先々月、冬用の黒いアンゴラ混のロングコートをクリーニングに出した。
戻ってきたらひどいことになっていた。
どちらかといえば、冠婚葬祭に適したコートで、
リーズナブルな値段の割に、艶感があってお高そうに見えていたので、
ちょっと気取った場所へは好んで着ていたものだった。
クリーニング屋は、もう20年ほど使ってるところだけど、
担当者がその都度変わるので、ちっとも馴染まない。
市内に店舗が数件あって、コンビニ感覚で集配を頼めるので、
気軽に使えるのが良かった。
でも、2度ほど「?」と思った仕上がりがあった。
1度目は数年前、ダーの仕事用ダウンジャケット。
首回りに結構な汚れがついていた。
仕上がってきたはずなのに、襟元の黒ずみや、
匂いまで、なぜかそのままだった。
暫く迷った。電話してやり直してもらうか、
我慢してこのまま次のシーズンに着てもらうか。
さんざん迷った挙句、やっぱやり直してもらおうと思い、
電話をかけてみた。
「クリーニングしないでそのまま袋に入れたカンジなんですけど……」と言うと、
数時間後に男性のクレーム係りみたいな人がきた。
そのジャケットを見て「ちゃんとクリーニングはしてますよ」という。
汚れもなかなか取れないものがあるので……とか言うので、
袋から出して「おやじ臭がするんですけど」←ダーには悪いけど事実だからぁ。
と言うと、ちょっと顔色が変わった。
「せっかく来ていただいたんだから、これ、もう一度クリーニングしなおしてください」
ってカンジで、再度出したところ、
汚れはそこそこついていたけど、さすがにおやじ臭は無くなっていた。
その後、クリーニングに出さずに自分で洗ってみたら、
なんと、襟元の汚れも綺麗に落ちるじゃないの。
わざわざお高いお金出す必要なかったし、クレームを入れる必要もなかった。
と、思った次第で……。
で、二度目は半年前のこと。
カシミヤ混の半コートをいつも通り出した。
某デパートで半額以下でめっちゃリーズナブルな値で買ったもの。
過去に3度ほど出して、今までは何の問題もなかった。
クリーニングされて戻った時、そのままクローゼットに入れてしまった。
半年後、出したときに唖然。
なんと、毛並みがない……
ゴワゴワして、まるでフリースのようになってた。
え~? なにこれ???
ものすごいショック。
というより、怒りがフツフツとわいてきて、
そのままクローゼットの隅っこに放り投げてしまった。
半年も経ってからクリーニング屋に文句言うわけにもいかないって
その時思ったので、あきらめるしかないと思ってた。
その放り投げて、しわくちゃになったコートは、
娘が関東に引っ越す前、部屋を片付けにきたときに、
これ、カタチ好きだったんだよね。ちょうだい。と言うので、
カタチは良いけど、毛並みがまったくないんだよ? と言うと、
いーの、いーの。と言って、持って行った。
どうせ家にあっても捨てるだけだったのでMもヨカッタ。
若い子が着るぶんには問題ないかも。
Mくらいの年齢で、フリースみたいにコタコタになったコートを着ると、
やたら貧乏くさく見えるから嫌。
そうでなくても貧乏なのに、着ているものでわざわざダメ押しするこたあない。
と、いったように、
そのクリーニング屋にはそういうマエがあった。
で、今回は黒いアンゴラ混のコートを出すときに、
前回のカシミヤ半コートの件を言ってから出したので、
丁重に取り扱うと集配の女性は言っていたのだった。
……にもかかわらず、また同じような仕上がりで戻ってきた。
届けてくれたとき、すぐその場で確認すると、
フリースならまだまし。
これ、ゴム素材でできているの?? ってカンジの仕上がりで、
もう、ガッカリした。
こことはもうおつきあいやめた。
このまま引き取って捨てようと思った。
「本当はクリーニング代を払いたくないけど、あなたが困ると思うから、
一応お支払はしますけど、納得してませんから」
と言うと、持ち帰って直すと言い出した。
直す?? どうやって? ハゲた素材をもとに戻せるの??
と、言いたかったけど、もうどうでもよかったので
「どうぞ」と。←好きにしてを飲み込んだ。
しかし、その後何の連絡もなく、
どうなったものか、さっぱりわからないまま、
見事にちょうどひと月経ったころ、
「仕上がりましたのでお持ちします」とのこと。
持ち帰って目途がついた時点で、進捗状況を説明しないの??
と、ここでも不満が……。
もうここまでくると、クレームじゃなくて、文句を言いたくなってくる。
でもぐっと飲み込んで、毛並みが戻ったのか期待せず待ってみた。
そしてまた、あの数年前に見たクレーム係りの男性が。
出来上がったコートは、ゴムのまま。
変わらないジャン……
意味ないし。
「この仕上がりでは前と同じ。受け取るけど納得してませんから。」とMが言うと、
「そうですか? ぜんぜんふつうだと思いますけど」だと。
その言い方も、こちらは悪くありませんふう。
元の状態を知らないでよく言うわ……。
「業者とか洗剤とか洗濯機とか、何か変えました?
今までは何の問題もなかったのに、半年前からこういうの2度目なんですけど」
と言うと、ずっと何も変わっていないという。
変わっていないのに、なんでこうなるの??
半年前から洗濯する人が変わった???
もう、どうでもいいんだけどね。
ただ、元の状態をMは証明できない。
こんなゴムっぽいものではないという、自分のカンカクだけ。
そこでMがいつまでも四の五の言ってもラチあかないし、
クレーム係りの男性は「コート自体、普通に仕上がっている」の1点張り。
「前にお持ちした時は、はっ水加工が効きすぎてゴワゴワしていましたが、
とると元に戻りました」とか言うので、そこでまたMの怒りがフツフツと。
原因が分かった時点で、持ち帰ったものの説明しないの? と。
ま、アレコレ求めても無理な相手に求めちゃいけない。
と、自分の中で整理をつけたのでお帰りいただいた。
ただ、「私はこの仕上がりは納得していませんよ。」と最後に言ったけど。
そして、その後から怒りが押し寄せてきた。
捨てるためにクリーニングに出したわけじゃないのに。
まだまだ着られるのにダメにされた。
しかも、お金をかけてダメにされた。
考えれば、考えるほど腹が立ってくる。
1週間、頭の片隅から引っ張りだしてはムカついた。
電話して、クリーニング代だけでも返してもらおうかな。
そんな気になった。
でも、電話してクレームを言う自分を想像すると、
どう考えても、文句を言ってる自分しか思い浮かばない。
で、
文句を言った挙句、クリーニング代の数千円が戻ったところで、
Mは満足するのだろうか??
そう考えると、だんだんバカ臭くなってきて、
結局は、もういいや……と思うようになってしまった。
クレーマーならいざ知らず、Mはそんなものになりたくないし。
てか、
クレームとか、クレーマーってよく言うけど、日本で言われているのは、
単なる文句とか言いがかりなんだろうね。
クレームって、また少し意味が違うと思う。
感情に支配された言いがかりが一番やっかい。
支離滅裂なのに、なぜかそれが通っちゃう。
無理を通せば道理が引っ込んじゃう現代。
どこかで軌道修正しないと、苦情だの文句だらけになっちゃう。
てことで、軌道修正の第一歩は、
諦める。
これに尽きるかな……。
でもぉ~……
諦めきれないときもあるけどね。
そんなとき、こうやってブログで愚痴ると、
あら不思議。
あのクリーニング屋より、きれいさっぱり心の汚れが落ちちゃったわ。
ということになる。
……ワケないけど、半分以上は落ちるかも。