ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(52)

2007-11-29 17:58:53 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠   加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女、奈良の旅館「吉野屋」で働く
葵   松原千明 :竹田家の長女(中之島病院で看護婦見習い中)

智太郎 柳葉敏郎 :悠の初恋の人。沢木雅子の兄、帝大医学部を休学し入隊、戦地に

喜一  桂 小文枝:雄一郎の父
秋子  三木美千枝:喜一の浮気相手の連れ子、吉野家の養女となる

京子   大野 瞳 :疎開してきた子どもたち
和雄   坂口弘樹 :疎開してきた子どもたち
勝之   広瀬 修 :疎開してきた子どもたち
政子   福岡由美 :疎開してきた子どもたち
真     松本 淳 :疎開してきた子どもたち
きみ子  池ノ内美紀 :疎開してきた子どもたち
ふじ子  藤見ゆかり :疎開してきた子どもたち

      東京宝映

婦人    富田恵子 :「吉野屋」の宿泊客、息子と春日大社にお参りに

雄一郎 村上弘明 :毎朝新聞の社会部記者、「吉野屋」の息子で「おたふく」の常連
弥一郎 小栗一也 :雄一郎の祖父、お常の実父
お常  高森和子 :奈良の旅館「吉野屋」の女将、雄一郎の母

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

春日大社の万燈籠(まんとうろう)を見に行った悠と雄一郎。
突然黙り込んでしまった雄一郎の気持ちが悠にはわからなかったのです。
(とナレーション)



「喧嘩でもしたのか」弥一郎
「突然黙ってさっさと帰らはるんです。
 好きな人に待っていてくれと言いたい、そう言わはったさかい、
 そんな人がいはんのやったらそう言うてあげて下さい‥‥そしたら」
「ぅん」
「その人がまだ雄一郎さんの気持ちを知らはらへんのやったらちゃんと言うべきだと思います。
 今言わはらへんかったら一生後悔しはります」

お常はお茶をいれながらなんと答えていいものやら困った様子。

弥一郎が言った。
「好きだと言えない人を好きになることだってあるのう。
 ま今はそっとしといてやるのが一番や」
「はい」



お常が、2階の海軍の母の客室にお茶を運ぶと、海軍の母は一人泣いていた。
「みっともないところをお見せして‥‥。
 あたしの役目は終わったと思いましたら何だか急に寂しくなりましてね‥‥。
 家に帰りましたら名ある軍人の妻であり母の顔をしなくてはなりません。
 しばらく休ませていただきましてどんなにありがたかったか‥‥
「どうぞ、何日でも休んで下さい。うちはよろしいんですよ」
「生まれて初めて素直に泣きました。
 これも女将さんや娘さんのおかげだと思っております。
 娘さんに、人を愛することを拒んで、一人の人間としてお国のために尽くせるんですか
 って言われました時、息子はその意味がわかりませんでした。
 (泣)あんな恥ずかしかった事は初めてです」

「悠がそんなことを‥‥」
「おかしな話ですけれど、
 あんな素直な娘さんと息子が幸せそうに暮らしている夢を見ましてね。」
「私もよう見ます、
 いいえお客さまも、おんなじ母親ということがわかって安心致しました」
「息子を死なしたい親がどこにいますか(泣)」



悠は雄一郎のために、智太郎と同じように千人針をつくることにしました。
 


雄一郎の部屋

「母さん、余計なことはしないでくれよな」
「そら悠さんには智太郎さんという人がいます。
 けどそんなことは承知で好きになってしまったもんはしょうがないのと違いますのか」
「‥‥(ため息)‥‥」
「雄一郎。母さんはな、あんたに生きて帰ってきてほしいだけや。
 悠があんたの心の支えになるんやったらあたしは悠に頼みます。
 雄一郎を待っていてやってほしいと」
「母さん、俺、ホントに怒るよ」
「なんぼでも怒りなはれ。あたしが今あんたにしてやれることは何にもあらしません。
 せめてあんたが帰ってきたら好きな人が待っている、そう思って生きていてほしい。
 な、死なんといてほしいんや」
「もうやめてくれ。この先がどんなもんか母さんにはわかってないのや」

レコードをかける雄一郎


部屋で千人針を作りながら、
智太郎の言った「ベートーベンを聴きながら君とこんな生活をしたかったんだ」を
思い出す悠


翌朝

「お世話になりました」
「お元気で」

軍人の母は帰って行った。

「たった1日だけただの母親にならはっただけや」

「え?」
「いや、立派なお母さんやったな。 ‥‥悠、雄一郎のことやけどな」
「千人針やったら今近所回ってます」
「そんなことやのうて」

しかし子どもたちがやって来て「ご飯にしよう」と周りを囲まれ、話が途切れる。
雄一郎も挨拶周りが残っているからと出かけるのだと出てきた。

雄一郎が子どもたちと相撲をとるのを見るお常

男の子に負けてしまった雄一郎に
「そんなことでは戦地行かはっても役に立ちませんね」と悠
「死ぬ覚悟になれば何だって出来る。死ぬ時はきっと君の笑顔を思い出すだろうな。
 ‥うそだよ」

「もう~~~」とじゃれあう二人

「なんや新婚さんみたいやな」と葵がやって来た!

「どうしたんですか、病院やめたんですか」
「よう言うてくれはるわ~」
「入って、うちもな葵姉ちゃんのとこ行こうと思うてたんや。雄一郎さんの千人針頼みに」
「ほな吉野さんも」
「ええ」
「そうですか」
「じゃあ仕事が残ってますから」



葵は、お揃いのあじさいの着物を預けに来たのだった。

「やっぱり葵姉ちゃんもずっと持ってはったんやな~」
「立花からこれだけ持ってきてもろたんや」
「それどういうこと?」
「うちなぁ。離縁されてしもうてん」
「お姉ちゃん」
「これだけや~。うちの嫁入り道具」

葵はこれからはどうするかわからない、看護婦はしてるかも知れないがいつ敵機が飛んでくるかわからないと言った

「本土に空襲てほんまやろか」悠の問いに
「サイパンが玉砕したやろ?あこから飛んで来るんやて。他の南の島も負けたて聞くし」

ちょっと考え込む悠

「どないしたん?」
「ううん、どないもしてへん。そうか残ったのはこれだけか。うちとおんなじやな」
「何でもこんなんだけほしがったか自分でもわからへん。
 もし大阪が空襲受けたら、うち患者さんの世話で持ち出せるヒマないと思うんや。
 せっかくここまで手放さなかったんやし、焼かれんのもしゃくにさわるしな、
 悠に預かってもらお思って」
「売ってしまうかもわからんえ」
「え~?」
「なんべん売ろう思うたか‥‥今はここのおばさんが預かってくれてはんのや。
 竹田屋の娘の誇りがあれば売ったらあかん、て」
「うん、‥‥竹田屋の娘か」
「朝顔が3つ揃うことはもうないと思うのに、なんでやろな」


そこにお常が千人針を頼みに入って来た
「吉野さんのためやったら喜んで」

「あら、これ、お姉さんの朝顔~。うわ~立派なこと」
「妹に預かってもらおうと思いまして」
「いけません。これはあたしがちゃんとお預かりしておきます」

お常は急いで持って行った

「ええな~あんた。いつでもいい人に囲まれて。羨ましい」
「みんな雄一郎さんのおかげや」
「さみしなるなぁ」
「‥‥」


蝉の声がする


みんな揃っての夕飯
「ただいま」悠が帰って来た
「やっと間に合った。
 雄一郎さん、この5銭玉と10銭玉は、姉がつけてくれたんです。
 これには姉の気持ちがこもってるんです」

千人針を雄一郎に渡す悠

「ありがとう」
「悠ねえちゃんのお姉さん、雄兄さんのこと好きなん?」と秋子
「え~っ?」
「バカなこと言うな」

「雄一郎さん、姉が言うてました。きっと生きて帰ってきて下さい‥‥待っています」
「葵さんが?」 みんながウソだと知りつつ、聞いていた。
「雄、いつも身に付けとくんやぞ。
 さ、わしが作ったチキンテキじゃ。腹一杯食うていけ」
「そうや」
「いただきます」


悠がとっさに嘘をついたことを誰もが知っていました。
知っていながらそれが悠の真実の思いになることを願っていたのです。



「じいちゃん、美味いよ」

笑顔の夕飯だった



大宮島・テニヤン将兵全員戦死 との新聞の見出し

そして昭和19年10月遂に大本営はグアム島の玉砕を発表したのです。
それでも悠は智太郎が生きていることを信じて疑いませんでした。

(とナレーション)



(つづく)


『ちりとてちん』(52)

2007-11-29 17:54:10 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

   出 演

和田喜代美(喜ぃさん)  貫地谷しほり 
和田糸子    和久井映見 :喜代美の母
和田正典    松重 豊  :喜代美の父、一家で鯖江から小浜に戻り、塗箸職人に
和田小次郎(旦さん)  京本政樹 :喜代美の叔父・正典の弟 ※「ちりとてちん」の解説シーン
竹        渡辺正行 :箸問屋「丸竹」、観光協会の事務局長 ※「ちりとてちん」の解説シーン

徒然亭草々  青木崇高 :落語家、徒然亭草若の二番弟子
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原  桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子。
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子。中国料理店「延陽伯」でバイト中?
和田正平   橋本 淳 :喜代美の弟

      劇団ひまわり

和田小梅  江波杏子:喜代美の祖母、もと芸者
徒然亭草若 渡瀬恒彦:元天才落語家。徒然亭一門会の後、高座復帰を宣言。




゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜

喜代美(貫地谷しほり)の落語のけいこがついに始まった。だが生来の不器用さから、早速草若(渡瀬恒彦)に宿題を出されてしまう。小草若(茂山宗彦)ら弟子連中は、喜代美の最初のネタが何になるか興味津々だ。その夜、部屋で一人けいこする喜代美に、草々(青木崇高)は先日喜代美をなじったことを謝る。だが草々の心が清海(佐藤めぐみ)にあると思うと、喜代美は素直に喜べない。