ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(34)

2007-11-08 09:57:19 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠    加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女、大阪の「おたふく」で住み込み働き始める
桂    黒木 瞳 :竹田家の二女

精二   江藤 潤 :「おたふく」の従業員・板場さん(お初の若いツバメ)
忠七   渋谷天笑 :「竹田屋」の奉公人(番頭)、赤紙が来た 
義二   大竹修造 :桂の夫(婿養子)

お康   未知やすえ:「竹田屋」の奉公人(悠付きの女中さん)
タバコ屋 木下さよ子:「おたふく」の向かいのたばこ屋のおばあちゃん

     キャストプラン

雄一郎  村上弘明 : 毎朝新聞の文芸部記者(姓はヨシノ)、「おたふく」の常連
お初   野川由美子 :大衆食堂「おたふく」の女将。市左衛門の遠縁
市左衛門 西山嘉孝 :「竹田屋」の主人、三姉妹の父(婿養子)
静     久我美子 :三姉妹の母、市左衛門の妻

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

父・市左衛門の目に見えない糸で操られていることを知った悠は、
糸を断ち切るために自分に一番正直な方法をとろうとしていたのです。

(とナレーション)

お初は「悠はどういうつもりや」と気もそぞろで水まきをしていて、
向かいのたばこ屋のおばあちゃんにかけてしまう。

「あいやー、えらいすんまへん」
「八つ当たりですかいな。営業できへんかったら、掃除しかすることありまへんもんなぁ」
「ええ、ええ休養させてもらいまひた。あと1日休ましてもらお、思うてます~」
「へーまだ懲りずにお商売しますのかいな」
「お客さんがやめさしてくれはらしませんねん。またにぎやかになりますけどすんまへん」

足元にわざと水をかけて店に戻るお初。

バケツを叩くお初
「あ~~~~静かなのは性にあわんわ!」
びっくりして奥から出てきた精二
「人騒がせなことせんといてください」と精二

悠が戻ってこない、
ボンボンはちゃんと気持ちを伝えてくれたのか、
あんたの言うように何も言わん方が良かったのか ‥‥
「お嬢さん相手では勝手がわからん」とクヨクヨするお初。

「ただいま」と帰ってきた悠に
「どこへ行ってたんゆ、心配ささんといてぇな」と駆け寄り、
「一緒にご飯食べよ。精さん、はよ作ってな」と笑顔のお初。

しかし、悠に「女将さん、お話があります」と言われ
「はい」と固まり笑顔もひっこむ。

「申し訳ありません」
「え? 」
「女将さん、何にも知らんうちを、今までよう使うて下さいました。
 いろいろ考えましたが一番勝手なことをさせて下さい、お願いします。
 うち今の一番正直な気持ちは東京に行くことです。」
「やっぱり‥‥」
「できることならずっと女将さんのそばにいたいんです。
 けど今智太郎さんを諦めることはできません。
 父には、うちが黙って飛び出したと言うて下さい。」
「それはでけん。何もかもちゃんと話しします。
 あんたをお父さんの元へ返せんかったこと、わて謝ります。」
「すんません」
「わてのことはかまへん。
 あんたがどうしてもあの人のとこに行くと言うのならわて止めへん。
 でも幸せになれると思うてんのんか」
「あの人の所にいくつもりはありません。
 ここにお世話になっている限り父から自由にはなれません。
 誰も知らん人の所へ行くくらいやったら、あの人のいはる東京に行きたいんです。
 あの人のそばで働いていたいだけなんです」
「そんなあんた、東京へ行って1人で働くやなんて」
「ここで教えてもろた通り一生懸命働きます」
「あんた何も知らんからそんな簡単に言えるんや、東京と大阪はえらい違いや。
 若い娘が1人で働いて行ける所とちがう」
「京都しか知らんかったうちには、大阪もコワいとこでした」
「そこがあんたの甘いとこや。
 何もかもお膳立てされたとこで、同じように働けると思うたら大間違いや」
「わかってます」
「わかってへん!」

「女将さん」となだめる精二、そして続ける
「悠さんあんたの気持ちもわかりますけど、
 女将さんのほんまの気持ちはここにいてほしいんです」

「あんたが1人で東京行く、いうのはわて反対や。
 智太郎さんと一緒になってお父さんのわからん所で一緒に暮らすと言うのなら、
 わても諦めます。
 慌てることはない、な、ゆっくり考えて」
精二もそうしなさいというように、目で語る。
「はい‥‥」 奥に入っていく悠

「はぁっ。どうしてやるのがあの子の一番ためになんねんやろな」


「やぁ(爽やか~ 」と雄一郎が入ってくる

「何がやぁ!や。 ボンボン!
 あんた店休みの間、ずっとご飯食べさしてんのは何のためや思ってんねん!」
「女将さんの親切に甘えてますよ」
「何をとぼけたことを! あんた悠に一体何を言うたんや」
「じゃあ出て行くって?」
「やっぱりや‥‥ あんたやな、いらん知恵つけたんは! 」
「僕はただ‥‥」
「精さん、この人に何も食べさすことないわ」

(女将さん、悠さんのことになると何も目に入らないなー)というように笑う精二

「僕は何もそんなつもりは‥‥」
「つもりも大盛もあるかいな。
 好きな人の所へ行くっていうならまだしも1人で東京行って働くって言うやないの」
 東京?」
「顔見たくない、出てって」
「待ってくださいよ、悠さんどこにいるんですか」
「二階や、もうあんたには何も頼まん、さっさと帰ってんか」
「精さん、何とかしてよ」


悠は手紙を書いていた。

      「私、この度、女将さんの所を出て1人で生活することにいたしました。
       女将さんの所に送って下さったお金もお返しします。もし‥‥」



竹田屋の晩ご飯に、巴はいなかった。
口は達者でも、足が弱って自室で食べているのだ。

静は「ここは私がするからついていてあげて」とお康に言うが、お康は
「へぇご隠居さんは、こっちが忙しいからこっち手伝え言わはるし」と困り顔

「ふふ。ここはあたしがしますさかいな、あんたはお母さんについててあげんの、な」

市左衛門は提案する

「桂、あんたら夫婦が晩だけでも離れで食べてあげらどうや」
「ほんなら私らも一緒に」と静は言うが
「竹田屋の主人はここでご飯食べることに決まってますねん」にべもない。
「そんなに気張ってはらへんでも、義二さんもいはることやし」 ととりなそうとする静

「ほんまや」と桂が口を挟む。
「お店のこともそろそろうちの旦那さんに任せて、好きなことしとくれやす、
 なぁあんた」
「へえ、もう私も店の方に慣れましたし、私だけでも十分やっていけます」

市左衛門の顔をちらっと見る静

「それに旦那さんなら老舗の建て前があってでけんことでも、
 今の私やったら時代にあった商売ができます」
「それはようわかってます。
 義二はんはようやってくれはりますけど、わしはまだまだ元気や。 
 主人が二人いると店のもんも困る。ま、当分わしの言う通りにやってもらいひょ。」
表情ひとつ変えず、立ち上がった市左衛門を見て、ムッとしておつゆを飲む義二。

「ごちそうさんでした」

「よろしゅうおあがり」 静


「お父ちゃん、義二さんの気持ちもわかってあげて下さい。
 今のままでは何のために養子に来たのかわからへん。
 これでは丁稚とおんなじや言わはるんです」
「わしもそうどした。
 そいでもわしは1日でも長う旦那はんの元で働きとうおしたもんや。
 あんたらと心がまえが違います」
「それはお店が順調に行ってる時で、義二さんは今の時代を乗り切るために
 養子に来てもろたんやし。
 第一、お店を任せると約束しはったんでっしゃろ?」

「女がお店のことに口出しするもんやおへん!」 ぴしっとたしなめる静。


そこに忠七が来る。「これが来ました」 召集令状(赤紙)だった。
(『純情きらり』では本当に赤かったけど、こちらでは普通の紙だったような)


悠の手紙は続く。

      「もし、まだ私が京都に帰ることを望んでおられるなら、
       この際、はっきり申し上げます。
       桂姉ちゃん夫婦に、正式に竹田屋を継がせる手続きをとって下さい。
       それまでは、私の居所は誰にも言いません。
       今度こそ、私は自分の力で生きていきます」

      霧笛がなるのが聞こえてくる ‥‥


竹田屋では、市左衛門と忠七が向かい合っている。

「とうとうお前にも赤紙が来てしもうたか。
 来てしもうたからには、立派におくにのために尽くしてこい」
「へぇ」
「そして必ず、帰って来い。
 ‥‥これはワシだけの腹積もりだが、わしゃ、お前を悠と一緒にさせるつもりや」
「えっ?」
「悠は必ず帰ってくる。大阪で苦労してワシの思い通りの娘になって帰って来る筈どす」
「それはホンマのことどすか?」
「ただ年を食うてへん」
「‥‥旦那さん、悠お嬢さんが帰って来はるのは嬉しいことですけど、私にはとても」
「断るっちゅうのか」
「いえ、そんな。ただもったいな過ぎて‥」

「義二と言う男は、ワシの思った通りよく仕事をするけれども、欲がありすぎて
 必ず失敗する時が来る。
 その時、お前を悠と一緒にさせて、この店を継がせるつもりだす」
「旦那さん、ありがたいけれど、わたしにその資格はありません」
「いや、お前しかおらん。
 悠もお前やったらいやとは言わんやろし、昔から悠のことだったら、
 どんなことでもしてくれた‥。
 店のこと任すのは、今となってはお前しかいない思うてます」

泣く忠七

「せやから、必ず元気で帰って来てもらわんと困りますのや」
「ありがとうございます」

静とお康が、別れの盃をお盆に載せて来る 


悠は、手紙を書き終えてつぶやく 「お父ちゃん、堪忍」


(づづく)
 

市左衛門さん~~~~!  んもう、あなたって人は!

『ちりとてちん』(34)

2007-11-08 09:48:41 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

   出 演

和田喜代美  貫地谷しほり
徒然亭草々  青木崇高 :元落語家・徒然亭草若の弟子
熊五郎    木村祐一 :酒場「寝床」の店主
磯七      松尾貴史 :散髪店(磯村屋)の店主。酒場「寝床」の常連
菊江      キムラ緑子:仏壇店の女主人。酒場「寝床」の常連

徒然亭草原  桂 吉弥 :「おとくやん」の店員。元落語家・徒然亭草若の弟子、草々の兄弟子
徒然亭四草  加藤虎ノ介:中国料理店「延陽伯」の店員。
                元落語家・徒然亭草若の弟子、草々の弟弟子
咲        田実陽子 :酒場「寝床」の店主・熊五郎の妻

原田 緑   押元奈緒子 :草原の妻
原田颯太   河合紫雲  :草原の息子

       旭屋光太郎 「おとくやん」の草原の上司
       小泉小由理 
       桑原良二  
       
       サエ・ハン :中国料理店「延陽伯」の店員
       王 誠   :中国料理店「延陽伯」の店員
       岱 欽   :中国料理店「延陽伯」の店員

お囃子 林家染丸一門

       劇団ひまわり
       劇団東俳
       キャストプラン
       NAC
       グレース
       オフィスDPT

徒然亭草若  渡瀬恒彦:元天才落語家。今はのんだくれている


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草若(渡瀬恒彦)の家を出た草々(青木崇高)は、草原(桂吉弥)の家に身を寄せていた。草々は落語の「崇徳院」を教わろうとするが、草原は「自分に落語を思い出させないでくれ」とけいこを断る。一方草々の身を心配する喜代美(貫地谷しほり)だが、熊五郎(木村祐一)たち周囲は、このまま探さない方が草々のためだと言う。草若も特に草々を心配する様子もない。ある日喜代美はハンドミキサーの修理のため、草原の店に向かう。