サモワールを囲んで

日本ユーラシア協会愛知県連ブログ

料理サークルペチカ第22回例会報告

2024年06月01日 | ペ-チカ
ペチカ担当の服部和です。

5月19日(日)午後1時からロシア語教室で 第22回料理サークルペチカ例会が開かれました。今回は
ブリヌィ(ロシア風クレープ)を作りました。日本ではクレープはクリームやチョコレートを
添えた御菓子というイメージが強いのですがロシアのブリヌィは様々な具を包んだり、上に載せたり
して食事にもなります。小さく焼いてサワークリームやイクラを載せたらおしゃれなオードブルにも
なり、もちろん、ダーチャの果物で作った自家製のジャムを添えてお茶菓子としても食べられます。

この日は13名(うち会員6名、5歳児1名)が集まりました。ゲストは内山エレーナさん、サンクト
ペテルブルク出身のロシア人で山崎タチアナ先生のクラスで日本語を勉強中の方です。

まず最初にブリヌィの生地の作り方のデモンストレーション。卵と牛乳をしっかり混ぜたら振るった
薄力粉を少しずつ加えていきます。そこへ塩、砂糖、重曹を酢に溶かしたものを加えてさらに
よく混ぜ、最後に目の細かいざるで漉して生地はできあがり。これをしばらく休ませておきます。

ブリヌィの生地の作り方には多くのヴァリエーションがあり、生地に生クリームやオイルを入れて
しまうものもありますが、今回はごく簡単なヴァージョンで。エレーナさんから「牛乳の代わりに
ケフィールや水だけを使うものある。」というコメントがありました。

生地を休ませている間にブリヌィについてちょっとお話をしました。参加者の中にはロシア語を
勉強してない方もいらしたのですが、こんな言葉を紹介しました。

*Первый блин – комом.
最初のブリンはお団子になる。

ブリヌィ(блины)は実は複数形なんです。一枚だとブリン(блин)です。つまり「最初のブリンは
上手に焼けない、なにごとも最初は失敗するものだ」という意味です。今回はロシア人ゲストの
エレーナさんにこの文を読んでもらってみんなで発音練習もしました。

また冬を送るロシアのお祭り「マースレンニツァ」についてもお話をしました。このお祭りに
欠かせないのがブリヌィ。バターで焼いた丸くて黄色いブリヌィは太陽の象徴でもある
そうです。(ロシアでは太陽の色は赤ではなくて黄色だそうで)またこのお祭りの後には
イースター前の精進の時期がやって来ますので、その前にバターたっぷりのブリヌィで
栄養をとっておくという意味もあるのです。ちなみにマースレンニツァ(Масленица)の
語源はバター(масло)であるとも言われています。

今回は参加者各自がカセットコンロでブリヌィを焼いたのですが、私は自宅で焼いたブリヌィも
持参し、そのブリヌィを使って包み方のデモンストレーションも行いました。丸いブリヌィを
半分に折り、さらに半分に折って扇型にしたのにはサワークリームとポーランド製のカシスジャムを
のせました。またスモークサーモンにサワークリーム、玉葱スライス、ディルを添えて端から
くるりと筒状に巻いたもの、さらにブリヌィの真ん中にビーフとキノコのサワークリーム炒めを
置いて四角い形になるように包んでから フライパンにバターを熱してもう一度焼いたもの、

などを作って 皆さんに少しずつお味見していただきました。

さて、このあたりで先ほど作った生地も落ち着いてきたので ひとりずつカセットコンロの前に
来ていただいて いよいよブリヌィを焼きます!まずフライパン(底面の直径が約18センチ)
に少量のバターを溶かして、ここにお玉に軽く一杯の生地を流し込みます。すぐに端の
ところが焼けて固まってきますのでそこにヘラを差し込んで少し持ち上げ、左手の指で
もう一カ所をつかんでくるりと裏返します、と言うのは簡単ですが、カセットコンロの火加減が
難しいのと 持ち上げた端のところがけっこうまだ熱いのとで普段あまり料理をしない方には
ちょっと難しかったようです。端をつかみそびれて生地が破れてしまったり、塊になって
しまったのもありました。フライパンが小さめなので大きなフライ返しは使いにくいですし。
文字通り「最初のブリンは、、」ですね。それでもなんとか全員がブリヌィを焼くという体験が
できました。ロシア人のエレーナさんはさすがにお上手、ヘラで端を持ち上げたら 左手で
端をつまんでクルリと裏返しにしてきれいなブリヌィができました。


焼けたブリヌィをお皿にのせたら 教室の奥のテーブルに並べられたスモークサーモン、ハム類、
スモークチキン、牛肉とキノコのサワークリーム炒め、玉葱スライス、サニーレタスなどを
お好みでのせて試食!

サイドディッシュとしてヴィネグレットというサラダもご用意しました。これはビーツ、
ジャガイモ、ニンジン、玉葱、キュウリのピクルスをオリーブオイルと塩胡椒で味付け
したものです。

左のボウルがサワークリーム、真ん中はビーフときのこのサワークリーム炒め、一番右(ディルに隠れて見えませんが)にはヴィネグレット。


たっぷりのサワークリームやディルを加えるとさらにロシアらしい味わいに。ディルは
ロシア料理にはかかせない香草ですが 普通のお店では売ってないことが多いので
自宅のプランターで育てて持参しました。


色も鮮やかできれい、爽やかな香りがなんとも言えません。これもたっぷりのせて。また
ポーランド製のカシスジャム、ブルガリアのバラジャム、ウクライナの蜂蜜、チェコのチョコ
レートソースなどもそろえて一枚はデザートとして食べていただきました。


参加者の方のお皿を覗きました。ビーフとキノコのサワークリーム炒めにディルとサニーレタス、
サワークリームもかけて。ヴィネグレットを添えています。


一枚目を食べたら 次の一枚に挑戦!自分で焼くのがもうめんどう、という方には焼いて
あるブリヌィをフライパンで温めて食べていただきました。ブリヌィは冷たいままで食べては
いけないのだそうでかならず温めて食べます。飲み物には紅茶を。

参加された方には自己紹介をしていただきましたが、ロシア語講座の現受講生と元受講生の
他に中国語が専門の方や子どもに異文化体験をさせたいと言う方もあり、ホームページを見て
来てくださったとのことでした。

「初めてディルを知った」、「クレープにジャムとサワークリームがおいしい、こんな食べ方は初めて」、
「意外に簡単にできるんですね、中身はなんでもいいみたいだし」「クレープはお菓子だと思っていた。
おつまみにも食事にもなるんですね」「ロシア料理はなかなか食べるチャンスがないので来てよかった」
など感想をお聞きしました。

黒板とチョークがあり、本棚に囲まれて、手狭なロシア語教室で開かれた変則的なペチカ例会
でしたが 食材や香草、食べ方などロシアの食に触れていただくことができてなによりでした。

まだたくさん残っていたディルはみなさんのお土産にしました。ブリヌィはぜひご自宅でも
作ってみてくださいね。

最後にみんなで記念撮影!
コメント (1)
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