絆の法則

澤谷 鑛

苦労の意味と自己憐憫について思う。

2015-02-05 | 牽引の法則
                                  あまみ悠

「この人はね、すごく大変な思いをされてきてらっしゃるのよ」
と年配の女性経営者に言われたことがあります。
そのとき、本心から、
「いや、そこまでたいしたことないんですよ~」
と思って、そう答えたら
「それは、あなたが苦労話ばかり聴いているから、分からなくなっちゃたんじゃないの?」
と言われて二の句がでなくなりました。

うーん、そうかもしれません、でも、そうとはいえないかもしれません。(どっちやねん)
もしかして、そのかたは、
「はい、そうなんです」
という答えを期待していたのかもしれませんし、ただ感じたままにそう言ったのかもしれません。
または、ご自分の苦労を私に重ね合わせて、共感してくださったのかもしれません。
それでも私は、
「そんなたいしたことない」
と思うのです。
だって、私よりたくさんの荷を背負っている人がいっぱいいるのだから。

ともあれ、少なくとも、私が仕事から学んだこと、それは、人にはそれぞれ外から見たら分からないような持ち運んでいるものがある、ということです。
それは仕事やお金の苦労だったり、健康であったり、家族であったり。
だから、自分が一番不幸なように感じているとしたら、それは本当に大きな勘違いなんですね。
私自身、その勘違いをしてきたから分かるんです。

そして、幸不幸は環境や相手や持ち物ではなくて、自分の心が決めている、のです。

そもそも苦労が悪いわけではありません。
ただ、そこには耐えたり、乗り越えたり、学んだり、成長していくしかない課題が あるということです。
苦労には天災や人災のように、自分に非がないのに苦労してしまう場合もあるし、実は自分が要因だってことが案外、多いのです(汗)。
たとえば、コミュニケーションの取り方が機能していないとか、お金の稼ぎかたが分からないとか、自立すべきときにしそこなって依存できない人に依存しようとしているとか。
それらの苦労を解決することで人として一回り成長できますし、どうしてもできないことはいっそあきらめて天にお任せする、というのも選択のひとつだと思います。

できないという自覚を持つからこそ誰かに助けてもらえる有り難さを、そして、人とのつながりの価値に正当な感謝が できる。
病に倒れてみてはじめて、生きていることがすでに与えられているということに気づける。そんなこともあるんじゃないでしょうか。
逆にすべきときに必要な苦労をできなかったことで、力が磨かれないまま大人になってしまい、困っている人もたくさんいます。

私はそんなことに気づいてから、あんなにしていた自己憐憫が難しくなってしまいました。
ちなみに、自己憐憫とは、自分を可哀想と感じ、自分は何をしてもダメだと思い、誰かが救い出してくれないかと思う、そんな自分への哀れみの気持ちです。
哀れみと愛は似ていますが、愛は要求がないのに対して、自己憐憫には要求があります。
その違いをたとえると、自分への愛とは「つらいんだね」と自分の感情に気づいて受けとめて共感することであり、自己憐憫とは「つらいんだね」と自分の感情に気づいて受けとめないことです。
受けとめずに
「なんで私ばかりが?」
「他の人は大丈夫なのに」
と自分を責めたり、分かってくれない周囲に恨みや不当感を持ちます。
だってあの人が悪いから、だって社会が悪いから、だって私にそれができないからと、つらい要因を解消することを、その誰かなにか、または自分自身に要求するのです。
自己憐憫はクセになるので、していると気づけなくなるのが怖いところです。
私も好んで自己憐憫をしていたわけではありませんでした。いつのまにか、気づいたら、です。そもそも、しているときはしていると気づいてはいませんでした。

なぜ、気づいたのか。
それは、自己憐憫をしながら、抜けられないワナにはまり、何年も苦しみ続けている人のお話を伺って来たからです。
もちろん、自分を大切に思う気持ちはとっても大切です。けれど、それが自己憐憫になり、外部が変わることでしか自分の不幸は終わらないと感じてしまうなら、だんだんとそこから抜けられなくなり、もともと持っている本来の力を忘れてしまうのです。
結果、不幸な私であり続けます。そんなの、本当に、もったいないですよね。
それに、周囲がその人をどうにか助けたいと思っても、自己憐憫が強いと、好意やサポートを受け取りづらくなるのです。

こんな巧妙なセルフ罠である自己憐憫、私が自分自身の自己憐憫から抜ける過程や、関わりの中で見えたもの、自己憐憫の根底にある、自己否定感から解放される方法をまたお伝えしていきますね。

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