サモワールを囲んで

日本ユーラシア協会愛知県連ブログ

第95回ロシア語サロン報告

2017年03月09日 | ロシア語サロン
2月に続いて 3月5日(日)午後2時から第95回ロシア語サロンが開かれました。
今回のゲストはポルタワ出身のウクライナ人 リジア・ダツェンコさんです。

リジアさんはウクライナ語講座のイーゴリ・ダツェンコ先生のお母様、高校でロシア語の先生をしておられたそうですが、とても物静かで
まじめな感じの方です。今回はキリスト教徒にとって最も重要な行事である復活祭をテーマにお話ししていただきました。

復活祭(ロシア語では пасха)はいったいいつお祝いするのでしょう?

今年は4月16日です。
復活祭は「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、毎年日付が変わります。
またカトリックでは別の暦を使っているため、ロシア正教とは日にちが異なることが多いのですが今年はたまたま同じ日になりました。

リジアさんのお話:

信者たちは復活祭の週までの7週間を大斎(おおものいみ・великий пост)と呼び祈祷、食事の節制、許し、慈善などを心掛けます
なぜ7週間かというとこれはキリストが荒野で悪魔の試みに耐え、
磔になって死ぬまでの7週間にちなんでいるのです。

ウクライナで復活祭を祝うようになったのは10世紀末のことです。
聖書によればキリストが亡くなって三日目に その遺体に香油を塗る
ために訪れた三人の女性の前に天使が現れ、キリストの復活を告げた
ということです。


Пасха(パスハ 復活祭)という言葉はユダヤ人たちがエジプトでの奴隷生活から逃れたことを祝う「過ぎ越しの祭」という非常に古い祝日がもとに
なっています。キリストの復活もちょうどこの時だったのでした。

復活祭前の最後の日曜日は特別な日で「ネコヤナギの日曜日」です。
これはキリストがエルサレムに入場した時に町の人々が棕櫚の枝を
振って歓迎したことを記念する日です。ウクライナには棕櫚はあり
ませんから 昔からウクライナのシンボルでもあり、特別な魔法の
力を持っていると考えられていたネコヤナギを使うのです。

この日にはネコヤナギの枝を教会に持って行ってお清めしてもらい、
持ち帰った枝で家族や親族の体を軽く叩いて健康と長寿を祈ります。

復活祭前の最後の一週間は最も厳しく食事を制限し、清らかにすごさ
なればなりません。特に木曜日はキリストが弟子たちと最後の晩餐を
した日であり、「清めの木曜日」と呼ばれています。この日には
信者たちは可能な限り教会に行って聖体拝受します。教会では
福音書の朗読があります。こうして魂を清めるだけでなく 家の大掃除も
し、また夜明け前に入浴して体もきれいにします。

翌日は受難の金曜日、キリストが磔にされた最も悲しい日です。
この日には信者は断食します。
家々では復活祭のための食事の用意が整えられます。

パスカという特別なパンです。レーズンを入れて焼き、上に砂糖と卵で
作ったアイシングをかけます。
このパスカはリジアさんのお手製。

きれいに飾ったゆで卵。ХВ という文字が見えますが これは Христос воскрес.(キリストは復活したまえり)と言う言葉の頭文字です。

これらの他に肉料理やサラミ、豚肉の脂身の塩漬け、などを用意して
きれいに飾り付けたかごに入れ教会に持って行きます。

教会での復活祭のお祈りは終夜続きます。一番感動的なのは真夜中に
神父が「キリストは復活したまえり!」と高らかに告げ、信者たちが
喜びに満ちて「まことに復活したまえり!」と答える瞬間です。
その後で信者たちは神父を先頭にして教会の周りを三回廻り、この後で
教会に持って来られた食べ物のお清めの儀式があります。

こうして朝になって家に帰った信者たちは 教会で清められた食べ物で
朝食をとるのです。長い節制の後での豊かな食卓は春の喜びのシンボル
でもあります。

復活祭の御祝は1週間続き、最後は亡くなった家族や親族をしのぶ
集まりや墓地に行ってピクニックのように食事をすることで終わります。
この時は墓地におかしやたべもの入れた袋を置いてくることになって
います。子どもたちはそれをもらうことができます。

復活祭はウクライナで一番聖なる祝日です。イエスキリストが自分自身で
死に対する生の勝利を示してくださったのです。またこの祝日は家族や
親族の絆を確かめ、いやなことやうらみを忘れて、亡くなった人々を
思い出す日でもあります。この春の祝日はよりよい幸せな人生への
希望をあたえてくれるのです。

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この日のテーブルには 「復活祭」をイメージしてカラフルに飾られました。

リジアさんお手製の「パスカ」もあり

ウクライナ製の卵用シールで飾ったゆでたまごも登場!
参加者のお土産に配られました。

ティータイムにはリジアさんのパスカを切って試食。
今回はリジアさんとダツェンコ先生の他に、前回のゲストだった
サエンコ先生、去年から会員になってくださったウズベク人のカマロフ
さんも参加され いろいろな話が出ました。

仏教とロシア正教、どんな共通点、違いがあるのか?
日本でも 四十九日という風習があり、キリストの受難習慣も7週間。
7という数字の持つ意味は?
こんなに厳しい精進をきっちり守る人たちの割合は?
など難しい質問が出ましたが 簡単に答えられませんね。

この日はサロンに先立って 中日新聞の記者がイーゴリ・ダツェンコ先生
のインタビューに来られました。こちらの記事は来週か再来週、中日新聞に
掲載されるとのことです。
お楽しみに。

インタビューを受けるダツェンコ先生とリジアさん。

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