ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(41)

2007-11-16 07:57:31 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠   加納みゆき :京都の繊維問屋「竹田屋」の三女、奈良の旅館「吉野屋」で働く
お常  高森和子 :奈良の旅館「吉野屋」の女将、雄一郎の母
弥一郎 小栗一也 :雄一郎の祖父、話がわかる唯一の人間
喜一  桂 小文枝 :雄一郎の父
たみ  町田米子 :「吉野屋」の中居
秋子  三木美千枝:喜一の浮気相手の子ども(喜一の隠し子ではなかった)12歳
刑事  荻原郁三 :ジョージを尾行し、連行した刑事

     アクタープロ
     キャストプラン

市左衛門 西山嘉孝 :「竹田屋」の主人、三姉妹の父(婿養子)
静     久我美子 :三姉妹の母、市左衛門の妻

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悠にとって、ジョージの連行は戦争という現実の重さを思い知らされた最初のできごとでした

悠は警察に面会に行くが、ジョージにはもちろん、女将のお常にも会えなかった。
刑事は「(ジョージは)強制送還される、もうここにはいない」と言い、
「あまりしつこいと、お前も取り調べるぞ!」と脅す。

屈する悠ではなかったが、引き下がるしかなかった。

おたみは「やっぱりスパイだった、だから女将さんまで連れて行かれて‥」と
暗に悠を責める。


お茶の間では、弥一郎と喜一、秋子がどんよりと座っていた。

「申し訳ありません、私のために」と謝る悠。
「あんたのせいやない。それより、秋子を頼む」と弥一郎。

「はい。秋子ちゃん言わはったな。私の部屋で寝ましょ」と微笑みかけるが
秋子は、喜一にすがりついた。
「おばさんが、そうしなさいと言わはったんえ」

「雄には知らせんかいな」
「女将さんが言うな、言わはりました」
「ふん‥」
「もう帰って来ぃへんのと違いまっしゃろか」と喜一
「あほなこと言うな よう調べたらわかる
「写真を現像したら仏像しか写ってないと思います」と悠

「しかし、写真を撮ったのはまずかったな‥」弥一郎が言う。

そこに電話 、いそいで出る悠。

「東京から? 西川先生! はい。 いいえ、まだ帰って来はりません。
 え、雄一郎さんが。 ハイ。 ハイ。 よろしゅうお願いします」

雄一郎が美術史の西川先生に、お常を助けてくれるように頼んだのだという。
西川先生は、軍のえらい人や警察にはたらきかけたから、
お常はすぐに帰して貰えるだろうと連絡してきたのだった。

「当たり前や、お常は悪いことなど何もしとらん
「雄一郎もやるときはやってくれるんやなー」と感心する喜一

「喜一  それに比べて何やお前は 
 ばあさんが生きとったら、とっくに追い出されてるわ、お前は!」

叱られて小さくなる喜一。

「さ、秋子ちゃん、お姉ちゃんの部屋で寝ような」 悠は秋子を連れて行く。

「お前の立場もわかるけど、人間にはしていいことと悪いことがある。
 お常だから許したんじゃ。明日から毎日畑の仕事を手伝うんじゃ!」
「はぃ‥」


秋子は、悠に「お姉ちゃんと一緒やからさみしくないやろ?」といわれても
相変わらずの「ふんっ!」ばかりで、何も話さず、着替えもしないで
寝てしまった。

悠は、京都の家を出る時に母が持たせてくれた裁縫箱をなでながら
静の言った
「竹田屋の娘として、どこに行っても恥ずかしくない生き方をしとくれやすな」
を思い出していた 

  どんなに離れていても、親を忘れることはできひんのやなぁ
  秋子ちゃんかて、ほんまのお母ちゃんのこと、忘れてへんのかも

と悠は思うのだった。


竹田屋では、市左衛門と静がお康を呼び、悠の居所について訊いていた。
しかし、お康は、お初さんも葵お嬢さんも知らんと言わはる と報告。

市左衛門は、ならば沢木さんのところに行くというが、静に窘められる。
「今ごろ行くくらいなら、家を出た時に行ってます。
 誰にも迷惑をかけたくないから、誰も知らんところに行ったんどす」

「ワシは竹田屋を継がせるのは、諦めたんや。
 ただ、悠が心配なだけや。元気でおったら、それでよろし。
 智太郎とかいう男の所に悠は居所を教えているかも知れん、
 頼む、ワシを沢木さんの所に行かしてくれ。
 そこまで悠を追い詰めたのはワシや。不憫でならん」

静は「ならば私が行ってくる」というが、お康は「無駄やと思います」と言った。
「智太郎さんが知っていても、雅子さんに言う人やおへん。うちには、わかります」



悠は、帰ってこないお常とジョージの最後の
「悠さん、あなたのことは忘れません、アリガトー! サヨナラー」を思い出し
一晩中、眠れなかった。


翌朝、悠が表を気にしている中、お常が無事帰って来た。
キレイにしてある玄関まわりを見て、嬉しそうなお常。

ジョージはやはり強制送還されたようで、フィルムを現像してみたら全部仏像で
警察も呆れていたらしい。


悠は、秋子に自分の服をあてて、直してあげる と約束したり
客室の掃除を手伝わせたりする。

が、あいかわらず「ふんっ!」の反抗的な秋子は、雑巾を畳になげつける。
「お父ちゃんを困らせたらあかんえ」と辛抱強い悠だったが

「ふんっ! お父ちゃんは嫌いや。うちのお父ちゃんは戦死しはったんや。
 あの人、ホンマのお父ちゃんと違うっ」とバケツの水を畳にまいて
秋子ははだしのまま逃げてしまう!

悠もはだしのまま後を追い、猿沢の池を越え、奈良公園の中、興福寺あたりで追いつくが
秋子は悠の顔を平手打ちにする



「旦那さん! 何で自分の子やないってはっきり言うてくれまへんの
「そやかて、逃げられたとは言われんし、一人ではどうしようもないし」
「んもう! 気楽なことばっかり言って。
 人の良すぎるのもよしあしや!
 捨てられた女の連れ子を女房のところに連れてくるやなんて」


「秋子ちゃんの面倒ならうちが見ます。置いてやってください」と悠
「悠さん、ホンマ言うとな、ホッとしてますねん。あはは
 うちの人の子やないとわかった途端、かわいそうになってな。
 追い出したり出来ますかいな。
 なんだかんだ言うて、気楽さんに惚れてますんなや。
 女学校にも入れてやりたいし、勉強もみてやってな」
「はいっ  雄一郎さんにも知らせてあげてください」

「いや、血はつながってのうても、あの子には同じ。
 父親のだらしのないのが許されないんだから。
 あの子には、別のところで一人前になってくれたらそれでよろし」

悠は黙って聞くだけだった。


(つづく)
 







画像は、猿沢の池と興福寺(2007年1月撮影)

『ちりとてちん』(41)

2007-11-16 07:41:16 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

   出 演

和田喜代美  貫地谷しほり
和田糸子    和久井映見 :喜代美の母
和田正典    松重 豊  :喜代美の父、一家で鯖江から小浜に戻り、塗箸職人に
和田小次郎  京本政樹 :喜代美の叔父・正典の弟
徒然亭草々  青木崇高 :元落語家・徒然亭草若の二番弟子
菊江      キムラ緑子:「菊江仏壇店」の女主人。酒場「寝床」の常連
徒然亭小草若 茂山宗彦 :一応落語家・徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原  桂 吉弥 :元落語家・徒然亭草若の一番弟子。「おとくやん」の店員継続中?
徒然亭四草  加藤虎ノ介:元落語家・徒然亭草若の四番弟子。中国料理店「延陽伯」でバイト中?

        松本 元  志保の主治医

        劇団東俳
        キャストプラン

吉田志保   藤吉久美子:草若の亡くなった妻
和田小梅   江波杏子:喜代美の祖母、もと芸者
徒然亭草若  渡瀬恒彦:元天才落語家。今はのんだくれている


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草々(青木崇高)たちの落語会が、いよいよ近づいてきた。一人不参加を決め込んでいた小草若(茂山宗彦)だが、菊江(キムラ緑子)からかつて草若(渡瀬恒彦)が一門会をすっぽかした本当の理由を聞いてしまう。一方喜代美は糸子(和久井映見)からそば打ちを教わるが、相変わらずの不器用でなかなか上達しない。母・志保(藤吉久美子)の墓の前で苦悩する小草若は、ある決意をする。