ある男女の関わりを、近くで目にしてからというもの、わたしにはたくましい妄想がちらつきはじめたのである。
そのふたりの関係は、はたで見ていてもいかにも紳士淑女の関係と見えていた。
私と同じ絵画教室に属していたふたりは、教室ではふつうの振る舞いをするだけで、それ以外に特別の関係があるようには思えなかった。
それが時間がたつにつれて、ふたりの関係がただならぬ間柄になっているように私には思えた。
端から見ていても、ふたりがお互いを意識していることがうすうす分かった。
ファーストインプレッションというあれである。直感的にひらめいた、というやつである。
出来ている男女には独特の雰囲気が漂っていて、それとなく醸し出すものがある。それはもちろん目に見えないものだが、お互いのそれとなく交わす秘密の目遣いで、一目でピントくるものがある。
二人がさりげなくやりとりしている会話のなかにさえ、例えば、二人の目と目は燃えていて、声の質もちがっている。
それを少しでも注意深く観察できる人間、男女の仲を見破る勘を身につけていれば、すぐ二人の関係を見破ることができるというわけだ。
二人がわざとそらぞらしくすればするほど、かえってそれが意味あり気に見えてくるから不思議なのだ。
この状態をミステリー風に解釈すると、ふたりの関係にはある種の伏線が敷かれていて、それがちらちらと見え隠れしているのである。
そんな秘密裡にある関係が、ある時、外に現れることがある。関係が深まると、思わず周囲にそれとなくその関係をほのめかす態度をとるという。特に女性にそれが多いとされる。
こんなことがあった。それは山手線を利用して絵画教室から帰るときだった。その時はたまたま五人だった。二人は座席に座り、後の三人がその前に立っていた。とりとめのない雑談をしながら。
そんな時、突然、電車が急ブレーキをかけたのだ。立っていた三人は思わずよろめいた。その時、立っていた例のふたりが思わず互いを抱きかかえるような姿態になったのである。
その一瞬を、座っていた私は見届けたのである。それは普通の関係ではありえないカタチだった。ああ、できているな、という格好だったのである。
人の面前で、火急の時とはいえ、堂々とふたりの関係を表明させたのである。
そのふたりの関係は、はたで見ていてもいかにも紳士淑女の関係と見えていた。
私と同じ絵画教室に属していたふたりは、教室ではふつうの振る舞いをするだけで、それ以外に特別の関係があるようには思えなかった。
それが時間がたつにつれて、ふたりの関係がただならぬ間柄になっているように私には思えた。
端から見ていても、ふたりがお互いを意識していることがうすうす分かった。
ファーストインプレッションというあれである。直感的にひらめいた、というやつである。
出来ている男女には独特の雰囲気が漂っていて、それとなく醸し出すものがある。それはもちろん目に見えないものだが、お互いのそれとなく交わす秘密の目遣いで、一目でピントくるものがある。
二人がさりげなくやりとりしている会話のなかにさえ、例えば、二人の目と目は燃えていて、声の質もちがっている。
それを少しでも注意深く観察できる人間、男女の仲を見破る勘を身につけていれば、すぐ二人の関係を見破ることができるというわけだ。
二人がわざとそらぞらしくすればするほど、かえってそれが意味あり気に見えてくるから不思議なのだ。
この状態をミステリー風に解釈すると、ふたりの関係にはある種の伏線が敷かれていて、それがちらちらと見え隠れしているのである。
そんな秘密裡にある関係が、ある時、外に現れることがある。関係が深まると、思わず周囲にそれとなくその関係をほのめかす態度をとるという。特に女性にそれが多いとされる。
こんなことがあった。それは山手線を利用して絵画教室から帰るときだった。その時はたまたま五人だった。二人は座席に座り、後の三人がその前に立っていた。とりとめのない雑談をしながら。
そんな時、突然、電車が急ブレーキをかけたのだ。立っていた三人は思わずよろめいた。その時、立っていた例のふたりが思わず互いを抱きかかえるような姿態になったのである。
その一瞬を、座っていた私は見届けたのである。それは普通の関係ではありえないカタチだった。ああ、できているな、という格好だったのである。
人の面前で、火急の時とはいえ、堂々とふたりの関係を表明させたのである。