで』肥田舜太郎/鎌仲ひとみ(ちくま新書、2005年)  福島原発事故は、歴史上例を見ないほどの事故となった。放出された放射性物質の量は、ヒロシマ・ナガサキをはるかに上回る。  放射線被曝には、「外部被曝」「内部被曝」の二種類があり、本書では、特に後者を取り上げている。内部被曝とはどういったメカニズムなのか、その影響はどのようにして現れるのか―著者である肥田 . . . 本文を読む

【書評】天笠啓祐ほか『原発はなぜこわいか』

2011年08月19日 | 書評
 2011年3月11日に発生した東日本大震災。死者・行方不明者合わせて2万人以上という、まさに“未曾有の大震災”となったこの震災は、同時に“未曾有の原発事故”を引き起こした。福島第一原発事故である。原子力安全保安院による暫定評価は、最悪のレベル7。原発の安全対策水準が高いとされていた日本でこのような事故が起きたことは、世界中に大きな衝撃を与えた。この事故から早5ヶ月。いまだ収束の兆しが見えないこの . . . 本文を読む

【書評・沖縄】伊波洋一『普天間基地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい。』

2010年12月01日 | 書評
 この本の著者は、普天間基地のある宜野湾市の前市長で、去る11月28日の沖縄県知事選挙に立候補し、惜しくも敗れた伊波洋一氏です。普天間基地問題を含む沖縄の今後にとって非常に大事な今回の選挙の直前である10月10日に出版されたのが、著書『普天間基地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい。』です。以下でその本の内容を見ていきたいと思います。  この本は全5章からなっています。  第1章「普天間基 . . . 本文を読む

【書評】吉田裕『アジア・太平洋戦争』(岩波新書、2007年)

2010年08月30日 | 書評
アジア・太平洋戦争終戦から65年が経ち、戦争体験者亡き後の平和をわれわれ若い世代がどう構築していくか本格的に取り組まなければならない時代が近づいている。本書はアジア・太平洋戦争全体を掴むうえでも、歴史認識や戦後賠償といった現在も生きている課題を考えるうえでも、さらには「戦争」という普遍的な命題を考えるうえでも読みやすく、詳細で、かつ重大な示唆を与えてくれる一冊としてお勧めできる。 . . . 本文を読む