Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

若林 奮ー飛葉と振動

2016年01月10日 | アート全般
 若林 奮は2003年胆管癌のため亡くなった。その事が昨日のように思われる。
芸術の世界に生きて芸術家ズラしつつ、実は芸術の名を穢している「輩」が多い中で、彼は芸術の本質を問いかけた、たぐい稀なる彫刻家である。
芸術と言う概念の「鋳型」の中でしか制作ができない作家、常に流行に追われ、パターン化された類似的な作品しか作ろうとしない日本の美術風土の中で、彼は芸術の概念に捉われず、自身の思考に忠実に「芸術の概念」そのものを創造したと言える。
人が生きているという思考を彫刻制作によって体現した人物とも言える。
朴訥で一言ひと言、コトバを選び、考えながら語る彼の姿は哲学者のようでもあった。
死ぬ間際、2003年に制作された、「飛葉と振動」というタイトルが付けられている「自刻像」は生きることを問いつつ、この世とあの世の境界を見つめている彼自身の姿のように思われる。


若林 奮 飛葉と振動展
2015年8月15日(土)から12月23日(水祝)
神奈川県立近代美術館 葉山館


















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