その女(ひと)は年の頃なら40代後半、
たぶん高校生の娘がいるシングルマザー。
元亭主はDVだったようで、大いに揉めてやっと離婚したらしい。
若い頃は『書類をみてパソコンを打って電話をとる』仕事や、
他にもいろんな仕事をしたという。
今は体調が悪くて働けないと言っていた。
娘のことを愛おしそうに話し、
自分は若い頃、親の面倒をみていてとても苦労していたので、
何でもやりたいことができる娘を見ると羨ましくなる……と。
とにかく自分は苦労した、と何度も言う。
先日、母の病院に付き添った時、
隣に座っていた老女に、耳障りな大きな声でずっと話しかけていた女がいた。
老女は彼女の知り合いでもなんでもない。
よく目にする、話を聞いてくれるなら誰でも良いってヤツ。
てか、うるさかった。
こっちはずっと待っていて、少なからずもイライラしているわけで。
もっと小さな声で話してよ……と思った。
隣の老女は、聞いてあげないと悪いと思ったのか、
嫌な顔しないで頷いて聞いてあげていた。
聞きたいワケじゃないのに、耳に飛び込んでくるのは如何ともしがたい。
内容もイライラしてくる。
苦労話を自慢話にしているところが気に入らない。
貧乏だとか、今もお金がなくて大変だとか、働けないとか、
それでも私は健気に頑張ってるを一生懸命アピールしていた。
ウザい。
いいさ、好きに話したっていいサ。
でもね、隣の人にだけ聞こえる声で話して。
あなたのダミ声のボリューム下げて!!
迷惑だ~~~~っ!!
と、言いたかった。
母が動けないので、気軽に場所を移動することもできず、
いつまで待つかわからないイライラとともに、
地獄のダミ声でイライラも倍増して疲れ果てた。
彼女の顔は覚えてしまった。
彼女の過去も今の生活も知ってしまった。
……知りたくもないのに。
あなたの過去など知りたくないわぁ~~♪ って歌、
あったよね……。(ちょっと違うけど)
人生イロイロ。
女もイロイロ。
苦労話を自慢げにする人間は苦手ダ。